大岳山、御岳山 (海沢探勝路)

行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他)

◆ 2018年11月16日
白丸駅 (7:40) --- アメリカキャンプ村 (8:05) --- 天狗岩ノ滝 (8:30) ---海沢園地入口 (8:40) --- 三ッ釜ノ滝 (8:50/9:10) --- ネジレノ滝 (9:15/9:25) --- 大滝 (9:35/10:00) ---
縦走路分岐 (10:05/10:15) --- 大岳山 (11:30/11:40) --- 綾広ノ滝 (12:20/12:30) ---
七代ノ滝 (13:10/13:20) --- 滝本 (14:35/14:38) --- 御岳駅 (14:50)

山日記

駅で降りたソロの男性4人は申し合わせたように海沢探勝路の方へ向かって行った。

前回来た時は道に迷って駅の周りをウロウロしてしまったけど(地図では一度山側に登って行くようになっていたので)さすがに今回は迷うことなく最初の目標である「アメリカ村」へ向かった。

数馬峡橋から川を眺めてみると水の色は前回6月に来た時と同じ綺麗な青緑色だった。
紅葉した渓谷を期待していたけれど黄色や赤色になっている木々は少なくて、もしかしたら紅葉には少し早かったのかもしれない。
冬になると太陽が低くなるので渓谷はまだ日が差し込まず寒々としていた。
橋の上で三脚を構えた男性は寒そうに足踏みしていた。

アメリカ村を過ぎた辺りから黄色く色付いた樹木が目立つようになった。
今回の一番の目的は紅葉に彩られた滝を見ること。期待が持てそうな感じだ。

駅から結構早足で歩いたつもりだったのに駅を出た4人が登山口に着いたのはほとんど同時だった。皆さん足が速い!

登山口から10分ほど登ると早くも一つ目の滝「三ッ釜の滝」に着いた。
陽が差し込んでいない滝は寒々として見えた。
滝の周りに紅葉した樹木は少なくて奥入瀬渓流みたいな景観を期待していた僕はガッカリした。

僕の前後を歩いていた3人はここで数枚の写真を撮ると直ぐに先へと行ってしまったのでのんびりと滝を観賞する。
今日の山登りは時間に余裕があるのでノンビリと写真を撮れる、そう思うと気持ちにも余裕が出て何だか今日一日良い山登りになりそうな予感に包まれた。

三ッ釜の一番目の釜を撮ろうとカメラを構えるとモニター左下に「1」の文字が赤く点滅している。
これ何だったっけ?と思いながら撮影した画像を見ると現れたのは異常に暗い画像だ。
原因が分からないのでどうしらた良いのかも分からない、その内に思い出す事を期待して先へ。


紅葉の滝を期待して来たけれど三ッ釜の滝の周りには色付いた木々は少なかった。

三ッ釜の滝から5分ほど登って行くとあるのが「ネジレの滝」だ。
この滝も日陰になっていて寒々としていた。それに期待していた紅葉の滝はここにも無かった。

滝を撮ってみると相変わらず暗くしか撮れない。
どうしたらいいのか悩んでいたら急に思い出した。絞り優先モードで撮っているからダメなのだ。
このPowerShot_S120は絞り優先モードで撮影した場合シャッタースピードが1秒より遅くならないのだ。それでモニターにシャッタースピードのエラーが赤く標示されていたのだ。
そのことをすっかり忘れてしまっていた。
シャッタースピード優先モードで撮影したら明るく撮れたのでメデタシめでたし。

それにしてもやっぱりネジレの滝は良いなぁー!
滝が洞窟の中にあるので秘境な感じで神秘的でもある。
奥多摩にある滝全部を見たわけではないけれどこの滝が奥多摩で一番美しい滝だと思う。
この別世界のような景色が車道からわずか20分歩いた場所にあるなんてあるのだ。
洞窟の形がハート型とかでなくて良かった。車道から近いのに訪れる人が少なくてのんびりできるのが嬉しい。

ここで一時間ほど待っていたら陽が差し込んで来て明るい景色になるのでは?とも考えたけれど、紅葉していない滝を見るのに一時間待つのは無駄に思えて、それにいくら時間があるとはいえ秋の登山は早めに帰宅した方が良いので先へ行くことにした。


洞窟の奥にあるネジレの滝は秘境みたいな感じだ。奥多摩で一番好きな滝だ。

ネジレの滝から10分ほど登って行くと大滝への分岐に着いた。
今回再訪してみると車道(登山口)から大滝まで覚えていた距離よりも随分短かく感じた。前回初めて来た時は登山道が地図に表記されていない不安から歩くのが自然と遅くなっていたのかもしれない。

分岐から大滝へ降りて行く。
滝を目の前にして今回の海沢探勝路の散策は失敗だったかも?と思った。
昨年6月に来た時と比べて、三つの滝全てが日陰になっていること、それから周りに紅葉している樹木が少ないこと(紅葉する時期とずれていただけかもしれない)。

滝の前で一人の男性が休憩中だった。日陰になっているので滝壺の横でシートを広げている男性の姿は寒そうに見えた。

大滝はその名の通り大きいので写真を撮るときにどこを切り取るか難しく、感性に乏しい僕は手当たり次第にシャッターを押していった。
数枚撮影した後にモニターを見てみるとそのうちの一枚に滝壺に浮かぶ落葉が丸く輪になって回っているのが写っていた。落ち葉の動きはあまりに緩やかなので撮っている時は全く気が付かなかったのだ。
期待していた紅葉の滝がここにあった。

大滝で昼食にしようと思っていたけれど寒そうだったので日差しがある分岐まで戻って休憩した。
今朝、駅で一緒だった他の3人はとっくに先に行ってしまったので僕と静かな時間が取り残された。
風が吹くと様々な大きさの枯葉が目の前をゆらゆらと舞い落ちていった。秋の山を感じる一時だった。


最初は分からなかった大滝の滝壺でやっと見つけた秋。

大滝の分岐からは山の斜面をトラバースする平坦な道が続くけれどワサビ園からは急な登りに変わる。ここの登りも前回来た時は長く感じたけれど今回歩てみるとそうでも無かった。
やっぱり地図に無い道を不安な気持ちで歩いたので長く感じてしまったのだろう。

大岳山頂に立つと富士山が一望出来た。今日はここまでまったく眺望の無い道を歩いて来たので突然現れた富士山の姿はご褒美みたいで嬉しい。
大岳山頂は開けていて富士山の眺望が良いけれど少し距離が遠いのが惜しい点だ。この前登った大菩薩嶺よりも富士山から遠くに位置しているので(高尾山よりも遠い)距離を感じる見え方なのだ。

山頂には15人ほどの登山者だった。
ここでまたいつもの悩みが勃発した。登頂の記念に山頂の標柱と富士山が並んだ写真を撮りたいのだが標柱のすぐ横の岩にオバさんが座って弁当を食べているのだ。
記念写真に知らないオバさんが、しかもガッツリと弁当食べているオバさんが写り込むのは嫌なのだ。
僕としては山頂の標柱の周りは記念撮影の場所として空けといて欲しい。

まさか写真を撮るのでそこどいてくれとは言えないのでカメラを掴んだままボケェーッと立っていた。
そうしたら弁当を食べていたオバさんがザックから何かを取り出そうと前屈みになった。
おーし、シャッターチャンスだ!今しかねぇ!
慌ててカメラの電源をON ・・・ レンズエラーで強制終了! ・・・ あーっ泣きたい!


大岳山頂にこんな標柱あったっけ?この一枚を撮るのに10分待ちました。

選曲はMISIAの初期のライブ音源。大岳山から御岳山へは緩い降りになっているので歩くのも楽だ、そこでウォークマンを聴きながら歩くことにした。
好きな曲を聴きながら紅葉の中を歩くのは楽しいけれど安全面から言うととても褒められたもんではないとは思う。けれど道が単調で危険な箇所が無いとこうやって歩くのはやっぱり楽しい。

鍋割山への分岐から分かれてドンドンと降って行くと沢沿いの道になった。
ここでウォークマンを仕舞ってカメラを取り出した。
ロックガーデンの小さな滝を見るのも今回楽しみだった一つだ。

苔っていうのは寒くなっても枯れないのだろうか?秋になっても緑のままだ。
苔の緑と落葉の組み合わせが良い感じで小さな沢のアチコチを彩っている。

何でここはこんなに人が多いのだろう?(自分もその多い人の中の一人ではあるが)
シャッタースピードを遅くして撮りたいのでどうしても三脚を立てたい。ところが散策路を歩く人の列が絶えることが無いので中々三脚を立てられないもどかしさ。


ロックガーデンの始まりにある綾広ノ滝は観光客の撮影ポイントになっている。


ロックガーデンは開放的な場所なんだけれど日陰になっているとやっぱりね。


落葉と苔の緑の組み合わせが美しい。ロックガーデンにはこうした小さな滝?がアッチコッチにある。


ここも小さな秋で満ち溢れていた。落葉のクルクルを撮るのが癖になりそう。

天狗の岩から七代の滝へは急な下りになっていていくつもの梯子を降りて行く。
赤ちゃんを背負った夫婦が下から登って来た。それぞれが一人ずつ背負っているので双子なのかもしれない。
微笑ましく思う反面この急な道で赤ちゃんを背負って登る姿が何とも危険に見えた。
僕もこの夏に北アルプスで転倒し怪我をした体験があるので心配になる情景だった。

七代の滝は半分洞窟の中にあり薄暗く、水量も少なく繊細な感じが神秘的な印象にさせる。一般観光客にはこの小さい滝に物足りなさを感じるかもしれない。
滝の周りはジメッと湿っていて日本庭園のような趣を感じる。
ここで熱いコーヒーでも飲みながらノンビリと本を読めたら最高だなといつも思う。

七代の滝から長尾平までは今日一番の急な登りで余りの暑さにフリースを脱いでTシャツ一枚になるほどだった。
大汗をかいて登った長尾平は今日見た中で一番紅葉が綺麗な場所だった。
茶店前のテーブルでその紅葉を眺めながら休憩していると今日の山登りも終わった感じがして寂しさと物足りなさを感じた。


小さくて神秘的な七代の滝は日本庭園のような趣で眺めていると心が落ち着く。

後は降るのみ。
前に来た時に御岳神社には紅葉した木が少なかった印象があるし人が多いのは苦手なので神社には目もくれずひたすら下山道に急いだ。

ケーブルカーには乗らずに登山道を降りる。
初めてこの参道を歩いた時には大きな杉の木に驚いた。
ところがやっぱり人っていうのは慣れるものなのだ。

道は舗装されているので危険な個所は無い。ウォークマンから流れるNorah-Jonesの少しけだるい歌声は山登りにピッタリだった。
空を見上げるといつの間にか曇が広がっいて低くなった空がそこにあった。

御嶽駅まで渓谷沿いを歩こうかと思っていたけれどこの曇り空では御岳渓谷の紅葉も映えないだろうと発車待ちしていたバスで駅に行くことにした。

平日なのに何で?と思うようなギュウギュウのバスを降りると御嶽駅改札口前も電車待ちの客で混雑していた。

早々に上がったホームも多くの客で混雑していて「こりゃ座れるかな?」と思っていたところへ電車が到着。
やって来た奥多摩発の電車もすでにギュウギュウ詰めで当然座ることは出来なかった。

何で平日なのにこの混みようは?やっぱり紅葉の時期は奥多摩は登山者で一杯なのだ。
電車の中にはザックを背負ったまま立っている人が大勢いた。
山から下りて来て乗った電車が座れないのは辛いと思う。
皆さん、そうまでして紅葉の山に行きたいのだ、まったく紅葉の魅力は恐ろしい。
けれどやっぱりまた来たいと思いながら車窓に流れる山々を眺めながら帰った。

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