権現山
行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他)

◆12月11日
猿橋 (8:28) === 杉平入口 (8:53/9:05) --- (梶尾根) --- 北峰 (10:50/11:15) --- 麻生山 (11:40/11:50) --- 権現山 (12:35/12:50) --- 雨降山 (13:20/13:25) --- ゴウド山 (?) --- 高指山 (14:20/14:25) --- 不老山 (14:40/14:45) --- 不老下 (15:30) --- (道に迷う) --- 四方津 (16:45)

山日記

杉平入口でバスを降りたのは僕を含めて男性3人だった。

権現山は僕にとって地味な山だという印象が強い。相模湖・中央沿線の山と奥多摩の山の間にあって目立たない山。ネットで検索しても登山レポの少ない山。
そんな山に向かおうと思ったのは「日帰りで行ける山でまだ登っていない山が少なくなった」と言う申し訳ないほどのマイナス思考で選ばれた山なのだ。
登山者が3人と言うのは多いのか少ないのか?・・・確かに多くはないよな、やっぱ人気薄の山だな!と登る前からこんなに意気が上がらないのもしょうがないのかもしれない。

ぬるくなった缶コーヒーをすすっている間に他の2人は出発してしまった。
ダウンジャケットを脱いで靴の紐を締め直す。風がスーッと体の体温を奪い去っていく。
白い息を吐きながらポツポツと点在する民家の間を進んで行く。登山道を示す指示板が所々にあるので迷うことはなく登山口へ到着した。

権現山への登山道はいくつかあるがどこがメインルートなのだろう。
この梶尾根の道は枯葉に覆い隠されてしまっていてあまり歩かれてはいない感じがした。
道からの展望は無く、木々の向こう側、かすかにしか見えない富士山の姿にイライラする。このまま権現山頂まで眺望の良い場所は無いのでは?もしかしたら権現山頂からも眺望は良く無いのかもしれない・・・そんな疑心暗鬼になりながらもひたすら登って行くのだ。

ゴツゴツとした岩の登山道を昇り降りしていると目の前が突然開けた。
富士山が目の前にでぇーん、大菩薩もでぇーん。これだよこれを待ってましたぁー。
ここが北峰かぁー、山頂はほぼ360度の展望で、何だか最近思う事が多いけれどこの山も「まだまだ良い山って残っているんだなぁー」としっかり思える山だったのだ。さっきまで登山道ひきこもり状態だった自分が可笑しくなってしまう。

北峰からの富士山の眺望。
富士山が見える頂はあっちこっちにあるけれどもしかしたら一番好きかもしれないと思った瞬間の写真
山頂は展望が良くなる様に木を切ってしまったらしく切り株がアチコチにあった。これは良い事なのか良くない事なのか判断するのはハイカーにとって難しいことなのだけどのだ、ただ目の前に広がる眺望は素晴らしい。
富士山と周りの山とのバランスが絶妙なのだ。まるで富士山に向かって高波が押し寄せているように見えるのだ。
山梨には秀麗富岳12景というのがあるけれどなぜこの景色がその中に入っていないのか不思議に思えた。

北峰からは本当に小金沢連嶺が真横から見えます。
この右はさらに奥秩父の山へと続いているのだけどそれが見せられないのが残念。
更に富士山から西へ視線を移すとそこには滝子山から大菩薩嶺まで、ここまで横一列に並んで良いのだろうか?と思えるほど小金沢連嶺をきっちりと一望することが出来た

以前、登った扇山と百蔵山、目の前に見えるこの2座も富士山の眺望が良い山として人気の山だけど富士山の眺望に関してはここ北峰の方が勝っているように感じる。それにここからだとこの二つの山は周りの山々に埋没してしまったかのようにかなり低い山に見える。

何でこんなところに鏡が?
世界で一番美しいのは誰?てかぁ

何でだよーっ!て叫びたくなったのが山頂の鏡。山頂の木に鏡が、それもシンデレラの劇中に登場しそうな舞台風の鏡が取り付けてあるのだ。
この鏡で自分の疲労度を確認する?化粧を直す?自分の年齢を再確認する?はたまた自分の人生を見つめ直す?使用方法は人それぞれだけれど、とりあえず鏡に映った自分の姿と富士山のツーショット写真はちゃっかりと撮りました(意外とこんなナルシスト的な目的だったりして)。

今回の登山で新しく買った山装備を一つ試していた。
それは・・・ユニクロのHEAT-TECH(アンダーシャツ、タイツ)である。
十数年前、NORTH-FACEからフリースジャケットが発売され、その保温性と機能性に感心した僕は¥15000円で即買いした。ところが翌年にユニクロが同様なフリースをなんと¥1000円で発売、これにはかなりのショックを受けた。
ばぁろーっ、ぜっていアウトドアメーカーもんは買わんけんね!というわけでこの日も着ている服は全てユニクロ製品。
これまで冬の登山ではノースケープのアンダーウェアを着ていたけれど、それと比べるとHEAT-TECHはそれほど暖かくは無かった。生地が薄く腕、胴とピッタリと密着してないので保温性はイマイチなのだけど肌触りが良いので今後も低山の登山では活躍するだろう。

にせ麻生山?からの富士山。雲が増えてきた。


本当の麻生山頂?あまり展望は良くない。

北峰から15分ほど歩いた所に「麻生山」の標識があった。この標識は古びて朽ちかけているのでうっかりしていると見落としてしまいそうだけど、そもそも山頂でない所になぜ標識があるのか謎だ。ただこの場所からは木々の間にポッカリと富士山が見えるので思わず立ち止まってしまうのだろう。そう深呼吸するための場所かも知れない。

麻生山頂は富士山の眺望は良いけれど他の山は木々の間にチラホラ程度だった。
何だか富士山の方向だけ開けていることが作為的に感じるのだけれど、山頂からの眺望が無いのはやっぱり寂しい。木漏れ日を浴びながら一人、富士山を見ながらの休憩はまんざら悪くは無かった。ただその富士山もこの時間から段々と雲に隠れ始めていた。

落ち葉をカサカサと鳴らしながら歩く様はまさしく”冬の散歩道”
♪時よ、自分の可能性を捜してまわるうちに僕がどうなったかを見てごらん
麻生山から権現山へ向かう道は広くて踏跡もしっかりしていた。
急な登りも無くて枯葉をカサカサと鳴らしながら歩く様はまさしく冬の散歩道といった趣だ。
こんなにゆっくりと歩くのは久しぶりだ。風も無く小春日和な日でポットの紅茶の湯気もどこかノンビリしている。

権現山頂はこんな感じで展望も悪くない。良い感じ。

権現山頂は思っていたより狭かった。
思っていたより展望が良かった。
南側の富士山はもうすっかり雲の中で見えなかったけれど北側には三頭山が近く、奥多摩の山の始まりを強く感じさせた。

そしてその向こう側には雲取山から甲武信岳、金峰山への稜線が深い青空の下で薄っすらと雪を抱いていた。体はこの頂にあるけど気持ちは翼をもってその山々を一つ一つ辿っているのだ。

山頂で休んでいると今日初めての登山者に会った(杉平入口でバスを降りた2人以外に)。女性3人組みで僕を見るなり「人が居るよーっ!」ってまるで異性人に遭遇したみたいに言ったのには笑った。向こうも今日始めて他の登山者を見たらしくて、そういった意味ではやっぱり権現山はあまり人気の有る山では無いみたいだ。
この女性達は初戸から登ったらしいけれど僕の先を歩いていた2人には会わなかったらしく、そうするとこの2人はすでに浅川峠に降りたか、雨降山から別ルートで下山したようだ。早っ!

権現山頂からは三頭山がすぐそこ(写真の右側の山)でその奥に御前山、大岳山とあるのだけど残念ながら
お見せ出来ません。写真の左側は奥秩父の山々が続いてます。
権現山から雨降山へ向かっていると登山道脇の木の幹に「立入り禁止」だとか「中に入らないで」とか”いかんよテープ”がやたら巻かれていた。別に脇道があるわけでも無いので好き好んで藪に突入する奴も居ないだろうなと思いながら歩いて行くとその先に「すみれの丘 5月3日見頃」の標識があった。そうなんだ、5月になるとこの辺りはスミレが咲き誇っている稜線に変わるんだな。あと半年先、この登山道のはどんな彩りに包まれているのだろう。

権現山頂で会った女性が「雨降山からの富士山はまだ雲に隠れていなかった・・・」などと言っていたので雨降山頂はきっと展望が良い山に違いないと期待してやって来たけれど雨降山頂に展望は無かった。
山頂には立派な電波塔があって「雨降り」の山名に少し神秘性を抱いていた僕には味気ない感じの山頂だった。
もうこの山頂では休憩する気も起こらず、とっとと不老山へ向かいたいのですが、その登山道が見つからない。しかたなく和見分岐まで引き返して降って行きます。

雨降山頂。この山頂から不老山へ向かう道が見つからずウロウロする。


高指山頂は展望無し。この山行、甘く見ていたけど疲れた。

ゴウド山、これは山頂からの展望も無くて、山名のゴウドについても特に興味も無く、悪いけんどそのままスルーです。

高指山、ここも展望はイマイチの山でただベンチで休憩するだけの山になってしまった。

でぇ、最後の不老山・・・これは予想外のヒットです。相模湖より南側の山々が一望なのです。
道志の山々とか丹沢の大室山とかが大きく見えてここまでの疲れが吹っ飛びます。

不老山頂からは相模湖や石老山、道志山地、丹沢の大室山の展望が良くて最後のご褒美って感じだ。
気分が良くなって不老山から一気に降って不老下へ到着。
この付近で道が分からず迷ってしまった。住宅地ではやたら道が多いので地図に示されている道がどれなのか分かりにくいのだ。

ようやく見つけた不老下バス停へ来てみるとバスの時間まではまだ時間があるので予定通り四方津駅まで歩くことにした。
中央自動車道下までは登りになるけどその先、四方津駅までは緩やかな降りなので思ったより楽だった。

権現山は予想以上に良かった(と言うか今回はあまりに期待無しで山に向かい過ぎ)。
各山頂からは富士山だけがポッカリと見え、それは人為的な感じがしてわざとらしかったけど周りの山をまるで紡ぐような景色の連続には予想以上の出会いがありました。
だけど今回の主役は権現山というより北峰だな。富士山の構図は最高だし、それに鏡の存在にはインパクトがあった。何でもっと早く来なかったのか、季節を変えてまた登ってみたい山です。
ただどの山頂も狭いので大勢で登ってはダメ、一人二人、せいぜい4人のパーティーでノンビリと歩きたい山でした。

あくまでこれは北峰の鏡を覗いた時のイメージです。
最後にラミパスラミパスルルルルルー・・・説得力まるでなし、こんな終わり方で良いのかオイッ!
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