幕山、六方の滝、しとどの窟、城山

行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他)

◆ 2017年5月20日
湯河原駅 (6:40) --- 幕山公園 (7:35) --- 幕山 (8:30/8:45) --- 自鑑水 (9:05/9:10) --- 土肥大杉分岐 (9:50) --- 六方の滝 (10:30/11:30) --- 土肥大杉分岐 (11:50) --- トンネル前 (12:50) --- しとどの窟 (13:03/13:10) --- トンネル前 (13:25) --- 城山 (13:45/14:00) --- 湯河原駅 (14:45)
山日記

昨年の5月に奥多摩のネジレノ滝を見てひたすら感動した僕は今年も個性的な滝を見てやろーとネット検索した。

箱根の千条ノ滝を検索していて偶然見つけたのが今回目指す六方の滝だ。
しかしこの滝は「箱根・山と高原地図」には載ってないのでその場所やアクセスはヤマレコを参考にさせてもらった。

湯河原駅から歩いて鍛冶屋へ。
幕山へ登る時はここから南郷山へ向かうのだけれど今日は直接幕山公園を目指した。
モダンな家が立ち並ぶ道を登って行くといきなり人家が途切れて幕山公園に到着した。
駐車場には10台ほどが駐車しているけれど人の姿は見えずのひっそりとしている。

昨年3月に来た時には幕山の山肌一面は白や紅の梅の花に覆い隠され、その木の下を大勢の観光客が行き来していた姿が今は嘘のようにひっそりとしている。

見上げると新緑にすっぽりと覆われた幕山山頂が見える。
幕山は標高620m、公園との標高差はわずか440mしかない。
今日はザックも軽いし気分的にも楽だ。


幕山公園から登って行くと梅の木下一面に草が生い茂っていた。

幕山を示す道標は無かったけれど梅林散策の道がアチコチにあるので適当な小道を選んで登って行く。
3月に来た時には梅の木の下は地面が露出していたのに今はうっそうとした緑の雑草に一面が覆われていて梅も花が無いとただの雑木林しか見えないのだ。

それに今日は幕岩に取り付いている人が全く見えない。
山の印象は季節によって全く違うものだなと思う。
今日の幕山は山の香りがした。自然のエネルギーに満ちている感じがした。
幕山がハイカーの元に戻って来たのだ。

登るにつれて朱色の山ツツジが登山道を飾った。
木々の間から眺める真鶴半島は風の向こうに白く霞んで見えた。
何てのんびりとした山登りだ!
登っている途中で降りて来たソロ二人とすれ違う。
もう山頂を踏んで来たんだろうけれど早すぎない?


これはムラサキウニではなくてアザミ。


山頂が近くなるにつれて朱色の山ツツジ。

一気に広がった青空の下には誰も居なくて山頂の標柱と古びた案内板がポツンと立っているだけだった。
いつものは沢山のハイカーで賑わう山頂もまだ時間が早いからなのか?誰も居なかった。
しとど庵から僕の前を歩いていた男性の姿ももう無かった。

幕山の難点は富士山が全く見えないこと。
距離は近いのに富士山との間には箱根の山があるからね。

山頂の桜の葉陰に誘われるようにザックを下ろした。
時間も忘れてエアーマットに寝転んで本でも読んだらどんなに気持良いだろう。


今日は誰も居なかった幕山の山頂。一人饒舌になってしまうほど明るい。

太陽が海をコバルト色に照らして山頂から見る真鶴半島は白く霞んでいた。


山頂の一本の桜の葉陰でジュース休憩。風が良い気持ちだね。

にぎやかな鳥のさえずりに包まれながら幕山を降りて行く。
六方の滝へ向かう前にせっかくここまで来たので近くの自鑑水へ寄って行くことにした。
一度林道へ出て、それから100mほど山に入っていくと自鑑水がある。

自鑑水は戦いで敗れた源頼朝がこの池の水面に映る自分の顔を見て自害を思いとどまったという池。
前に来た時よりも水の量は少なかったけれど今日もしっかりと周りの景色を鏡のように映していた。


幕山から自鑑水への登山道は新緑でいっぱい。


自鑑水は鏡のように周りの景色映していた。今は植林が多くて昔と雰囲気が変わってしまったのでは?。

自鑑水から六方の滝へは白銀林道を歩いて行くことにした。
大石ヶ平へ降りると登り返しすることになるので平行移動するこっちの方が楽なのだ。

今回は単調な林道歩きが続くことが分かっていたのでウォークマンを持って来た。
高野寛や安倍恭弘など80年代のJ-POPがこの景色にはぴったりで前進するのが当たり前に思えるから曲のインパクトは不思議だ。


気分爽快!ウォークマンを聴きながら白銀林道を歩いて行く。目の前の白銀山が大きい。

白銀橋から100mほど手前の道標から土肥大杉跡へと向かう。
道は細いけれどしっかりと踏まれているので分かりにくい箇所は無い。
ヤマレコでは「紫のテープを追う」となっていた。たしかに道は分かりやすいけれど目印のテープがあると安心だ。

小さな沢沿いの道を20分ほど登っていると二つ目の道標があった。
ここから土肥大杉跡へ向かう道と分かれて沢沿いに登って行く(土肥大杉跡へは沢を渡る)。
六方の滝への分岐は枝で通行止めがされているけれどそれをまたいで進んでいく。

二番目の分岐から進むこと2分。
落差10mほどの滝があり、さらに進んでいくと目の前に滝が現れた。
この滝の右側をザイルを掴んで登って行く。
ヤマレコを見ているとすごく険しそうな感じに思えたけれど大した事は無かった。
岩場が苦手な僕でさえ別にザイルが無くても登れそうだ。


土肥大杉跡への分岐から登って行くとすぐに白銀橋が見えた。新緑の山が眩しい。


こんな小さな沢をいくつか渡る。道はしっかりと踏まれて分かりやすかった。

滝の横をよじ登るといきなり目の前に六方の滝が現れた。

おーっ、すごい! 予想していたよりはるかにデカい!!!これがっ・・・幻みたいだ。

人工物の壁にような、デカい柱が連立する岩壁を水が飛沫になって流れ落ちていた。

思わずザックを放り出して滝へ突進する!

見上げると新緑の葉の間から落ちる水滴が岩に弾かれながらキラキラと輝いていた。
こんな面白い滝を今まで知らなかった何て・・・
吐息に頬杖ついてしまうような開放感だ。

ハッキリ言うけんね! この景色は見なくて損!

ヤマレコって汗の匂いが感じられずにただの情報の垂れ流しサイトみたいであまり好きでは無かったけれどヤマレコに感謝しなきゃいかんな!と思う。


滝横の付けられたザイルを登って行くと突然目の前に現れた。想像していたよりずっと大きかった。


見上げると水しぶき、もう少し水量が多ければ言う事無しだけれど。

六方の滝は別名柱状節理の滝と言われている。
この儒教の教えのような四文字熟語の意味を調べてみると・・・

柱状・・・柱のような、節理・・・規則正しい割れ。
柱状節理とは熔岩が冷却する際に体積が収縮するため柱状のひび割れが形成されたもの。
特に玄武岩では柱の断面が六角形になることが多いとあった。

滝壺に散らばっている岩を見てみると確かに断面がキッチリ六角形になっていた。
そうするとこの滝に来る途中の沢のあちこちにあった亀甲模様に割れていた岩も同じ現象なのだろうか?
この現象の元となった溶岩って箱根山の噴火なのだろうか?
などと久遠の昔に思いを馳せるのだった。

ガッカリしたのはコンデジのNDフィルターをONにしてもシャッタースピードが1/10秒にしかならないこと。水の流れを線状に撮るためにせめて2秒位にならないかなと思う。

今日は土曜日なのできっとハイカーで賑わうのではと恐れていたけれど誰も居なかった。
良い場所だなぁー!無限の開放感みたいなここでのんびりと昼食にすることにした


滝の左を少し登ってみると岩壁は端正な階段状になっていた。


こんな素晴らしい滝を知らなかったなんて・・・誰もいないので一時間ものんびりしてしまった。

六方の滝からしとどの窟までは再び白銀林道を歩く平行移動だ。

今回の一番の目的は六方の滝を見ることだったの気分は既に帰りモード、ウォークマンを聴きながらのんびりと歩くだけとなってしまった。
最初は軽く「Out-Of-Towners/Keith Jarrett」、後半は元気の出る「Impact/TRIX」を聴きながら歩いた。
この林道は一般車は通行できないのでウォークマンを聴きながら歩いても後ろから車に轢かれる心配はないのだ。

歩くスピードを上げる必要もない。
林道をは大石ヶ平をぐるりと回り込むようになっていて幕山や白銀山の眺めが良かった。
天気予報では今日の最高気温は29℃になるらしい。
さすがに日向では暑かったけれど木陰では涼しくて登り降りも無い林道歩きは爽快だった。


林道のツツジにはアゲハ蝶が乱舞していた。


平坦な林道は幕山や白銀山を眺めが良かった。

林道の終点にあるトンネルからしとどの窟まで往復する。
しとどの窟は戦に敗れた源頼朝が潜伏したという洞窟で暗くて穴の上から水が滴り落ちていてじめっとしている。
昼間なのに薄暗くて闇の向こうから何かが聞こえてきそうだ。

一応は観光スポットなので来てみたけれど写真を撮ったらすぐに退散することにする。
それにしてもしとどの窟といい自鑑水といい、暗いなー、夜には怖くて一人では来れそうにない。

ここでまたコンデジの悩みが・・・
絞り優先モードで絞りF4、ISO80で撮影しようとしたら露出補正しようとしてもナゼかシャッタースピードが1秒に固定されてしまう。
コンデジってデジイチよりも何かと制約が多くて難しいと思う。。


写真より実際はもっと暗いしとどの窟。昔は深い穴だったけれど関東大震災で奥は埋まってしまったらしい。

トンネルを抜け、荒廃した休憩所の上を通って登山道を歩く。
前回来た時にはこの立体的な交差が分からなくて道に迷ってしまった。
コンピュータ将棋のポナンザほどの学習能力は無いにしてもさすがにもう間違えるヘマはしない。

城山までの道にはコンクリートブロックが埋められていて登山道というよりも散策路みたいな感じだ。
道のあちこちはツツジなどの花で春の彩に満ちていた。
歩くという単純作業を忘れさせてくれる道だ


トンネル向こうからは唸るようなバイクのエキゾーストノート。別の世界の入口の様。


トンネルを抜けて石畳の登山道を歩いて行く。この辺りも春の花が咲き誇っていた。

城山山頂は一面が草原になっていて小さな花がアチコチに咲いていた。
日差しが地面一面を覆う緑の草に反射して眩しい。
山頂を囲むように灌木が生い茂っているので眺望は見えそうで見えない。

イヤホンから流れる「Featuring/Norah Jones」、山頂の岩に寝転がってボンヤリと雲が空を滑って行くの眺めた。
山頂には誰も居なかったので独占していることに気を使うことも無かった。


城山城跡の城山山頂は小さな花の小さな草原。

山登りを断捨離しよう!数年前にそう思った。
それからは「行きたい山に行きたい時に行くのだ!」を実行している。
冬はつまらない景色だし、GWは混むから嫌だな!と気が付いたら今回が今年初めての山登りになった。

心の片隅を呼び起こすような空の青さに向かって歩く。
通り過ぎる雲の影を黙って見ていた。
林道の平行移動ばっかりであまり山に登った気がしないけれど六方の滝は想像以上に神秘的でキテレツでイカシていたし充実した一日だった。

城山から湯河原駅への車道は意外と急こう配ですねの筋肉がくすぐったいように痛い。
この筋肉痛たまんねー。今年はあと何度この筋肉痛と共にすることになるのだろうか。
どんなときめく日々が待っているのだろうか。

やっとしばりから解放された気分なのだ。
歩き始めよう!始まりは春の香りに乗せて。

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