二十六夜山 & 二十六夜山

行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他)

◆ 2016年5月5日
梁川駅 (6:15) --- 寺下峠 (7:30/7:35) --- 下尾崎 (8:00) --- 秋山二十六夜山 (9:00/9:10)
--- 棚ノ入山 (10:10/10:15) --- 朝日山 (10:45/10:55) --- 菜畑山 (12:20/12:40)
--- 今倉山 (13:55/14:00) --- 松山 (14:30/14:40) --- 道志二十六夜山 (15:30/15:45)
--- 上戸沢 (16:55) --- 赤坂駅 (17:40)

山日記

以前から気になる山があった。
それは山梨の二十六夜山、これっ、絶対意味があるだろーっ!
こんな意味深な山名、風情ある山名は他に無い!

二十六夜とは ・・・
十五夜,十三夜,二十六夜が代表的な月見の日。
十五夜 … 満月、旧暦8月15日の月が「中秋の名月」。
十三夜 … 満月に次いで美しい月、旧暦9月13日の月見。
二十六夜 … 夜明けの空に昇る月、旧暦7月23日の月見。

二十六夜山とは二十六夜に講中と称する人々が集まり、飲食を共にした後に経などを唱えて月を拝み、悪霊を追い払うという宗教行事を行った山なのである。

それじゃ、二十六夜山って日本にいくつあるのか?
1.山梨県上野原市にある秋山二十六夜山
2。山梨県都留市にある道志二十六夜山
3.静岡県南伊豆町にある二十六夜山

おーし!それだったら山梨の二つの二十六夜山を繋げて登ってやろーじゃないの!


ところが道志の山は交通の便が非常に悪いのだ。
マイカー利用では日帰りは可能だけど電車バス利用ではアクセスが悪く近くて遠い山なのであった。
ネットでバス情報を検索した結果、上野原駅から浜沢までバスが有り、下尾崎到着が9:15分。
だけど朝一の電車を利用し梁川駅から歩いて寺下峠を越えると下尾崎へ到着するのが8:30分。
バスで行くか?それとも峠を歩いて越えるか?悩んだけれど下山時間を考えると少しでも早い時間に歩き出したかった。




梁川駅からは所々に寺下峠への標示があるので迷うことはなかった。
地図に「水道管に沿う」とあるように登山口から水道管に沿って登って行く。
沢沿いの道は山の斜面をトラバースするようなに広くなったり狭くなったりして登っている。
展望は無いけれど日が差し込まないのでヒンヤリと涼しかった。
ただ蜘蛛の糸が多く、やたら顔や体にくっ付くのには閉口した。

沢沿いの道から離れると登山道は山の急斜面をジグザグに登って行く。
道の横にはトラロープが設置してあるけれどその高さが低いのでロープに掴って登ることは出来ない。

新緑の木漏れ日が眩しい尾根を周る様に歩いて行くと寺下峠へ着いた。
峠は暗くて展望は無いけれどここから倉岳山や高柄山へと通じると思うといつかまた来たい。

峠からは植生が一変して桧の植林帯の中を降って行く。
登山道の横を流れる沢からキュキュッとカエルか何かの声が聞こえていてのどかな感じだ。

下尾崎へ降りると目の前をバスが走り去って行った。
なんだ、バスがあるじゃないか!もう少し丁寧に調べたらここまでアクセスするバスがあったのかも知れない。
約2時間の峠越え ・・・ 何だか無駄な努力をしたようでガッカリした。


新緑の中を歩いて行く。日差しが遮られて爽やかな登山道。

さていよいよここからが本番だ!
下尾崎から車道を登って行くと沢沿いの登山道へと入って行く。
先週登った雁ヶ腹摺山ではハイペースになってバテてしまったので今日はゆっくり歩くことを心がけた。

暗くて湿った道をジグザグに登って行くと新緑が眩しいほどの尾根に出た。
左に二十六夜山を眺めながら緩やかな傾斜を登って行く。

想像していたよりずっと秋山二十六夜山の山頂は狭かった。
山頂は周りはグルリと木々に覆われているので眺望は無い。
この山頂で昔、村人達が月が昇るのを待っていたのだろうか?と思わせるほど地味な山だった。

山頂で休憩していると二人のハイカーがやって来た。
こんな地味な山の登るのは自分ぐらいだろうと思っていたので意外だった。
(この後、三日月峠までに数人のハイカーとすれ違ったので意外と登られている山かもしれない)


二十六夜塔は月待行事を行った講中で供養の記念として造立した塔


秋山二十六夜山の山頂は狭かった。月が綺麗な日に月を眺めて皆でドンちゃん騒ぎした場所なのだろうか?。

二十六夜山から三日月峠への途中で分岐があった。
右が尾根へと登る道、左が平坦な道だったので、左の道はただの巻き道だと思って右へと進んで行った。
ところが道は段々と北へと向かって行くのでおかしいと思った。
地図を見ると確かに浜沢への分岐が載っていれけれど、さっき通った分岐がそうだったのだ。
道を間違えたと気がついて分岐まで引き返した。
まさか分岐に道標が何も無いとは思わなかった。

三日月峠にはしっかりと道標があった。
ところが三日月峠の先の棚ノ入山と王ノ入川への分岐には気がつかずに先に行ってしまった。
そろそろ分岐があるはずだけど・・・と思いながら歩くけれどそれらしい箇所は見当たらない。
分岐を見落としてしまったことに気がついたのはかなり棚ノ入山へ近づいた地点だった。
幸いにも途中に「棚ノ入山へ」と標示があったので行き先は間違っていないと安心した。

登山道横の木々はあまり高くないので道が新緑のトンネルになっている。
前方に見える赤鞍ヶ岳(ワタビタタキ)は山全体が鶯色に覆われて綺麗な山だ。

写真を撮ろうと思うけれど枝が邪魔で、もっと見える場所が先にあるだろう!と思いながら歩いてもそれ以上の場所は無くて、だったらさっきの場所で撮っておけば良かったと後悔するのはいつものことだ。

ぽこーんと開けたピークに出た。
ここが棚ノ入山だろうか?山頂を表す標柱は無いけれど。
地面には人の名前を羅列した意味不明の白い板がある。
さてこの先は?と道を捜していると
山頂から北へ降りて行く道があった。赤テープもある。
でも何だか浜沢へ降りて行くような感じで朝日山へ向かっているとは思えない。
それで山頂を調べて見ると西に向かう道が見つかった。
道はハッキリしているけれど草に隠れていた。
そのピークから100mほど進むと「棚の入山」を示す標柱が立っていた。

さっきのピークはにせピーク?
道標の無い分岐で迷ったりしたけれどとりあえず棚ノ入山へ着いたことに一安心だ。
山頂からの眺望は悪く、これから向かう朝日山が見える程度だった。
またこの山頂にも北の方へ降りて行く踏み跡があり、無生野の標示があった。

山頂で少し休んで歩き出すとわずか10m先に雛鶴峠と朝日山への分岐があった。
分岐にある道標は手作り風で小さく、木に取り付けられていたのでうっかりしていると見落としそうだ。

何だか地図と違う。
さきほどの棚ノ入山を示す標柱があったピークはどうやらサンショ平のようで、100mほど東にあったピークが棚ノ入山なのだろう。


「棚の入山」の標柱があるけれどこのピークは地図にあるサンショ平のようだ。

朝日山へ登って行く。
風に新緑の樹木が揺れている。
登山道にはみ出した木々が日差しを遮っているので暑さは感じず、快適な山登りだ。
振り返って見ると秋山二十六夜山はもう小さな出っ張りにしか見えなかった。

朝日山頂は柔らかな光に満たされていた。
山頂はグルリと木々に囲まれているので眺望は無いけれど広いので明るく開放的な感じだ。

静かだな!鳥の声しか聞こえない。
こんな里山だと車の走る音、工事の音、学校のチャイムとか生活音が遠くに聞こえるものだ。
新緑が影を落とす静かな山頂はゆっくりと時間が流れて行くようだ。

朝日山が今回の山行での中間地点だと考えてたので、ここまでそんなに疲れれず歩けたことで気分が楽になった。

さて行くぜ、ここから後半戦だ!


静かな山頂が待っていた。朝日山は今回の山行の中間地点なので一安心して休憩する。

朝日山から菜畑山へはしっかりとした道になった。
登山道は尾根道だけれど眺望が良い箇所はなく、ただ木々に間に稜線から少しだけ白い頭を出した富士山がチラリと見えた。

眺望の無い岩戸ノ頭、ブドウ岩ノ頭を超えて行く。
上り下りはあるけれどそれほどの標高差はない。
ただ前回の雁ノ摺腹山ではオーバーペースになってバテてしまったので今日はゆっくりと登って乳酸が溜まらないように心がけた。

やっと富士山が見えた!!!
運命のように菜畑山頂で富士山がやっと見えた。
ここまで富士山の山頂だけがチラチラと見える程度で、かなりじらされて来たのでこの光景は嬉しかった。

丹沢が近いよぉー!
山頂の南側は開けていて丹沢の大室山、加入道山が並んで見えた。

ネットで見た画像では山頂に東屋らしい休憩所があったけれど見当たらない。
ベンチの真ん中にその痕跡らしい鉄パイプの折れた痕だけがあった。


菜畑山でとうとう富士山とご対面です。東屋は無くなっていた。


ここまでじらしにじらされた富士山がやっと見えた!


菜畑山からは丹沢の加入道山、大室山の眺望が良い。

菜畑山から今倉山へは尾根道だけどほとんど眺望は無く、富士山が見えるのは一箇所だけだった。

道のアチコチに大きく手を広げたようなブナが緑色の影を作った。


朝日山から今倉山までブナの巨木が多い。幹に耳を当てて小さなため息を聴いた。


菜畑山から今倉山へは尾根道だけどほとんど眺望は無く一箇所だけぽっかりと富士山が見えた。

「スタッフぅ〜」
最初、歌を歌っているだと思った。
ところがどうも狩野英孝の物マネをしているみたいだ。
40歳位のトレラン姿の女性とすれ違った。
トレランをしながら物真似の練習?んーん気になってしまう。

ここまでに10人程のハイカーとすれ違ったけれど半数以上がトレラン姿だった。
道志山塊ってトレランに人気の山域?それともトレラン姿が流行しているだけ?

今倉山も地味な山だったけれど人が居ないので見上げる群青の空がにじんで見えた。。
ちらっと富士山や御正体山が見える程度の眺望で達成感を期待できる山ではないけれど、
この山も休日にふらっと一人で山の空気に触れるには良い山だ思う。


今倉山への山頂。御正体山が直ぐそこに見える。


今倉山の先にツツジが咲き誇っている場所があった。

松山(赤岩)からの眺望は今日一番のご褒美かもしれない。
今倉山の端っこにある露岩地で富士山や今日歩いた道志の山々が一望出来た。
方位盤もあって遠望の利く冬に来たら良さそうなだ。

道志山塊って富士山に近いな!とここで遅すぎる実感。
何度も見たはずなのに御正体山の向こうの富士山の大きくて懐かしい。


松山(赤岩)は今日一番の眺望。


松山からの朝日山もあんなに遠い。


松山からの富士山の眺め。富士山の左が御正体山、右が鹿留山、杓子山、どこかできっと続いているのだ。

さて、今日登る山もいよいよ後一つになった。
二十六夜山へと視線を向けると先に高い山は無い。
その標高差はわずか100mなのに二十六夜山はずっと下に見える。

登山道をどんどん下っていると木々の間から白い車道が見えた。
地図には無いけれどいったん車道に降りるみたいだ。
車道を10mほど歩くと「二十六夜山まで20分]の標示があった。
車道からわずか20分で登れるようになった山ってハイカーにとって良いことなのか?

あまり期待していなかった道志二十六夜山。
良い意味での期待外れ。山頂からは御正体山や富士山の眺望が良かった。
ここだったら月待ちにも良い感じだ。


予想以上に良かった道志二十六夜山。逆光なので出来たら午前中に来たかった。


道志二十六夜山からの九鬼山はずっと低い。こっちの方が富士山の眺めが良いのにハイカーは少ない。


この眺望が車道から20分登るだけで見られるって良いこと?


道志二十六夜山の二十六夜塔。お賽銭箱があります。

二十六夜山からの下山道は引野田への道と上戸沢への道があるけれど分岐に来て見ると上戸沢への道の方が広くて歩き易そうだった。

ゴールへ向かって行く!
尾根伝いに歩いて行き、途中から沢へ向かってジグザグ道を降りて行く。
矢多沢はすっかり山の陰になっていて薄暗かったけれど日が当たる日中だったら綺麗な沢だと思った。

上戸沢から赤坂駅までバスに乗ろうと思っていたけれどバスの発車時刻まで1時間半以上あったので駅まで歩くことにした。


仙人水は突然と岩の間から水が流れ出していた。持ってきたコーラも無くなったのでここで水分補給した。

以前から山登りをしている人の話では道志山塊は「ヤブ山」だと言っていたし、地図にも「ヤブ深かし」と載っているけれど今回歩いたコースに藪は無かった。
(ただし秋山二十六夜山から朝日山までは道標など未整備な箇所あり)

全体的にあまり眺望は良くなかったけれど静かな山歩きが好きな人のために残したいような山。
高川山みたいに眺望を良くするために山頂付近の木を全部切ってしまうようなことがされなきゃ良いけれどと思う。
名前も無い小さなピークで一人だけの空を眺める、そんなのが良いのだ!。

赤坂駅で電車に乗る。
富士急行線、中央本線、南武線と乗り継いで川崎までの3時間半、一度も座席に座ることが出来なかった。
GWだから混んでいるのは仕方ないけれど一日、山を歩いた後の立ちっぱなしはやっぱり疲れた。

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