甲州高尾山、棚横手山 |
行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩) ◆12月24日 |
山日記 電車が大日影トンネルを抜けると車窓の外に甲府市街の町並みが広がった。 その向こうの南アルプスの山々はでっかい壁のようだ。 中央本線を利用して山へ向かう時、列車の車窓から見える甲府市街の町並みとその向こうの南アルプスの山々は雄大で通過する度に気になる存在だった。 この風景をどこかの山から見てみたい! この願いを叶えてくれる山を見つけたのは“高尾山”をネット検索している時だった。 甲州高尾山は標高は1000mほどで低いけれど甲府盆地の北東に位置しているので甲府市街と南アルプスを一望出来き、おまけに富士山も見える山だと紹介されていた。 以前の昭文社の山岳地図では登山道の表記も無いような山だったけれど南アルプス、富士山の好展望地として、また都心からも近いこともあって最近は登る人が増えたようだ。 駅を出て右に曲がり高架下をくぐる。 駅を降りてそのまま登れる山は気楽で良いのだけれど駅周辺の住宅地は道路が入り組んでいるので道を間違えないように地図を見ながら歩いて行く。 大滝不動尊の案内板にしたがって道を折れ、郵便局、小学校と地図のマークを確認しながら進んで行くとやがて大滝不動尊前宮へ到着。 ここから道は急に細くなり勾配も急になった。ダウンジャケット、フリースを脱いでTシャツ一枚になっても暑くてたまらない。汗ダクダクになりながら三滝橋へ到着した。 この先、大滝不動尊奥宮まで道は山をグルリと巻くように進んで行く。勾配も平坦になって急に足が軽くなった。朝の凛とした空気の中で木々の間に見える甲府市街地が銀色に光っていた。 門をくぐって石段を登って行くと本堂の奥に大滝が見えた。今の時期だけかもしれないけれ落差はあるのだけれど水量が小さくて何だか寂しい滝だった。 本堂の右脇から登山道へ入って登って行く。 途中に山の斜面の崩壊で道が無い箇所があり、注意しながら登って行くとT字路の林道に飛び出した。 やっと登山道を歩けた!山らしくなった!と思っていた矢先だったので整備された道にはさすがにガッカリした。 広い空に押しつぶされたように甲府市街の町並みが広がっていた。 日蔭になった展望台には小さな祠があり、西側は開けていてそこからくっきりと青い空が覗いている。黒い山陰の向こう側に朝日を浴びた市街地や山々の姿がくっきりと浮かび上がり、映画館で動かないスクリーンを見ているみたいだった。 これで南アルプスに雲がかかっていなければ何も言うこと無しなのだけれど。 |
展望台から見た甲府市街の町並み。南アルプスは雲が多かった。 |
T字路へ戻って今度は棚横手山へ向かう。 林道を10分ほど歩いていると右へ山道が分岐していた。暗くジメッとした植林の中を登って行くと明るい稜線へ出た。ここで富士山とご対面! 富士山が見えると聞いてたので、いつ見えるか、どこで見えるか、と歩きながらワクワクと期待していたのでやった見えたよ!って感じで何だかホッとしてしまった。 富士山の周りの山々は逆光のせいでシルエットにしか見えない、その黒いシルエットの上に真っ白い雪を被った富士山がニョッキリと顔を出していた。富士山辺りは風が強いのだろうか?次々と雲が湧き上がってはその表情を絶えず変化させている。 富士山の周りの山もやっぱり気になる。特に自分が登ったことがある山も有るだろうからその姿を確認したくなる。 三ッ峠山山頂の鉄塔って景観を損ねるものだとして邪魔なもの要らないものとしか思えなかった。けれどこうしてそのシルエットでしか山を確認できないとなると鉄塔の存在は有り難かった。 鉄塔があるのが三ッ峠山、そうするとその隣が黒岳・・・というふうに芋づる式に山名が分ってしまう。 |
待ってました!富士山とのご対面はホッとさせる瞬間 |
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棚横手山へ向かう。登山道は展望が良くていつも右に富士山を見ながら歩く。 |
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富士見台を過ぎるとこんな気持ちの良い尾根歩きが続く |
鳳凰三山も見える。やっと雲が取れて展望が広がった |
来た道を戻り、富士見台へ向かう。富士見台!登山道からはずっと富士山が見えているのでわざわざそう呼ばなくても?などと思って歩いて行く。、何だ何だ!富士山が段々と近くなって行くではないか。富士山の大きさに比べたら僕が歩いている距離なんてただがしれているのに一歩足を進める度に確実に富士山は大きくなっていった。そして富士見台がこの稜線上で一番富士山が大きく見える場所だったのだ。 |
甲州高尾山の下には林道があってちょっとがっかり。 |
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富士見台を過ぎ、起伏の少ない道を歩いて行く。 |
甲州高尾山山頂からの白峰三山 この左側のは荒川岳や赤石岳も見えていたけれど写真は残念だけど割愛しました。 |
前方に南アルプス、左に富士山を見ながらノンビリと歩く・・・何と言う贅沢! 棚横手山や甲州高尾山は標高が低いのでヤッホー度はイマイチだけれど富士山や南アルプスの眺望は良いのでガッツリ度はそうとう高い! しかし残念なのは登山道の20mほど下には林道が並行して走っているので”山登り”という感覚の希薄さには始終悩まされる。 |
甲州高尾山山頂。風も無くてポカポカなてっぺんでした。 |
高尾山山頂からの富士山はこんな感じでかろうじて見えている |
名前は剣ヶ峰と勇ましいけれど、どーってことないダラリとしたてっぺん |
甲州高尾山山頂には僕を含めて山頂には3人だけだった。あまり登山者が多いのには耐えられそうにないこじんまりした山頂だったけれど展望は良かった。 |
甲府市街や南アルプスを下に見ながら降って行く。こんなに眺望の良い登山道も珍しい。 |
甲州高尾山は富士山が見えるギリギリの高さだったのだ。 山を降り始めるとすぐに富士山の姿は黒岳の向こう側に見えなくなってしまった。 ドンドンと降って行く。標高も低くなって気持ち的には山を降りるだけ!と既に帰宅モードなのだけれど、どっこい展望はこれでもかっ!と終わりはしない。 南アルプスがより近くに迫ってくる、これまで木々に遮られていた奥秩父や八ヶ岳も一望出来るようになっていった。金峰山は灰色の重そうな雲が山頂にまとわり付いている。金峰山の左に見える白く雪を抱いた山は赤岳だよな! |
まだ残っていた山火事跡。焼け残った木が墓標のように立っていた |
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甲府市街地を下に見ながらドンドンと降って行く。 |
東京側のトンネルはワインワイナリーとして利用されている |
鉄橋を渡っていよいよトンネルに突入します |
甲州高尾山の下へ行きまーす! 行く気まんまん!!! |
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全長1.2キロ 中央本線大日影トンネルの遊歩道。トンネルの両脇がきれいに舗装されて歩き易くなっていた。 ただちょっと薄暗くて不気味。 |
トンネル内はワインワイナリーとして利用されているくらいなので気温が外より数℃低く、また冷たい風が吹き抜けているので寒かった、慌ててフリースを着込んだ。 トンネルの壁は一面の赤レンガ造りらしいけれどスス汚れや石灰化により黒や白に変色していっそう物々しさを感じさせる。 全長1.2キロメートル、トンネルの先を見ると一定間隔で設置された蛍光灯の光が青白い輪になってずっと奥まで続いている。はるか向こうに見える出口は心細くなるほど小さな白い点だ。 一定間隔で設置されている待避所に当時の写真や解説が展示されていてちょっとした交通博物館みたいになっていた。時代の流れとトンネルの閉塞感、重々しい空気の中では壁に描かれた文字や数字もどこか歴史的な遺物に見えてしまう。 |
待避所はライトアップされて解説が有ったり無かったり。 |
向こうの出口は小さな点。線路の真ん中は溝になっている箇所あり注意 |
これは何かの暗号? 何もかも意味深に見えてくる |
トンネルの中間地点。 だけど先を見るとまだまだ長い |
資材置場を利用した休憩所。なんだけれど薄暗くてあまり休憩したくない |
出口(ぶどう郷側入口)は新旧トンネルが並んでいる |
1.2キロの道程は普通に歩いたらつまらなく退屈だろうけれど、このトンネル歩きは何だかもう終わってしまったのかという感じて出口に着いてしまった。 |
駅のホームから南アルプスを眺める。やっぱいいなぁー、良い一日、良い一年だった。 |
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