櫛形山 |
行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩) ◆12月1日 |
山日記 日本二百、三百名山の中で南アルプス北部の前衛になっている山は櫛形山と入笠山。 しかし公共交通機関のバス/電車を利用してシコシコと山に向かう僕にとってこれらの山はアプローチしにくい山だ。 入笠山は春とスキーシーズンにバスが季節運行しているので登ることが出来たけれど櫛形山はバス停から憎たらしいほど遠いので諦めていた。 ところが最近、林道を歩くのがそれほど苦痛ではなくなってきた僕にとって櫛形山は自分の射程範囲に入ってきた山、がんばってみっか!と思える山に変わった。
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でかいぜっ!櫛形山からの富士山はすこぶる大きかった。 雲の下には甲府の市街地のパノラマが広がっていた。 |
朝方は晴れていたけれど登り出した途端に頭上を雲が覆った。ずっと展望の無い唐松林の中を歩いて来たので曇っていてもそれほど気にならなかった。 急な斜面になって展望が開け、ふと後ろを振り返ると木々の間に薄く霞んだ甲府市街が広がっていた。自分の頭の上は重たそうな雲にしっかりと覆わるれているのに市街地はキッパリと晴れている。そして市街地のその向こうの山はまた雲に覆われている。どうやら晴れているのは甲府市街だけなんだな!と考えながら視線を厚い雲の上に向けると・・・ そこに富士山の姿があった。 |
“♪頭を雲の上に出し〜”という歌があるけれどまさしく雲の上に富士山は浮かんでいた。 |
ほこらキャンプ場。だけどテントの設営跡は無くて陽だまりの草原といった感じ。 |
ほこら避難小屋はまだ新しい。トイレもあって水場も近い。昼寝してみるのも良いかも知れない。 |
小屋の中には以前の小屋の写真やノートが置かれていてアットホーム的なぬくもりを感じる。 |
バラボタン平(もしかして薔薇牡丹?)付近は唐松の巨木が多く、またサルオガセも多く見られるようになった。葉をすっかり落とした唐松の枝にフンワリと垂れ下がっているサルオガセ、天使の羽衣?ただのボロ布?綺麗?気味悪い?見る人の感性でずいぶん印象が違って見る植物かもしれない。 |
日本二百名山、そして山梨百名山の櫛形山山頂は広いけれど展望が無くて時間に取り残された感じがした。 |
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バラボタン平から裸山へ向かって歩いて行くと西の方、木々の間にチラチラと山が見えて来た。逆光なので鮮明には見えないのだけれど、ただその大きさから南アルプスの山のどれかだろう。すぐそこに南アルプスの山々がある!そう思うだけでワクワクしてしまうほど南アルプスの存在は大きいのだ。 |
サルオガセって一体何者?植物なのだろうけれど巨木に寄生している姿、その生態はかなり謎めいていた。 重たいだろうな!などと考えてしまった。 |
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裸山の下は広い草原になっていた。登山道の周りにはロープが張られているので草原の中に入ることは出来ない。枯れた草がポツポツと残って風に揺れている。きっと初夏にはアヤメやその他多くの花が一面に咲き誇っている場所なのだろう。 その草原の向こう側、木々の間に南アルプスの山が一つだけ見えた。雲が多いし、山はシルエットでしか見えないので物足りなさは否めないのだけれど今年の9月に北岳に登った時には周りの山は全然見えなかったのでそれを思えばこれでも嬉しい光景だ。 |
裸山の下の草原も初夏にはアヤメが咲き誇っているんだろう。草原の中には柵があったりして植生を保護しているみたいだった(ちなみにこれは翌朝の写真) |
草原からは塩見岳がシルエットで見えていた。左右の山は木々が邪魔して見えない。でもこれでも嬉しいじゃないか!強さを感じる南アルプスの欠片に触れただけでも。 |
裸山へは草原とは標高差わずか30mほどなので3分で山頂へ到着。 南東の方角に富士山発見!今日歩いたコースはどこも展望が良くなかったので、いつのまにか展望には期待しないような気持ちになってしまっていた。それに雲が多かったし。だからすぐ隣の山の上からポッカリと富士山の頭が飛び出していたのを見つけたときは思わず「おーっ!」と低く唸ってしまった。 早速、写真を撮ろうと三脚を用意していると・・・んー何っ?西の方角に、すぐそこに、でっかい山があるではないか!逆光だし、木々の枝が邪魔で良くは見えないけれど、あの形は、あの三角は確かに北岳だぁー!予想していたより白峰三山ぐっと近かった。北岳の右に見える鳳凰三山はここから歩いて行けそうな距離に見える。 すぐそこに白峰三山!だけど惜しいのは木々の枝が邪魔してよく見えないのだ。 山岳地図を見ると「裸山は白峰三山の展望が良い」としっかり書いてあるではないか!ということはこの辺りで展望が利く場所があるのだろうか? ザックを山頂にうっちゃり、カメラだけ持って山頂周辺を歩き回った。ところがどこから見ても枝が邪魔して展望が良くないのだ。 どこかもっと見える場所はないのか?白峰三山を求め下の草原まで下って行った。 そうして草原と裸山の周遊路をウロウロと2周、30分ほど歩き回ったけれど結局どこからもスコンと白峰三山を一望出来る場所は無かった。以前は今ほど枝が茂ってなく展望が良かったのだろうか?それに葉の無い今の季節でさえこれ位の見え方だから葉の生い茂った夏ではまったく見えないのではないだろうか? |
裸山山頂からの富士山は頭だけ。でも良いじゃないか! しっかり頑張っている感じがするじゃないか! |
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やっぱりここしかないだろうー!富士山と南アルプスが見える裸山山頂のド真ん中にテントを張った。 |
一日の終わり。富士山は薄っすらと茜色に染まった。 色んな場所から見たけど富士山はここからも良いです。 |
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夕食後はすることもないのでシュラフに入ってラジオを聴いた。
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すぐ目の前の山から朝日が昇る。富士山はしっかり三角形!この不変がなにより嬉しいじゃないですか! |
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けっして広くは無い裸山の山頂で熱いコーヒーを飲み、ウロウロしながら富士山や白峰三山の輪郭が生まれていく姿、空が明るくなって星が段々と消えて行く様子を眺めていた。 |
陽が昇ると南アルプスが輝き出した。この写真では伝わらないけれど本当に宝石のように輝いていた |
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白峰三山を見ると山頂付近がみるみるピンク色に染まっていく。あーっ、こんなに意地悪な事ってあるだろうか? |
昨日、歩いた時は頭上に雲が広がっていたので森全体がどこかドンヨリとした空気の中にあった。今朝はそれが一変して日差しをたっぷりと受けた森はアチコチに濃い影を作っている、枯れたアザミの穂が朝日を受けて金色に輝き、針葉樹の鈍い緑までが色鮮やかでこうなると小鳥の鳴き声も一つ一つ鮮明に聞こえてくるから不思議だ。 |
白樺の枝の間にやっと望遠レンズが抜ける箇所を見つけた。 塩見岳の雪が太陽の光に銀色に光っていた。後ろは荒川岳、赤石岳。 |
凍った地面で滑らないように注意しながらアヤメ平まで降りて行った。 アヤメ平は裸山下の草原よりも更に広い草原だった。初夏、この広い草原がすべてアヤメに埋め尽くされている光景!想像するだけでそれは素晴らしいに違いないのだ。 周遊路を散策する。花は無くて飴色に枯れた草地がただ広がっているだけなのだけれど陽だまりの下ではこんな景色も嫌いではない。木々の向こうに白峰三山も見えるけれど、ここからは鳳凰三山の方が良く見えた。薬師岳から地蔵岳がほぼ縦一直線に並んで見える眺望は珍しい。 |
アヤメ平のクリスマスツリー サルオガセでデコレーションされた木はちょっとブキミだろっ! |
アヤメ平から唐松岳へ向かう道では白峰三山が木々の間に絶えず見え隠れしている。こんなに近くに見えるのに山の全貌がスリット無しでは見られないのは本当に悔しい。 |
この落葉の多さに丸山へ登る分岐を見落としてしまった。丸山をかなり巻いた時点で「あそこが分岐だったんだな!」と思ったけれど引き返す時間は無かったので丸山は諦めた。だけど気になってしまう、はたして丸山山頂から展望は良かったのだろうか? |
アヤメ平の避難小屋。周りを散策してたら時間が無くなってしまって中の様子は確認できず。だけど荒れているような感じはしなかった。 |
アヤメ平は周遊路もあって広い。 この広い野原いっぱい咲く花を・・・ それは素晴らしいに違いない。 |
唐松岳山頂。展望も無く地味なだけに名前が北アの山と同じなのがよけい悲しい |
丸山からの登山道は溝状に変わり落葉に埋もれていても分り易かった。 |
裸山でのんびり |
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