二丈岳、女岳、浮嶽

行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他)
◆ 2023年10月11日
大入駅 (6:50) --- ゆらりんこ橋 (7:30/7:35) --- 加茂神社 (8:15/8:20)
--- 二丈岳 (9:10/9:35) --- つばき橋 (10:15/10:20) --- 女岳 (11:00/11:20)
--- 荒谷峠 (11:35/11:40) --- 浮嶽 (12:40/12:50) --- 荒谷峠 (13:28)
--- 加茂神社 (14:10) --- ゆらりんこ橋 (14:45) --- 大入駅 (15:30)
山日記
大入駅は駅舎の無いホームだけの駅でホームの端っこにICカードのタッチパネルが設置してあるだけだった。
ホーム端の小さな踏切を渡って国道202号へ出ると目の前に糸島の海が広がった。
どうせだったら海抜0mからの登山にしようと砂浜に降りる道を探したけれどそれらしい道が見つからない。
ガイドブック「福岡県の山」によると今回の歩行時間は6時間15分となっており、それに大入駅からゆらりんこ橋の往復時間1時間半を加えるとトータル7時間45分とかなりの長丁場だ。
降りる道を探す時間がもったいないので諦めて先へ進むことにした。

駅から600mほど進むと「ゆらりんこ橋」への標識があったので右折し踏切を渡ろうとすると近くのトランペットスピーカーからいきなり大音量で「恋は水色」が流れ始めた。
これは電車が来る合図なのでは?と踏切前で立ち止まっていたけど一向に電車が来る様子もなく、警報機も鳴らない。
音楽が終わり朝の静寂に再び包まれると、これはただの防災無線で朝の時間を知らせているのでは?と気が付いた。
あーつっ立ち止まっていた時間が無駄だった。
この音楽が「村の時間の時間です」なんだな。


大入駅から車道をテクテク歩いて行くと段々畑が広がっている。

加茂川沿いの車道の両脇は黄金色の棚田になっており、その中を緩やかに上って行く。

駅から歩いて約45分で白い吊り橋のゆらりんこ橋へ着いた。
橋は思っていたより小さかったけれど鉄骨製で頑丈そうに見えたけれど渡ってみるとその名前の通りたしかにゆらりと揺れる。
橋のハンガー間は蜘蛛の巣だらけだ。その向こうに遠く朝の海が見えたけれどあまり気持ちが良いものでは無かった。


ゆらりと揺れる白いゆらりんこ橋。「ゆらりんこ」は「ゆうこりん」のアナグラムではなかった。


ゆらりんこ橋から朝の海が見えました。でも蜘蛛の巣がすごくてすがすがしい気持ちには成れず。

ゆらりんこ橋から先は「二丈渓谷遊歩道」となっており渓谷につかず離れず沢音を聞きながら登って行く。
遊歩道とはなっているけれど登山道のような荒れた道で一般の人には多少険しい感じがする。

渓谷には滝とかナメとかあって渓谷美にとんだ渓流なのに森が深いために日差しが届かず、暗く陰気な感じだ。
カエデが多いので紅葉の時期に来たらまた違った景色なのかもしれない。

二丈渓谷は加茂神社で突然終わり林道へと続いている。
その先には女岳の姿を映す真名子ダム湖があるはずなんだけれど、そこには草木の生い茂った窪地が広がっているだけでとても湖があるようには見えなかった。

ガイドブックによるとこの一帯は「真名子木の香ランド」と言われる山間の別天地と書かれているけれど正直どこが別天地なのだろうか?と思うほど地味でめぼしい景観は見当たらなかった。

加茂神社からダム湖を巻くように林道を進んでいくと二条岳登山口があった。


二丈渓谷は滝やナメがあって美しい渓谷なんだけど全体的に日差しが届かなくて暗い。


加茂神社は京都のそれと違って地味でした。そばに手水舎があって水が出ています(水場)。

ヒノキの植林地の中の登山道は味気なくてつまらなかったけれど「林道の終点広場」から自然林に変わり登山道らしくなった。そこから一登りで二条岳山頂に着いた。

標柱の立つ山頂は生い茂った草木が眺望を邪魔していたけど近くの岩によじ登ってみるとようやく海を見渡すことが出来た。
二丈とは約6mなので山頂は狭いのだろうと思っていたけれど更に10mほど奥に広がりがあり、そこの巨大な岩の上に登ると眺望がぐるりと開け玄界灘を眺めることが出来た。
驚いたのは以前急な登りに苦しんだ加也山(365m)があまりにも低く、岩稜帯が美しい立石山(209m)に至ってはその存在が分からないほどペタンコにしか見えなかったことだ(まーっ、標高209mだからね)。
唐津方面は白く霞んで良く見えなかったけれど海の奥に白い風力発電機がポツポツと立ち並んでいるのが見えた。

南東にはこれから向かう女岳と浮嶽が見える・・・意欲が湧くどころか逆に失せてしまった。
二丈岳、女岳、浮嶽の三つの山は尾根伝いに歩いて行けるような一つの山塊ではなくほぼ独立峰なのだ。
これではやはりガイドブックにあるようにキッチリ登山口まで降りなければいけないようだ。


二丈岳の標柱のある山頂は木々に囲まれて眺望はいまいち。近くの岩に登るとこんな感じ。


標柱の足元に登頂記念のキーホルダー(淀川神社のお守り)があった。


山頂の奥には更にデカい岩があって岩に登ると眺望が広がった。


巨岩に登ると糸島の海が一望出来る。


あんなに急な登りだった可也山もここから見ると負ったよりずっと低かった。


玄界灘に浮かぶ羽島と福吉漁港。


亀みたいな形の大入漁港。あそこからここまで良く歩いたなと思うほど長かった。


遠く唐津付近には白い風力発電が並んで見える。

二丈嶽山頂からの女岳(左)と浮嶽(右)は尾根伝いに歩いて行けなくてガッカリ。

二丈岳から女岳へ向かう林道のあっちこっちにはタイガーストライプのジョロウグモが巣を作っているので引っかからないように気を付けながキャンプ場へと降って行った。
林道は段々と女岳山頂を見上げるように悲しいほどドンドンと降って行く。

ツバキ橋を渡ると車道は突然沢に遮断され、その先の細い林道を進んでいくと草に覆い隠れるた女岳北登山口あった。

山に登っていると急な道を男坂、緩い道を女坂と分けられた箇所に出くわす事ある。
山名が女岳なので登りが緩やかだと思っていたらとんでもなかった。二丈岳を登ったばかりの足には拷問のような急登りで「バコンバコン」と心臓の鼓動が大きく体に響いている。
それでも背振山地からの縦走と合流すると少し緩やかになりやがて女岳山頂へ到着した。

山頂の少し開けた箇所からは小さな海しか見えなかった。
山頂標識の周りには可憐な薄紫の花が群生していて眺望は無いけれど静かな山頂だった。
山名もこの物静かさと可憐な花々に由来しているのかもしれない。

山頂で弁当を食べてジッとしていると体を刺すように風が冷たかった。
急な登山道を登っている時はさすがに暑かったけれど10月ともなれば山頂はすっかり秋の空気に包まれている。

女岳山頂は小さな眺望と、そして何も無くて静かさが広がっていた。だけど登りは地獄だった。

山頂には小さな薄紫の花が群生していた。

女岳から荒谷峠へ降り、十字路を左へ100mほど進んで行くと浮嶽の登山口の標示板があった。
目指す浮嶽は登山口よりずっと左の方に見えるので何か間違っているのでは?心配しながら登って行く。

急な登りだった道がやっと平坦になったと思ったら突然道が無くなってしまった。
これは道を間違えたなと思い10mほど引っ返すとほぼ直角に曲がるように道があった。曲がった道に気が付かなくて直進している人も少なくないのだろう。

方向的には浮嶽の方へ向かっているもののドンドンと降って行くのでどこかで道を間違えたのでは?と心配しながら歩いて行くと登山道は細い林道と交差していて左を見ると奥に荒谷峠からの車道が見えた。
細い林道を突っ切ると再び急な登りになり、ふと左を見ると登山道のわずか2mほど横をを車道が並行して走っているではないか。
これはもしかして荒谷峠からここまで車道を歩いて来た方が楽だったのでは?さっきのピークに一旦登ってまた降りて来たのは全くの無駄ではなかったのか?アホらしくなって浮嶽からの戻りはここから荒谷峠まで車道を歩くことにした。

荒谷峠から臨む浮嶽はものすごく急峻な山に見えた。あの急な稜線を登らければ行けないと思うと凹む。

ここからまた急な登りなりバコンバコンと心臓の鼓動が体の中から響いてくる。
登って行くと「東登山口」への分岐があり、もしかしたら荒谷峠から東登山口まで車道を歩いた方がもっと楽だったのでは?とも思ったけれどもう確かめようがない。

白龍稲荷に寄ろうと思ったけれどやっぱりまずは山頂を踏んでおきたいと山頂へ向かった。

山頂には浮嶽神社上宮が祀られている。眺望は北側が少し開けている程度でこれじゃ神様に朝日も届かない。
今回最後の山頂だしノンビリしたいところなんだけど眺望も無いしやることも無いので参拝するとすぐに下山することにした。

浮嶽山頂の眺望は良くない。北側の竹藪を伐採したら良くなりそうなんだけれど。

標柱の足元にはありました!浮嶽神社のお守りです。困ったことにタッパーの蓋が閉まらない。

山頂には浮嶽神社上宮が祀られている。浮嶽神社本宮は白木峠の北側を降った所にある。

下山途中にある東側の眺めの良いテラス岩。

平らな山頂に立つ高い鉄塔はどこか不気味な感じがした。この風景って何かのアニメか映画で見たような。

下山途中で「大岩展望台」へ寄ってみた。
その大岩は明るい空に向かって迫り出し、その岩の淵に腰かけると青空と海のすべてが渇いた風の中で幻のような光に溶け込んでいた。

薄っすらと霞んでいたけれどやっぱり山から見える海はただそれだけで良いと思う。
浮嶽山頂の眺望が残念だっただけに最後にこの景色は山からのギフトのように心に染みた。

浮嶽山頂の眺望が良くなかっただけに大岩展望台では嬉しい大展望。

島の名前に何かいわくがありそうな神々しい名前の神集島。

羽島の沖に姫島。

糸島の海辺は半島の形成が日本庭園見たいです。

波は光に満ち溢れているのにその波音は聞こえないこの場所で小さな白龍稲荷は大岩に押しつぶされそうに佇んでいた。
村の娘が恋した若者が実は白い龍だったというロマンチックな伝説が糸島にはあり、このお稲荷さんを目的に登山する女性も少なくないみたいなのだけど・・・とりあえず参拝して下山する。

下山途中から荒谷峠へ車道を歩いたけれどやっぱりこっちの方が平坦で楽だし時短できた。荒谷峠からあの小さなピークに登って降って行くだけの登山道って一体何だったんだろう?

白い龍に恋をしてしまう伝説が残る白龍稲荷は意外と地味だった。

浮嶽から降りて来たら荒谷峠まで車道を歩いた。その車道からの女岳。

荒谷峠から車道を歩いて行くとで視界が開け広大な谷間が目の前に広がった。
植林された小さなヒノキが無数立ち並んでいて小動物のコロニーの様に見える。

変則十字路からあまり歩かれた様子が無い未舗装の林道を歩いて行くと途中からぬかるんだ道になって靴が泥んこになり、足元ばかり見ていたら蜘蛛の巣にバンバン突っ込んでしまって何だか情けなくなってしまった。

車道に出るとそこに「ゆらりんこ橋3.3km」の標示があってもしかしたらここから二丈渓谷を通らずに車道を歩いたほうが近いのでは?と思ったけれど初めての場所での憶測は危険なのでガイドブックにあるように加茂神社へ向かった。

目の前には見覚えのある加茂神社、ようやくここまで戻って来たけどここから大入駅までまだまだ長いなぁー!と思った。

変則十字路から谷を挟んで見えた511mピークには石灰岩の白羊が集まっているように見えた。

今回、二丈岳、女岳、浮嶽と三つの山の登り返しの連続にはホトホト疲れた。
福岡に来て登った山で一番大変だった山だったけれど大入駅→浮嶽→女岳→二丈岳→深江駅も面白そうだと思った。

とりあえず駅のホームから山々を振り返ってお別れの挨拶です!

今日はお世話になりました!ばいなら、糸島の山々!

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