本社ヶ丸、八丁山、大沢山、大洞山
行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他)

◆4月11日
笹子駅 (7:10) --- 角研山 (9:05/915) --- 本社ヶ丸 (10:05/10:15) --- 清八山 (10:45/10:50) --- 八丁山 (11:05/11:15) --- 七丁山 (11:25) --- 1445m地点 (11:45/11:55) --- 女坂峠 (12:05) --- 大沢山 (12:20/12:30) --- ボッコノ頭 (13:10/13:15) --- 摺針峠 (13:45/13:50) --- 大洞山 (14:10/14:15) ---カヤノキビラノ頭 (14:25/14:30) --- 中尾根ノ頭 (15:00/15:05) --- 笹子峠 (15:15/15:20) --- 笹子駅 (16:35)

山日記

2週間前、桜の開花宣言が出た途端に急に寒くなってしまって、それが今週になるとまた急に暖かくなった。
そんな暖かな日曜日の午後、自宅の屋上から多摩川をボンヤリと眺めているとザックを背負った人が土手をジョグしているではないか!
「やってみるしかねぇー!」どうも気合のスイッチが入ってしまったらしく、ペットボトルに水を入れるとその重さは約6キロ、そのザックを背負って10キロを完走・・・したのは良いけど、またしてもヒザ痛が再発してるじゃん!・・・・・・自分でもアホや!と思う。

あれから一週間、この土日は毛無山→竜ヶ岳→本栖湖→三方分山とテント縦走するつもりだったけど、ヒザの状態が心配なのでテント縦走は諦めて日帰りで三方分山→パノラマ台→本栖湖と歩くことにした。


何でか?分からないけれど発車時間を1分過ぎて電車は武蔵中原駅を出た。
たかが1分だと思うかも知れないけれど立川駅で中央本線の大月行きに乗り換える時間が1分しかないのでこの1分の発車遅れも重大なのだ。
でもまーっ、時刻表通りに立川には着くだろうとウトウトしていたら、なんと電車はそのまま1分遅れで立川駅へ到着、それは到着時間=発車時刻という絶体絶命な状態!
どうか神様ーっ!慌てて電車を降りて階段を駆け上り、改札の前を通り過ぎて中央線のホームへ駆け下りると無情にもベルが鳴って目の前で電車のドアがピシャーッと閉まってしまった。

マジでやばい!電車・バスを利用しての山登りではこうした乗り遅れが命取りなのだ。
乗り遅れたから次の電車で!というわけにはいかない場合がほとんどで、この日もこの電車に乗れないと河口湖→西湖行のバスに間に合わない。だからこの時点で三方分山・パノラマ台の日帰り登山はもはや絶望的になってしまった。
隣駅の武蔵中原の始発に乗るために早起きして駅まで30分歩いたのにそれも全くの無駄になってしまった。 ヘコミ度・・・大

さぁーて困った!とりあえず次の高尾行きの電車に乗る。
電車の中で地図を広げる。もう三方分山→パノラマ台を歩くことは無理なので他のコースを考えなければいけない。でもいくら地図を眺めていても歩きたいコースは見つからない。
それだったらいっそ高尾山へ行こうか?高尾山だったら地図も要らないしなぁー。
だけどそうするとせっかく買った大月までの切符が無駄になってしまうしなぁー!

笹子駅で電車を降りる。
ウダウダと迷ったあげくとどのつまりは三ッ峠→大菩薩嶺をつなぐ山旅の続きを歩くことにした。そのコースは笹子駅→本社ヶ丸→八丁山→大沢山→大洞山→笹子峠→笹子駅というもの。
ただこれには問題がある、それは地図を持って来ていないってこと! 心配度・・・大

笹子駅前にはハイキングコースの案内板があって、それによると本社ヶ丸へは駅から大月方面へ進み、そこから林道を登るコースが紹介されているのだけれど、僕のあやふやな記憶によると確か駅から甲府方面に進んだ所にも登山口があったような・・・

笹子駅の裏道を10分ほど甲府方面へ歩いて行くと登山口が見つかった。
10mほど登ると分岐があって、真っ直ぐ進むと沢沿いの道、右へ進むと尾根沿いの道。
どっちの道も本社ヶ丸へ向かっているのだろうか?地図が無いのが何とももどかしい。
ふと前方を見ると沢に橋が架かっているのが見えたので沢沿いの道へ進んで行った。
ところが橋を渡った途端に登山道がハッキリしなくなってしまって、かすかな踏み跡を頼りに更に登って行ったけれど、とうとうパッタリと道が途絶えてしまった。
このまま進んだら遭難してしまうような気がしたので慌てて分岐まで引き返した。

分岐から今度は右の道へ登っていく。こっちの道は尾根沿いで急登だったけれど道はハッキリしていた。こっちの道が正解に違いないのだろうけど20分のロスは痛かった。それにのっけからこれで大丈夫だろうか?地図が無いことに不安を感じながら登って行く。

振り返ると中央自動車道がずいぶん下に見えた。
こんなに大粒の汗を掻いたのは久しぶりだ。Tシャツがしっとりと汗ばんでわずか2週間前にはコートを着て通勤していたのが嘘みたいだ。

道が不明瞭になったら素直に引き返そう!そう思いながら急勾配を登って行くと西側の見晴らしが良い場所に出た(昭文社の地図の1000.6m地点)。ここからは本社ヶ丸や前回登った笹子雁ヶ腹摺山の眺望が良くて、まだこの時点でもはたしてこの道が本社ヶ丸への登山道かは半信半疑だったけれど、もし違っていたとしてもこの景色だけで何だか満足出来るように思えた。


笹子駅からひたすら登って行くと角研山で展望はイマイチ。

登山道は一変して緩やかになり、林道を突っ切って更に登って行く。目の前に山の稜線が近づいた辺りから再び急勾配になった。

稜線の上にポッと飛び出るとそこは角研山(地図には出ていない標高1377m)であまり眺望は良くは無いのだけれど木々の間に白い北岳の姿を見つけると思わずハッとしてしまう。
八ヶ岳も見えるけれど枝がジャマになってすっきりと見渡せないのが何とも歯がゆい。

角研山から本社ヶ丸への尾根道にはまだ落ち葉が積もっているけれど道の両脇辺りは笹の緑が色鮮やかで春の到来を感じさせた。ふっと木々が途切れるとその間から雄大な富士山が姿を見せるのも嬉しい。
歩く度に枝の間を行ったり来たりしていた富士山も本社ヶ丸へ近づくにつれ、山の向こう側へ隠れてしまった。

ちょっとした岩場を登って行くとそこにはでっかい富士山の姿があった。思ったより早く本社ヶ丸へ到着、山頂の展望は良くて、富士山、南アルプス、八ヶ岳、小金沢連嶺などの山をグルリと見渡すことが出来た。前回、笹子雁ヶ腹摺山から見た時よりも山と空の境界線が薄ぼんやりと白く霞んでいて、この空の柔らかさも春を感じさせた。

角研山から本社ヶ丸までは尾根歩きが続く。思ったより早く本社ヶ丸へ到着。山頂からは三ッ峠山と富士山の眺め。


本社ヶ丸山頂の様子。南アルプスや大菩薩、八ヶ岳の眺望も良かった。春らしいポカポカな山頂だった。

山頂で一休みした後、隣で休んでいた男性に地図を見せてもらった。
これから向かう清八峠から笹子峠までのプチ縦走路は昭文社の地図では難路として表記されていて、僕のかすかな記憶だけでははなはだ心もとない。
見せてもらった地図で山の名前、笹子峠への到着予定時間を調べる。登山道がずっと尾根沿いになっていたのは幸いだった。

山頂には僕の他に4人の登山者で皆さんゆっくりと昼食中。多分、地図を持たずに登山している僕の姿が初心者に見えたのだろう。皆さんから清八峠→変電所→笹子駅までの道を詳しく教えてもらうことになってしまって、説明の途中で「そっちへは行かないんですよ!」と言い出すことも出来ずに最後までウンウンと説明を聞くことになってしまった。
どうもありがとうございました、助かりました!とお礼を言うと、あわただしくザックを背負って先へと向かった。 罪の意識・・・大!

清八山頂からは富士山や南アルプスの展望が良かったけれど、緊張しているのだろうか?あまり展望を楽しむ気分にはなれなくて、それよりもこれから歩く大沢山、大洞山までの稜線を確認する事に意識は集中していた。
山頂から三ッ峠方面へ下って行くと整地された場所があって、この脇から八丁山への道が分かれていた。分岐点には標示は無かったけれど道はハッキリとしていた。もしこの道が見つからなかったら三ッ峠までの縦走に変更するしかないと思っていたので道が見つかってとりあえずは安心だ。

本社ヶ丸から清八峠までの途中には岩場もあって富士山の眺望が良かったけど別に腰に手を置くこともあるまい。


登山道の出っ張りのような清八山頂。ここも展望が良い山。さていよいよここから笹子峠へ向かうのだ。

地図が無くて大丈夫だろうか?などとかなりビビリながらその一歩を踏み出したけど「難路」の割にはよく歩かれているようで道はしっかりと踏まれている。

清八山から歩き出して10分で最初の分岐があった。標示の一方が八丁山でもう一方は女坂峠なのだけど、なにせ憶えている地名は大沢山、大洞山、笹子峠とこの3つだけなのでどちちに行ったらよいのか?早くも悩んでしまう。
ただ女坂峠への標示は大沢山へと続く尾根の方向を指しているので向かうべき道をどうにか判断することが出来た。
この分岐には「八丁山まで10分」の標示があって、せっかくここまで来たのだから女坂峠へ向かう前に八丁山へピストンすることにした。

清八山頂から釈迦ヶ岳の向こうに荒川岳、塩見岳の姿。
釈迦ヶ岳ってまだ登ったこと無いけれど車道がジグザグ。


京戸山の向こう、こっちには農鳥岳、間ノ岳、北岳。
こうやって見ていると今年の夏は南アルプスもいいなー!

八丁山の方へ5,6分歩いて行くと岩がゴツゴツした見晴らしが良い場所に出た。ここが八丁山なのかな?と思ったけれど山頂を表す標示物が何も無いのでさらにズンズンと先へ進んで行った。
ところが道はドンドン降って行くばかりでオカシイ!と気が付いたのは八丁峠近くまで降ってしまってからのことだった。
まったく行き当たりばったりだ!地図が無いとこれだから困る。これでまた15分のロス!!!

再び分岐まで戻って女坂峠へと向かう。
登山道は尾根道で木々に遮られて展望は利かないけれど、緩やかに降っているので歩くのは楽だった。
途中のピーク(1531m)の木に取り付けられた「七丁山」の札に人の匂いを嗅いだ様な気がして、登山道も思ったよりしっかりと踏まれているし、急に緊張がゆるんでいくのが自分でも分かった。これを機に普段の山登り、周りの山やすっかり葉を落としてしまった広葉樹を眺めながらのノンビリとした山歩きへと変わったと思う。

見落としそうな七丁山。と言う事は八丁山の標示は見落としてしまったのか?


良く見るとあっちこっちに春の小さな片鱗が。


こっちもだ、カラ松も薄っすらと緑に変わろうとしてる。
登山道からの展望はあまり良くは無かったけれど、途中2箇所の送電塔からの展望は良かった。もともとこの登山道は電力会社の作業道だったのかもしれない。途中いくつか分岐には「送電線巡視路」とか「笹子駅」とかという標示が多いのもそのためだろう。

今回のコースで一箇所だけ危険な箇所があった。
女坂峠への降りはヤセ尾根の急斜面で、あまりに急なので「他に道があるのでは?」と周りを探したけれど道は見つからず、それに斜面の下を見ると一人の男性が立っていてこっちをジーッと眺めているので、これはもうこの斜面を降りるしかないんだ!って感じだった。
木の枝とか根っことかつかまりながらそろりそろりと降りて行くと男性が近づいて来て「この先はこんな箇所ばっかりでしょうか?」と心配そうに尋るので「いや、ここだけですよ!」と余裕のフリをしていたけれど内心は「ここでこけたら恥ずかしかったなぁー!」と思っていたのだ。

清八山からここまでの分岐の標示には必ず「女坂峠」の文字があるで、はたして女坂峠とはどんな場所だろう?と思っていたけれど、いざ女坂峠へ着いてみると麓へ降りる道などは交差してなくてこじんまりしたただの小さな鞍部だった。

大沢山頂にはベンチもあってこの縦走路中で一番昼食にピッタリの場所かな?


大沢山頂からはこんなに富士山の眺望が良かった。
ノンビリした居場所でもある。

この縦走路は全体的にあまり開けた場所が無いので大沢山頂からの展望に、久しぶりに丸ごとの富士山を見たような気がした。ここにはベンチもちゃんと設置されていて休憩するには良い場所なのだけれど、ここまで整備してある難路ってどうゆーこと?って疑問もあるけど、一人静かに山頂のベンチに座ってオニギリを食べながらの富士山はやっぱり良いなぁ。

本当にこんな時には地図が無いと困る。大沢山頂から先へは道が2つあってさてどっちへ進んだら良いのか分かりやしない。
木々の間からかすかに見える景色で尾根へと続いているのはどうやら左の道らしいので山頂でほぼ左へ直角に折れる道を降って行った。

ボッコノ頭も展望はイマイチだけど山頂を囲む木々の感じは良い感じで新緑や紅葉の時期も良いかもしれない。


ボッコノ頭からは小金沢連嶺が一望出来た。
ところでボッコって何んだ?

ボッコノ頭はやっぱり展望は良くは無かったけれどその山頂は広くて広葉樹の森の中にあった。
山頂はフカフカとした落ち葉に包まれていて、それは春の陽だまりとも違和感は無くて、しっかりと自然の中にどっぷり浸っている安堵感があった。
それにこのコースには小鳥も多くて、エナガだと思うけれどすぐ頭の上の木の上に止まってピーチュルと鳴いている姿をよく見かけた。それは高い山では決して出会えない、こんな静かな山だからこそのほんのささやかな歳時記だと思う。

やっと着いたよ大洞山。地図が無いとコースタイムも分からない!広い山頂からの展望はここもイマイチだった。
大洞山頂へ着いた時、これで今日最後の山だと思ったらさすがにホッとした。
本社ヶ丸を歩き出してからそんなに時間は経ってはいないけれど地図が無い不安からか?やっぱりどこかノンビリ歩けなかったような気もする。
この辺りまで来ると木々の間から本社ヶ丸の全体が良く見えるようになって、その姿を見ていたら自分でもよく歩いたなぁーと思う。

残っていたサンドイッチとオニギリをガン食いして、トマトジュースをグビ飲みするとザックが軽くなった。さあ、もう少しだ頑張ろう!
カヤノキビラノ頭はベンチもあって休憩するには良い場所だ。真新しい案内板があったので見ると今日歩いた清八峠〜笹子峠までの区間は「森のほっとスポット整備事業」ってことで登山道が整備されているらしい。どうりで昭文社の地図では難路となっているけれど歩き易かったはずだ。何もここまで気合入れて歩くことも無かったのだ。 拍子抜け度・・・大!

もし時間があったらここカヤノキビラノ頭から達沢山までピストンしようと思っていたけれど、もうそんな時間は無かったし、何よりもその根性も体力も残って無かった。
達沢山や京戸山からは南アルプスが近くに見えるのだろうと楽しみにしていたけれど今回は諦めるしかない。
木々の間、白くなった空の中に富士山がポッカリと見えた。ここでお別れだね。

カヤノキビラノ頭から20分ほど歩くとベンチのあるピークに出た。
だから地図が無いとダメなんだって!このピークから道は2つに分かれていて、右へ行くか左へ行くか?最後まで迷ってどーする!
木々の間から見るとどうも左の道が笹子峠への尾根へ続いているようだし、右の道は地面にトウセンボする様に丸太で遮られているのでここは左の道へと進んだ。

そこからわずか5分で中尾根ノ頭へ到着したけれど、はたしてこの先が笹子峠なのか?地図が無く、まだ半信半疑なのであまり展望を楽しむ気分にはなれなかった。
もっともこの時間になると空の青さは薄れ、雲なのか空なのか分からないほど白く霞んでいるので南アルプスの姿を確認することは出来なかった(帰宅後に知ったけれど、この時、近くの棚横手山では山火事が発生していたらしい、でも全くその事には気が付かなかった)。

カヤノキビラノ頭にもベンチがあって富士山の眺望も良かった。今日最後の富士山の眺めだった。


多分、こっちの方向に南アルプスが見えるのだろうけれど、もう空は白くなってしまっていて何も見えなかった。

中尾根ノ頭から降る途中で眼下に甲州街道の白いガードレールが見えた。
地図が無くて緊張の連続だったけれど、どうにか無事に歩き通せたのだ。達成感と言うより一つの仕事がどうにか無事に終わった感じがした。これで三ッ峠から大菩薩嶺までがつながった。
笹子峠に降り立った時にはさすがに軽い疲労感を覚えた。

今日歩いた山には濃厚な彩りは無かったけれど、毎日の仕事に追われているとこんな何気ない低山が妙にジーンとするもの。 満足度・・・大
笹子峠から笹子駅へ向かう途中、急に忘れていた事を思い出した。
あーっ、今回の山行はヒザのリハビリだった、歩き出してすぐに忘れてしまってた。ボケ度・・・大

やっと笹子峠へ!
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