鹿島槍ケ岳、五竜岳(扇沢―種池山荘―爺ヶ岳―布引岳―鹿島槍ヶ岳―五竜岳―遠見尾根) |
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行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩) ◆7月19日 ◆7月20日 |
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山日記 梅雨明けは大体7月20日前後であるが”梅雨明け10日”と言うように梅雨明けから10日間位は天候が安定している時期だ。山登りをこよなく愛する人にとっては梅雨明け宣言は夏山宣言であり、行け行け宣言なのだ。「待っていました!」とばかりに気持ちは遥か天空の頂まで飛んで行ってしまうのだ。 (注:ここから信濃大町に着くまでの話がやたら長く、おまけにくだらない内容なので忙しい人は飛ばして読んで下さい) 天気予報での梅雨明け宣言を聞いて早速”みどりの窓口”に行った。夜行列車の急行アルプス号が上手い具合に予約できた。 車内は冷房が効いていないのか?蒸し蒸しと暑かった。階段を全速で走って来たので汗がドッと吹き出てきた。この電車は名前がアルプス号というくらいなので車内はザックを抱えた登山者ばかりでごった返していた。通路はもちろん、乗車口まで通勤ラッシュ並みの混雑である。自分の席まで移動しなければならないが車内を通って移動は出来そうに無いので次の八王子駅で一旦ホームに出て移つことにした。 大町駅前から扇沢行きのバスに乗る。バス乗り場は登山者でいっぱいで座れるか心配したが増発便が出たのでどうにか座ることが出来た。バスの中で少しでも眠ろうと努力したが努力している最中に扇沢に到着。バスを降りると扇沢は沢山の登山者で賑わっていた。どの人の顔も楽しそうだ。それに引き換え僕は睡眠不足で頭がボーッとしたまま登山口へ向けて歩き出した。 |
立山をバックに種池山荘の赤い屋根が実に印象的な景色です! |
結局、こんなにダラダラと歩いてきたのに予定よりも早く種池小屋に着いてしまった。 エレキギターの神様エリック・クラプトンは指の動きに無駄が無く、難しいフレーズを弾いている時も余り指が動いていないように見えるため、付いたあだ名が”スローハンド”。この僕も足運びに無駄が無いため、ゆっくり歩いているようで実はものすごく登るのが早く、ついたあだ名が”スローフット”。。。まあそんなことあるわけないよなー!地図のコースタイムは少し甘く表記されているだけだ。 |
小屋の前で休憩していたら小屋のオヤジが出てきて「運搬用のヘリが来るので小屋の中に入って下さい!」と良く通る声で叫んだ。周りにいた人はゾロゾロと小屋に入っていったが僕は「ヘリコプターの搬送シーンを見れるせっかくのチャンスだ!少し離れていれば危険なことは無いだろう!」と小屋の外に立っていた。 やがて遠くで「パタパタ」としていた音が段々近づいてきて「バリバリ」と変わった。「オーッ!ヘリがやって来たぁー!」と最初はワクワクしていたがその内に「コリャ!マズイ、マジヤバーッ!」状態になってしまった。予想以上に風が強く周りの草木も台風中継みたいにバタバタと揺らぎ始めた。更に風がドンドン重くなっていき周りの草は地面にべったりと押し付けられた状態になった。慌てて帽子を押さえて小屋の陰に逃げ込んだ。ヘリコプターのこんなに近くで見るのは初めてだがこんなに風が強いとは思わなかった。考えたらあの機体と荷物をこの風圧で持ち上げている訳だから当たり前である。 ヘリコプターは荷物を降ろすと「バリバリ」と爆音を残し大空に飛び去って行った。小屋からゾロゾロと人が出て来て明るい笑い声が広がり賑やかさを取り戻した。僕は「なんでこんなんでビビッてんだろー!情けねぇー野郎だ!」と自分に叱咤しながら爺ヶ岳へ向け出発するのだった。 爺ヶ岳への登山道は尾根道となり展望が良い。種池小屋を振り返ると夏の光にキラキラと輝く緑の中に小屋の赤い屋根が印象的だ。この景色で完全に元気になった。大体僕はお調子者なので落ち込んでいても直ぐに立ち直る性格なのだが元気の源はやっぱりこの景色だ。ありきたりの表現だが一言で言えば「最高!」の気分である。北アルプスの山は岩が乱積した山頂の印象が強いがこんな深緑の景色も良いなと改めて感心した。 爺ヶ岳山頂は360度の展望だった。地図と展望を見比べながら「あれがあれで、これがこれか!」などと山の形と名前を符合させていると僕もいっぱしの山ヤになった気分である。 |
立山を見ると山頂にまだ雪が残っているのに、ここ爺さん山はお日様ジリジリ状態のてっぺんなのだ。立山と爺ヶ岳の緯度はほぼ同じであるのにえらい違いだ。 爺ヶ岳から冷池小屋へ向かっていると稜線の東側から分厚い雲がモクモク湧いてきた。稜線の向かって左は晴れているのに右は雲で真っ白になり何も見えなくなってしまった。雲に向かって「こっちへ来るなよー!あっちへ行けー!」と念じてもやっぱり同じだーね。 |
爺ヶ岳山頂 360度の展望に「最高!」これ以上言うこと無し |
冷池小屋にはかなり疲れて到着。小屋の前では早くもテントを張った人たちがビールを飲みながらのんびりと景色を眺めている。”冷池”と言うくらいだからビールも良ぉーく冷えている違いない。この小屋を過ぎると鹿島槍まで2時間、更にキレット小屋まで2時間の計4時間のコースタイムである。そこまで歩けるだろうかとちょっと心配になる。休んでいる人を見ていたらいっそこの冷池小屋に泊ってしまおうか、冷えたビールをゴクゴクと咽喉に流し込んでやろうか!」と誘惑されそうな気分だ。 |
爺ヶ岳から立山を見る 天上の散策路だ! |
でも天気は良いし景色も良い。「こんな恵まれた日に頑張らんと何時がんばるんだ!」と気合を入れる。 小屋を出てしばらくはお花畑の中を歩く。なんだかドンドン歩いて行ってしまうのがもったいない道なのだ。今度、来た時はゆっくり歩こう。ここの花畑が綺麗なことをしっかり覚えていよう!だから今回はスマン!スマン!なのだ。 米つきバッタみたいにスマン!スマン!を繰り返していたら鹿島槍ヶ岳山頂に到着。文章では一行だが歩くと2時間かかったのだ。 |
途中の展望はやっぱり登山道の右側(信濃大町側)はガスって真っ白け、左側(立山側)は快晴とハッキリ分かれていた。鹿島槍山頂(南峰)からも信濃大町側はびっしりと雲に埋め尽くされ展望は無かったが立山側はかろうじて見えた。五竜岳は東から分厚い雲が押し寄せてきて今にもその雲に飲み込まれそうだ。北峰は湧き上がる雲にかろうじて山頂だけが頭を出していた。 それにしてもこれは晴れていたらすごーい!展望に違いない。とにかく残念。。。。しかし「残念!」だと思う気持ちが意識の中に感じられた途端に今度は「ちかれたー!」という思いが湧き上がってきた。じっくりと景色を眺めるためにというより疲れのために崩れるといったような感じで座り込んでしまった。登り始めて6時間も歩いているのだから”当たり前田”なのだ。 |
さて、ここからキレット小屋までは僕の嫌いな危険野郎な道なのでとにかくゆっくりでも良いから気を抜かないように歩かなきゃいかん。夏山の滑落事故は「なんでこんな場所で???」と思われる箇所で発生していることが少なくないと雑誌に書いてあったのを思い出した。良い時に良い事を思い出した。僕の前頭葉も中々賢いぞ!エライエライ! つまりここから山小屋まではなぁーんてことない道でもなぁーんてことある道でも常に気持ちを引き締めて歩かなくてはならないのだ。 |
五竜岳に向う途中から鹿島槍を振り返る |
少し緩んだ頭のネジを締め直して降りにかかる。ザレ場を降って行くとちょっとした岩場があるがたいしたことは無く、結局心配していた危険マーク箇所もなぁーんてこと無く無事キレット小屋に到着したのだった。 キレット小屋の部屋は2段ベットみたいに一人ずつ木の枠で仕切られていた。数人で泊まる人には隣の人とのコミュニケーションを取りづらいかもしれないが僕にような単独行には他人に気兼ねなく寝ることが出来るので心地良かった。周りのおばちゃん達が話しているのを聞いていると昨夜、五竜岳小屋も種池小屋もすごい混みようだったそうだ。ここキレット小屋は穴場的な小屋でいつも比較的空いているそうである。(それにしても五竜岳小屋も種池小屋、この離れた二つの小屋の情報をどうやって知ったのか?。。。オバサンの情報網は流石だ!) |
五竜岳までもう少しだ! |
翌朝、朝食を食べて小屋を出ようとした時、そばに居た男性が日焼け止めクリームを顔にベタベタ塗りたくって真っ白の”バカ殿”顔になっていたのを見て思わず吹きだしてしてしまった。僕は一旦笑い出すと止まらなくなるので慌てて小屋を飛び出して外でおもいっきり笑った。オーストラリアでは最近、オゾン層の破壊で有害な紫外線が多量に降り注いでいるみたいなことをテレビニュースで言っていたが日本でも危ないのか?気のせいか女性ばかりでなく日焼け止めクリーム+つば広帽子の完全武装の男性も目立つのだった。 |
朝から天気が良く歩いていて気持ちが良い。そのせいか危険マークの箇所もヒラリヒラリと難なく通過して行くのだった。途中にちょっとした岩場で人がすれ違えない場所があった。向こうから人が来たのが見えたのでこちらで待機していた。 しかしいくら待ってもその列が途切れることは無く延々と続いている。やって来た人に「向こう側に人は多いですか?」と尋ねると「私達50人のパーティーなんです!」と言う返事だった。こっち側は僕を入れて3人だけである。岩場の向こう側を見ると男性が脇に立って誘導していたので「こちらは3人だけなので先に通させてください!」とお願いしたら誘導していた男性が「私達は同じパーティーなので途中で列が途切れるとマズイんです!」と返事が返って来た。列が途中で途切れると何故マズイのか?僕には分からない、むしろ10人ずつ位に分かれた方が歩きやすいと思うのだが。。。結局15分ほどパーティーが通過するのを待った。じっと待っていることってもの凄く疲れることなんだと勉強になった。 |
いくつかのピークを過ぎると五竜岳山頂である。結局、地図には危険マークが沢山あって僕を心配させたけれど歩いてみるとたいしたことは無かった。今度来る時はテントを担いでもっとゆっくりと攻めたいと思うのだった。 五竜岳に登ったのは今回で2度目である。前回の印象は「天気が良かった!」というなんだか少し情けないことしか憶えていない。今日も快晴である。白馬岳を見ると東からモクモクとした雲に今にも飲み込まれそうである。鹿島槍も雲が東側から沸きあがってきた。 |
白岳辺りから五竜岳を見る 青空が良く似合う! それにしても上の三枚の写真の僕のポーズは腕組でどれも同じ!我ながら参った。 |
なんだかこの山頂だけが雲をはねつけている様に見える。僕は太陽と仲良くなりたくて山頂をグルグルと歩き回った。 なんだか今回の印象も「晴れていた山頂!」で終わりそうであるがまぁー良いか!。 遠見尾根を降る。この道は「これでもかー!」というくらい降りが続く。標高もドンドン下がってくるので暑くて死にそうだ。 |
●山麓をゆくへ |