荒船山 |
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行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩) ◆12月16日 |
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山日記 浅間山に登った時、頂上から眺める山並みの中、変わった山容の山を見つけた。地図を見ると荒船山とある。確かに大海原を行く船のようである。ただ僕には暑さに溶けたようかんに見えた。どちらにしても変わった奴だ。 天気予報では関東は晴れ、長野は雪。荒船山はどっちだろう?とにかく出かけてみる。下仁田からバスに乗ったのは単独行の男性と僕の二人だけだった。三ッ瀬で下車、車道を歩いていると相沢に観光バスが駐車していた。乗客は一人も乗ってない。団体登山者の下山待ちだろうか? |
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トモエ岩からの展望はすばらしい |
小屋のそばに居る十数人は登山口にバスを待たせていたパーティーだろうか?その中のじいさんと話してみると「最近登山を始めたばかりで今、山登りに夢中になっている」ということだった。「山と渓谷」も毎月購入しているそうで「死んだ時に本を棺桶にいれるか?それとも孫に残そうか?悩んでいる」と笑っていた。まったく「ヤマケイ」編集者に聞かせてあげたい。 リーダーの「11時になりましたので予定通り出発しましょう」との声にそそくさと行ってしまった。 行塚山までの道は展望は無いが平坦で歩きやすく、ここが前から来たかった船の胴にあたる部分かと思うとうれしくなる。途中、地図には載っていないが少し水が流れている箇所あり。 |
行塚山は展望があまり良くなく、早々に引き返す。 トモエ岩から見た物見山は思ったより遠くに見え「あんな所まで歩くのか!」と気合も入るがガッカリもする。トモエ岩からは内山峠にむけて下山する。道は整備さていて多分このルートがメインだろう。登ってくる人にもずいぶん多い。 |
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熊倉峰からの荒船山 鯨みたいに見えた |
内山峠から熊倉峰へ向かう。さっきまであんなに人が多かったのにこの道では誰にも会わない。熊倉峰への登りの途中で振り返ると荒船山が見えた。 荒船山のことを、船だ、羊羹だといったが、ここから見る山はディズニーのピノキオに出てくる鯨を連想させた。トモエ岩が歯であり行塚山が尾びれといったところだ。 風が相変わらず強く人が居ない寂しい道なので気分は乗らない。しかし草の陰に座りサーモスの湯でコーヒーを作りビスケットを食べたら元気が出てきた。 物見岩からは荒船山が目の前に見える。また御座山をはじめとした西上州の山々を遠望できた。 |
物見岩から物見山へ向かっていると小雪が舞ってきた。物見山山頂から八風山、妙義山の展望が良いのだが風が強く小雪が顔に当たり寒い。 もう一度荒船山を見たくなったので物見岩に引き返す。荒船山は夕日にうっすらと染まっていた。 冬の日は短い。急いで市野萱へ向かう。地図では神津牧場から市野萱へは林道と表記されているが立派に舗装されていた。 |
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物見岩から見た荒船山 これを見なけりゃ損だ |
5時を過ぎたあたりで東の空にカペラが輝きだした。それから30分程で満天の星だ。「星を眺めながら歩くのも結構良いもんだ!」と思ったのは最初の10分間だけ。まだ6時前だというのに暗くてライトが無ければ道もわからない。聞こえるのは自分の足音だけ。月の光も無く漆黒の闇に全身が包まれてしまった。都会暮らしのおいらには忘れていた暗闇だ。後は黙々と真っ暗な道を歩き続けた。 突然目の前に鹿が飛び出してきた。心臓が止まるかと思うほど驚いた。「おどかしやがって!」。僕も大声を上げておどかした。斜面を駆け上がった鹿にライトを向けてみると目だけが反射して無気味だった。 |
国道を行き来する車のヘッドライトが見えたと思ったら市野萱に着いた。 下仁田へのバスは僕一人だけだった。運転手さんが「最近、村おこしで温泉が出来たので次はぜひ寄ってください。」「○○山は見晴らしが良い」など話し掛けてきた。 「いくら客が僕一人とはいえこんなにしゃべっていて良いのかな?」と思いながら駅に着くまで運転手さんとずっと話していたのだった。 |
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