細野山、倉岳山、高畑山

行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他)

◆ 2022年11月6日
梁川駅 (7:35) --- 寺下峠 (9:20/9:30) --- 舟山 (9:40)
--- トヤ山 (10:30/10:45) --- 細野山 (11:35/11:40) --- 立野峠 (11:40/11:45)
--- 倉岳山 (12:15/12:25) --- 天神山 (13:00) --- 高畑山 (13:35/13:50)
--- 石仏分岐 (14:30) --- 鳥沢駅 (15:10)
山日記

隠れた名店、隠れた名曲ってあるけど隠れた名山・・・そんな山ってあるのだろうか?

紅葉の山に行きたい、出来れば近場で。
ウノタワの紅葉最盛期は11/1〜11/5、高尾山は11/10〜11/20日、それじゃ11/5〜11/10日までに行くべき山は?
まだウノタワでも遅くないのでは?と思ったけど僕は乗り物酔いが酷く、ウノタワの登山口である飯能駅から名郷までの70分のバスに早朝の寝ぼけた体で耐えられるか?自信がない。

はたしてバスゲロをしてまで紅葉終盤のウノタワは行く価値があるのか?ゲロとウノタワの狭間で気持ちは大きく揺れた。

近郊の11月の紅葉の山を検索してみると、どの山も紅葉の時期に登ったことがある山ばかりで、それも本当に再訪したいと思う山は少なかった。

その中で一つだけヒットした山があった。「紅葉の山を楽しむことが出来ました!」と出たのは倉岳山だった。
倉岳山って地味な山で余り人気があるとは思えず、まして紅葉のイメージは全く無い。
そのサイトを見ても紅葉の写真は少なくて「それほど感動したのならもっと紅葉の画像をアップしろ!」としか思えなかったが一つ気になったのが「紅葉の素晴らしい場所はトヤ山だった」の文言だった。
トヤ山は倉岳山の隣だけど登る人は少ない山だ。何か気になる、非常に気になる!

以前、二十六夜山に登った時に舟山北側斜面の新緑が印象的だったので今回はその場所の紅葉を期待してまずは寺下峠へ向かうことにした。

トラロープに掴まりながら舟山の急斜面をジグザグに登っていくと予想通り広葉樹林の薄い黄緑色が北側斜面を澄んだ秋色に染めていた。ただ光はまだ届かず控えめな紅葉だった。

舟山を巻くように寺下峠へ歩いて行くと茂みの間に紅葉した矢平山が見えた。
ちょっと失敗したかな?高柄山→矢平山→倉岳山と繋げて歩いたほうが面白かったのでは?と思った。


以前来た時の新緑が忘れられずに寺下峠を目指した。


舟山を登って行くと北側斜面は広葉樹の黄緑色の紅葉に満ちていたけど残念なのは北側なので暗い。


舟山を巻くように寺下峠へ歩いて行くと木々の間から差し込む太陽が眩しかった。


茂みの向こうには紅葉した矢平山が見えて、あの山も登った方が良かったかもと後悔。

寺下峠は暗くて地味な峠だ。
峠から矢平山の方へ少し登ると明るい小ピークがあったのでそこで休憩すると紅葉の期待を胸に舟山へ登っていく。

舟山への登山道は斜面一面に檜が植林されていて紅葉の気配を全く感じず「まさかこの先もこんな暗い緑色しか無いってことにならないだろうな!」と疑心暗鬼になってしまう。

急な斜面を登って行くと道が緩やかになり、そこはまるで紅葉の分水嶺であるかのように尾根の左側(南側)は檜の緑色、右側(北側)は広葉樹の黄色とキッチリ色分けされていた。
南側の檜の森が太陽の光を遮断しているので北側の紅葉は日影の中で眠っているようにボンヤリした色だ。

尾根北側の広葉樹は黄緑色、南側の檜は深い緑色なので紅葉を求めて視線は常に北側の景色を追っている状態で歩いて行けど気分はいまいち盛り上がらない。


舟山へ植林帯を登って行くとそこは広葉樹の森が広がっていた。やっぱり残念なのは左側はずっと檜の林。


紅葉の山を撮ろうとすると左側を避けるのでこんな構図ばかり。左側には檜の林が続いている、


舟山は眺望無し。


トヤ山も眺望無し。


段々と頭上の紅葉が増えて、それに色が濃くなったのは嬉しい。


くすんだ赤色だけど黄色が多い山では赤色はより目立った。

忍び足だった秋がとうとう近づいて来た。

眺望の無い舟山山頂を過ぎても相変わらず尾根の左側には檜の林が続いていたけどトヤ山(鳥屋山)からついに紅葉の解放区に変わった。

岩尾根のため植林出来ないのだろう、登山道の両側に植林は明るい紅葉で満たされるようになった。

紅葉の名所というのは紅葉した木々が広域してあること、連続してあることが必要なのだと実感させられた。

トヤ山から細野山までに数百メートルに渡り素晴らしい紅葉の道が続いた。
(今回のコースでこの区間のみが登山道の両側に紅葉が広がっていた。他は片側が植林されている場所が多かった)。

立野峠も紅葉していたので倉岳山もその勢いで紅葉しているのでは?とソワソワ、ワクワクせずにはいられない。

山頂が近くなり道がジグザグを繰り返すようになると折り返した先には必ず紅葉した木々が待ち構えていて、それに答えてこっちも律義に足を止めるので中々先に進めなかった。


トヤ山から先は岩尾根になり紅葉に開放された場所みたいだ。


来て良かった!と思える予想以上の紅葉です。


少し歩くと少し景色が変わってそれが嬉しくてついつい何度も立ち止まってしまう。


舟山の片肺紅葉も良いけれどやっぱり紅葉には太陽が似合います。


自然が作った紅葉の回廊がトヤ山から数百メートル続く。


見上げるとモミジの紅葉なんだけど・・・モミジって漢字で書くと紅葉なんだね。


細野山もやっぱり眺望無し。


昼食は日向坂カップ麺で決まり。


立野峠もしっかりと紅葉していた。ここで紅葉も終わりかと思っていたら・・・


秋色は情熱的な赤色なのに静けさや哀愁を感じさせます。

嘘だろう、倉岳山ってこんな山だったのか!山頂は紅葉で満たされていた。
倉岳山は近くの山なのに何で今まで気が付かなかったのだろう?

倉岳山は富士山の眺望が良いことが知られているが到着時間が遅かったので富士山は逆光の中でシルエットでしか見えなかった。
富士山の反対側(北側)を眺めると木々の間に大月市街地と小金沢連嶺が見えた。

ここで初めて気が付いた、寺下峠からここ倉岳山まで眺望がほとんど無かったことに。
木々が間から周りの山や街並みが微かに覗く程度でどこにも眺望が良い開けた場所は無かった。
あまりにも紅葉にののめり込んでいたので気にならなかったのかもしれない。

やっぱり時間が遅いのか?午後の山頂には誰も居なかったのでベンチに座ってのんびりと秋の景色にうつつを抜かすことが出来た。


倉岳山でやっと眺望が開けた。


午後の富士山はシルエットになっていた。


倉岳山ってこんなに紅葉する山だったのか!以前来たときは雪山だったので知らなかった。

倉岳山から先には回廊のような尾根が続いていた。
倉岳山に来たのはこれが二度目なのだけど一度目は雪の積もった一月だったのでその時の印象とは全く違っている。

午後になって風が出てきた。
風が枝を揺らす度にユラユラと紅葉が舞い落ちてくる。
こんなのも良いなぁー!山の紅葉は短いけれどそれだけで秋を十分に感じさせてくれる。


倉岳山からは好きな紅葉の回廊が続いていた。登り降りの多い山だった印象は一体どこに?


浮かれ気分で風を切って歩く。そこには秋が立ち止まっている一瞬の光景。


風が止むと息を鎮めるかのように立ち止まる紅葉。


紅葉の乱反射だけ詰め込んだ登山道には登り降りはあるけれどそれも気にならなくなってしまう。


同じ景色が繰り返すことのない落葉の積もった道に重なるのは紅葉が織りなす残照だけだ。


太陽の光にも季節はあるのか?少し日が傾くと木々の影が印象的だった。


天神山の山頂も紅葉でいっぱいだったけど目立たない山頂。


倉岳山を過ぎても紅葉の道は続いていた。どこまで続くのかと嬉しい誤算!


急な斜面を登っていると落葉を透かした小さな光の帯が重なって地面を照らしていた。

以前来た時の印象は倉岳山、高畑山は標高の低い割には登り降りの高低差が大きくて疲れる山だという感じだったけど、今回こうして穴路峠から高畑山へ登ってみるとこの道も確かに急だけどそれほど大変だとは感じなかった。
多分、初めて登る山って実際の疲労度より見た目の印象の方が強いせいなのかもしれない。

高畑山からの富士山もシルエットでしか見えなかた。
倉岳山、高畑山で富士山を見ようと思ったら午前中に来ないとダメみたいだ。

気象庁によると今秋の日照時間は例年の130%で紅葉の当たり年らしい。
(ただし黄色く色付く葉は日照時間には関係ない)
こうやって高畑山まで歩いて来たけどどの山も紅葉で満ち溢れていて本当に来てみて良かったと思う。

誰も居ない山頂で十分に景色を眺めたつもりでも青空の切れ間にまだ見落としている物があるような気がして中々ザックを背負うことが出来ない。

鳥沢駅の方から何かのアナウンスが遠く聞こえて来た。
その声に導かれるように今回の山登りも終わりなんだな、この紅葉には来年まで会えないだとボンヤリと思った。

風が強くなったのか?富士山の雲が細く流れている。
さあ、これで紅葉も富士山も見納めなのだ!


高畑山へ、ここが本日最後の登りなのだがまだ歩き足りないような、まだ先が見たいような。


九鬼山へ行く元気もなく高畑山で今回は終わり。


ここもやっぱりシルエット富士山。


大桑山へ行くのは断念!寄せては返す波のような紅葉の波状攻撃もここで終わり。

高畑山から鳥沢駅へ降りるのは初めてだ。
山頂から急な尾根道を降りていくと途中で尾根を離れ、ピークを巻くようにジグザグの道になった。
この辺りも広葉樹の紅葉が素晴らしい、ただ北側斜面なのでまだ黄緑色が目立っている。

石仏で穴路峠からの道と合流するとその先は渓流沿いの道になり、紅葉の落ち葉が積もった苔むした岩が秋の深まりを伝えている。
残念なのは谷間なのでもうすっかり日差しが途切れてしまい折角の渓谷美にも薄寒さを感じてしまう。

小篠貯水池は人造湖なのだけど澄んだ湖面に映る紅葉が人気のスポットだ。
だけど水路の工事中のため池に水は無く、それに紅葉には少し早かったみたいだ。

今日は小春日和の一日で紅葉巡りの至高のひとときとなった。

倉岳山周辺は予想以上の紅葉で隠れた紅葉の名山なのだった。

意外だったのは富士山が見える倉岳山、高畑山と比べて地味な細野山、トヤ山に来る人は少ないと思っていたけど寺下峠から立野峠までにすれ違った人6人、立野峠から高畑山までにすれ違った人ゼロだった。
僕が知らなかっただけで細野山、トヤ山は紅葉の名所として知られているのかもしれない。

鳥沢駅はほぼ30分毎に電車が来るので時間を気にすることなく歩くことが出来るのも嬉しかった。
何より、倉岳山は駅から直接登れる山なのでバスに乗らなくて良く、朝ゲロの心配しなくて良い山だった。
山登りの必需品がエチケット袋って悲しい!

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