苗場山

行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩 ***:タクシー)

◆10月7日
東京(6:08) +++ 越後湯沢(7:25/7:30) *** 和田小屋(8:00/8:30) --- 顕彰碑(10:45/11:30) --- 水場(11:50/12:10) --- 苗場山(13:10)(テント泊)

◆10月8日
苗場山(6:10) --- 赤湯(9:00/9:40) --- 林道終点(11:30/11:45) --- 元橋(13:30/13:57) === 越後湯沢(14:38/14:42 )+++ 東京(16:03/16:13) +++ 川崎(16:30)

山日記

谷川岳から見た苗場山はテーブルマウンテンの名にふさわしい山容でどっしりと横たわっていた。前から行きたかったのだがバス利用の僕にはどのルートからもアプローチが悪く、行く機会が無かった。平標山から見た苗場山はやはり大きく、その平らな頂上にどうしても立ってみたいと思った。
バス利用では登山口までのアプローチが悪く、色々考えたあげく交通費を出来るだけ安く上げるため、湯沢から三俣までバスで行ってそこからタクシー呼んで和田小屋まで行こうと思った。せこい話であるがアサヒタクシーに電話でそのことを話すと気持ちよく「いいですよ」との返事だった。おまけに「24時間何時でも呼んで下さい」とのことだ。(でも結局乗らなかった。ごめんなさい。)

新幹線の越後湯沢駅を降り、バス乗り場に向かった。タクシー乗り場の前を通り過ぎようとしたら、「苗場山に行くんでしたらタクシーの相乗りで行きませんか?」と声をかけられた。渡りに船である。喜んでその夫婦に相乗りさせてもらうことにした。(奥さんの話しでは二人でタクシーに乗るよりも当然三人で乗った方が安くなるので、一人で行く人を物色していたそうだ。やはり女はちゃっかりしている。)


雷清水から見た苗場山 あの山頂に広大な湿地帯が広がっているようには見えない
タクシーの運転手も山好きな人で越後の山の話しを色々聞かせてもらった。中でも八海山の屏風道は紅葉が最高なのでさあ行け!絶対行け!と勧められる。「鎖場もあるが気をつけていけば大丈夫だ」と言うことだ。
和田小屋までタクーで入ることが出来たのでかなり時間を短縮することが出来た。ここで朝食の弁当を食べていると後から次々とタクシーが到着した。三俣からここまでは地図を見ると徒歩で2.5時間とある。やはり徒歩でここまで来る人は少ない様だ。

空は快晴、雲一つ無い。祓川コースは展望も良く歩いていて気持ちが良い。中の芝では一面に楓が群生していて一斉に紅葉して綺麗だ。紅葉を観賞しながら昼食をとっている人が多い。

時間があるので顕彰碑近くの分岐から霧ノ塔の方へ寄り道してみる。5分ほど行くと草紅葉の中、カツサ湖をはさんで平標山が見える。天気は良いしここで昼寝したいところだが憧れの苗場山は目の前である。先を急ごう。
再び分岐に戻る。母と子の親子でボッカしている人に合う。話しをしたら山小屋の人らしい。なんともほほえましい。息子は高校生らしいが渋谷センター街にいるバカ顔高校生とはえらい違いだ。あんたはえらいヨ!本当。
今回の山行は山小屋に泊まりたかったのだが電話で予約したところ満員で断られてしまった。(2軒共に一杯でダメ!)だがこのボッカしている親子を見ていると山小屋の暖かい雰囲気が想像出来て「次はもっと早くに予約して小屋に泊まりたい!」と思ってしまうのだ。

苗場山の登りから神楽ヶ峰を振り返ると熊笹の緑に紅葉が鮮やかだ
神楽ヶ峰からの苗場山はどおーんとそり立った山に見える。とてもその頂上が平らになっていそうに見えない。間の鞍部は熊笹の緑に赤、黄色に紅葉した木々が点在していて綺麗だ。
雷清水で水を補給する。水量は多い。(テント張れそうな箇所有り)
ヤセ尾根をどんどん登って行くと目の前がパッと開けた。山頂だ。想像していた通りとても広く、草原状になっている。とりあえず頂上に行ってみることにした。頂上は木々に囲まれて展望は無く、遊仙閣小屋の裏庭といった感じだ。
それから山頂湿原を散策した。晴天の秋空の下、どんどん歩いて行く。草紅葉の草原に池塘が点在していてそれがどこまでも続いている。周りに平標山や佐武流山が見えていなければとても山頂だとは思えない。こんなに気持ちの良い散策についつい歌も口をついて出るというもんだ。東京ブギウギ、ホームランブギ、買い物ブギ、極めつきはジャングルブギで決めた。今日は笠置シズ子ヒットパレードだ。こういう時ってやっぱシャッフルビートに限るのだ!

とにかく広い山頂だ 草紅葉の茶色に空の青を映した池塘が点在している
時間も3時になり、テントを張る場所を探す。山頂一帯は木道以外立ち入り禁止である。したがってテントを張れる場所は山小屋の周り、木道の上(所々に10畳ほどの待機場有り)だけである。見晴らしの良い木道の上にテントを張りたかったがどうにもそこは人通りが多く落ち着かないし、妙に目立ってしまうので遊仙閣の裏庭に幕営することにした。
山小屋に受付に行くと小屋番さんが言うことには「苗場山山頂一帯は幕営禁止です。」「緊急避難ということでやむをえず幕営していることにしてください。」「山小屋のトイレ使用料金として御一人300円いただきます。」であった。僕を含めて4つテントが幕営された。(10つ位は張れる)テント設営のわずか5分間にカメラのシャッターを押してくれと3,4人に頼まれた。(翌朝、撤収時にも4,5人に頼まれた。)
テントを張った遊仙閣の裏庭が頂上なのだが木々に遮られて展望は良くない。
そばに居た男性と話をしていたらどこをどう間違ったのか「苗場山」のことを「いなばさん」と言っている。最初「いなばさん」とは誰か人の名前かと思った。それがどうも「苗場山」のことを言っていると気がついた時にはおかしさがこみ上げて来た。苗と稲では米つながりではあるが漢字も似ていない。笑っちゃいけないと思いしきりにお尻をつねって笑うのを我慢した。痛かった。

苗場山山頂 テント(手前)を夜中につぶしてしまう
夜になって星を見ようとテントから出ようとしてまたやってしまった。酔っ払って足がもつれテントにバタンと倒れこんでしまった。テントが一瞬つぶれた状態になってしまったので「これはポールが折れたな」と思ったが「どうにでもなれ!」と確認もせずそのまま寝てしまった。

翌朝、撤収時見てみるとポールは大きく曲がっただけで折れてはいなかった。おまえ意外と丈夫だなと感心した。
今回、買ったばかりの冬用羽毛シュラフを持って来た。僕は今まで布団で寝る時と同じように枕を頭とシュラフの間に入れて寝ていた。今回も同じように枕をして頭まですっぽりシュラフに包まった。寝返りをうって横向きになるとシュラフと一緒に枕も回転するので常に枕は僕の後頭部にくっついていた。かなり間抜けだ。

翌朝、天気は昨日とうって変わって曇り空だ。今日は赤湯、元橋から平標山まで行く予定だ。小屋番さんに道の状態を尋ねると、赤倉山経由の道は整備が悪く、地図に書かれているコースタイムより時間がかかるだろうということだったので昌次新道を行く。この道は展望も悪く面白くない。
赤湯はその名の通り河原に赤銅色の温泉が噴出している箇所ある。河原はきれいでキャンプをしている人がいた。

ずーっと広い山頂だから周りの山は地平線からそり立っているように見える
地図を見ると赤湯から元橋まではわりと平坦な道だという印象を受けるがとんでもない。赤湯を過ぎてすぐ急登が待ち構えている。気持ちはすでに下山しているのでこの登りはすごく疲れた。
すれ違う人は登山者だけではなく普通の服装の人も少なくない。こんな山中にわざわざ温泉に入りにくる人も居るんだなと感心した。
それからきのこ狩の人も結構居る。僕に採ったばかりのきのこを差し出し「これ食べられますか?」と数人に尋ねられた。僕に分かるはずもなく「すごくおいしいですよ!」と騙そうと思ったが、死んじゃったら困るので「分かりません」とつまらない返事をしてしまった。
だんだん民家が目に付くようになり、もう直ぐ元橋につくと思っていたのでその手前の峠のひと登りは結構疲れた。火打峠のい・じ・わ・る。
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