阿寒岳 |
行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他) ◆8月10日 |
山日記
(雌阿寒岳 編) 上富良野から釧路へ移動してホテルで一泊。 ホテルに泊まる理由は・・・疲れを取る、洗濯、風呂、デジカメのバッテリーチャージ、と言った理由からだけどそれらは上富良野の日ノ出キャンプ場で全て解決することも出来たので釧路から一気に阿寒湖畔まで移動しても良かった。 だけどこうして北海道を移動しながら山に登っているといつの間にかスケジュールに追われて山登りをただ順に消化しているのでは?本来の目的である一つ一つの山登りを楽しむ気持ちが希薄になってしまっているのでは?と感じたのでホテルに泊まって気持ちをリセットすることにした。 翌朝、釧路からバスで阿寒湖畔へ向かう。 二日酔いだったのでバスゲロしてしまいそうで心配していたけれど無事に阿寒湖畔へ到着。 二日酔いにもかかわらずバスセンター横のコンビニできっちりとビールを買うと再びバスに乗ってオンネトー湖畔にある国設野営場へ向かった。 オンネトー国設野営場のあっちこっちにはバーベキュー用のカマドがあり、各テントでは早くも夕食の準備が進んでいた。 受付を済ませると(テント場代¥250は安い!)平らな場所を探してテントを張る。夕食までにはまだ時間があるので近くを散策することにした。 オンネトーとはアイヌ語で年老いた沼という意味らしいけれど湖水の色はきれいなターコイズブルーをしていて生まれたばかりのようなみずみずしさを感じる。 だけど凪の湖面を覗き込むと朽ちかけた木が藻も付かずにそのままの横たわっているのが見えて木の墓場といった感じだ。始まりか?終わりか?生と死の対極を同時に感じる湖だ。 湖の遊歩道を半周するとやっと雌阿寒岳、阿寒富士が見えた。 オンネトー越しの雌阿寒岳、阿寒富士の姿を山の雑誌で見てから阿寒岳は登りたい山の一つになった。今こうして憧れの風景を目の前にしているのだ!山頂辺りは雲に隠れてしまって残念だけれどそれは感慨無量の風景だった。 車道を離れ展望台に登って行くと木の間から雌阿寒岳、阿寒富士が見えた。地図には「オンネトー、雌阿寒岳、阿寒富士の展望良好」と書かれていたけど枝が生い茂っていてオンネトーはほんのちょっとしか見えない。 ここまで登って来る人は少ないみたいなのでゆっくりと展望を楽しむことが出来た。 |
展望台からの雌阿寒岳(左)、阿寒富士(右)。オンネトーはほとんど見えない。木が育ってしまったのかな? |
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湯ノ滝入り口には何台も車が止まっているし、滝への遊歩道を歩いていると引き帰して来る観光客の数が多いのでこれはさぞかしすごいのでは?と期待しながら歩いて行く。 だけど歩道の先に現われた滝は思ったより小さく、お湯が豪快に滝を流れ落ちる様を想像していたので拍子抜けしてしまった。 ただ迫力には乏しい滝ではあるけれど日本庭園を思わせる趣がある。お湯が流れ落ちる部分の岩は赤茶色で滝全体を覆う苔の緑と対比的な色合いをしている。滝壷には無数の魚が泳ぎ周り清んだ水に陰影を作っている。もし山の中を歩いていて突然目の前にこの滝が出現したら桃源郷に出くわしたと思うかもしれない・・・しかしこの滝にこんな広い歩道は似合わない! 滝壷の魚はしきりに石を突付いて何かを食べているようだ。解説板を読むとマンガンを食べる外来種の魚が入り込んだため定期的に駆除作業が行われていると書かれているのでもしかしたらそうした魚なのかもしれない。 以前は湯溜めがあったらしいけれど今は取り払われているので入浴は出来なかった。 野営場に戻って来ると僕のテントの周りでは競い合っているのでは?と思えるほどバーベキューがやたらと行われて美味しそうな匂いが辺り一面に漂っていた。 ”うなぎの匂いでご飯一杯”ではないけれどバーベキューの匂いを嗅ぎながら食べるインスタントラーメンはそれはそれは美味かった(かなりむなしい夕食)。 |
オントネーは天候、風向きによって色を変えると言われている。 夕方は夕日に赤くなっていた。 |
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予報が外れて朝から晴れ!標高623mのオンネトー国設野営場を出発します。暑くは無くさわやかそのもの! |
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まずは阿寒富士からだ! 7合目の分岐を過ぎると阿寒富士へはいきなりの急登だ。火山特有の黒くザラザラした砂礫を登って行く。ザックが軽いせいもあるけど、なにより目の前の山頂が青空にしっかりと包まれている姿が疲れを忘れさせてくれる。 振り返ると雌阿寒岳の火口から白い煙が立ち上がっている、溶岩が流れた跡がくっきりと見える。雌阿寒岳はその名前から想像するようなスラリと華奢な女性的な山ではなく、むしろどっしりとした下町のおばさん風な山だ。(あかん!て言うくらいやから大阪のおばちゃん風かも!苦) |
壮大な景観! 阿寒富士へ登るにつれ雌阿寒岳の火口も見えてきた。 昨日、オンネトーから見上げていた山はこんな山だったのだ! |
阿寒富士は下から見ると端正な三角錐をしているけれど山頂は岩がゴツゴツして噴火の跡が複雑な地形を造っていた。草木も無いガランとした山頂からはオンネトー、フレベツ岳、白湯山さらに阿寒湖の向こうには雄阿寒岳と雄大な眺望が広がっていた。 雄阿寒岳の更に奥に見えるのは斜里岳だろうか?西に目を向けると雲海のずっと向こうにあるのは日高山地それとも石狩山地だろうか?広域地図が無いので山名が確かめられないのが何とも歯がゆい。 |
阿寒富士山頂は意外と縦長だった。 眺望抜群!オンネトー、雌阿寒岳、そして雄阿寒岳、写真では分りづらいけど斜里岳も遠くに。 |
テレビでアンジェラ・アキを見る度になしてだ?思う。メガネを取ったらもっと美人になるのに勿体ないな!と思う。周りのスタッフやマネジャーでメガネを取ることを進言する人は居ないのだろうか? 阿寒富士を降り、雌阿寒岳へ登っていると山頂から降りて来た数組のパーティーとすれ違った。見ているとそのパーティーのほとんどは阿寒富士へ登らずにそのまま下山して行く。その時、僕はなしてだ!思う。富士山がそうである様にどんなに秀麗な山でも自分が登っている山の姿は見ることは出来ない。ここからわずか往復1時間かけて阿寒富士へ登れば雌阿寒岳の姿を間近で見ることが出来るのにそれを素通りして下山するのはあまりに勿体ないくない? パーティーの中の誰か一人でも阿寒富士へ登ろうと進言する人は居ないのだろうか? でもアンジェラ・アキのルックスにしても山の価値観にしてもそれは単に僕の主観だから他の人には当てはまらないかもしれないけれど。 |
阿寒富士から降りて雌阿寒岳へ。 あまりにあっさりと降りてきてしまって勿体ない、でも先も見たい! |
白く噴煙が上がっている。見かけとは違って硫黄の匂いはあまりしない。 |
オンネトーの湖面は鮮やかなターコイズブルー、中央には茶色の部分も見えるから意外と浅いのかも。 |
激しく吹き上がる白煙の横を通り過ぎると左下に青沼が見えた。それは葉上の水滴のように灰色の火口の中にポッカリと浮かぶコバルトグリーン色の小さな丸い池だった。 |
これって指揮しているわけじゃない! 当初の計画通りフレベツ林道コースを登れば良かったと悔やんでいる図 |
雌阿寒岳山頂はわずか標高1499mなのに眺望は抜群だ。 空は青く、風もおだやか、からっとした空気の中に周りの山々の姿がくっきりと浮かんでいる。 あえて自分から苦労する気はさらさら無いけれどこんな良い山に、こんなに簡単に登ってしまって良いのだろうか?懺悔にも似た複雑な気持ちがした。 赤沼はその名の通りにオレンジ色の池だ。 青沼も赤沼も地表に含まれる鉱物が酸化した色なのだろうけれど青沼はコバルトグリーンで清らかな感じ、反して赤沼はオレンジ色の、それも色に斑があるので毒々しい感じがする。 この性格の異なった2つの池が山頂火口の中にあるのは単なる偶然?それとも地球の因果律? |
火口はかなり大きい。大きすぎてファインダーに収まりきれなかった。 先に見える山頂は崖になっているのが分る。 |
もうすぐ山頂です。この抜けるような青空が嬉しい。百名山と言う割には意外と登山者の数は少ない。がこの後、沢山の人が登って来た。 |
山頂の台座?ここには何かあったのでしょうか? 山頂のロープの向こうは崖なので近づかない。 |
方位盤の跡だろうか?と思われる山頂の台座を見ると上にザックとサングラスが置かれている。 |
青池と阿寒富士。火口一面は白っぽい火山礫で水はけが良さそう。あの小さな青池でさえ良く水が溜まっているなと思う。 |
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良い山に出会うとお調子者に豹変してしまうオレ! でもこの時は肩の上から滝のような疲労感が・・・精神的にぐったりと疲れてしまって登って来る人との挨拶も口が重く、ダラダラと雌阿寒岳コースを降って行った。 野営場に戻ってみると僕のテント周りのオートキャンプの人達は昼間っからバーベキューをやってて、まったくよく食べるよな!って感じだった。 僕も数年前、コールマン崇拝者の友人から誘われて何度かオートキャンプなるものを体験したけれど朝から夜まで食事を作っては食べ、作っては飲みばかりなのでつまらなくて、それ以後誘われても行かなくなってしまった。 だけどオートキャンプて皆こんなもの?食事を作って食べてばっかりなのか! テントを撤収して歩き出そうとすると「さっきはどーも!」と声をかけられた。見ると山頂でザックを置きっぱなしにしていたアベックが焼肉でビールの乾杯中! 「はぁー、どーも・・・」へらへらと笑いながら挨拶を交わしたけれど何だか物凄く疲れた。 |
沈黙のオンネトーは雌阿寒岳と阿寒富士の良展望地。 せせらぎの下には枯木がそのままの姿で横たわっている。 |
バスに乗って阿寒湖畔へ移動。 バスセンターから歩いて約10分、途中でアイヌコタンを見学して阿寒湖畔キャンプ場へ。 時間はまだ昼間だったので張ってあるテントの数は少なく、自分が好きな場所にテントを張ることが出来た(ここのテント場代は¥630と少し高い)。 テントを張り終えるとまずはコインシャワー、その後はキャンプ場内の足湯へ行き、コンビニで買っておいたビールを飲みながら単行本を読んだ。まさに至福の時間だ。 夕方になるとテントの数も増えた。オートキャンプ、バイク族も多いけれどここはバックパッカーも多かった。 歩いて5分のコンビニで弁当とビールを買ってテントの中で食べた。 北海道に来てからテント内で弁当を食べる時は決まって文庫本を読みながら食べている。 オートキャンプ場は外灯があるのでいつまでたっても暗くならない。普段の山登りでは本は重いので持っていかないし、たまにはこんなテントの過ごし方も良いもんだ。 |
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