扇山、百蔵山

行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他)

◆ 2018年5月5日
鳥沢駅 (6:50) --- 梨の木平 (7:30/7:35) --- つつじ群生地分岐 (8:10) --- 扇山 (8:45/9:00) --- 百蔵山(10:15/10:30) --- 猿橋駅 (11:30)
山日記

GWに行く山を考えた。
2000m以上の山は雪景色、1000m以上の山は冬景色。
という事で1000m以下の新緑の山を目指すことにした。

近場の新緑の山、その第一候補は高尾山だ。
ところがGWの高尾山は絶対に混雑するに違いないので行くのを諦めた。
それじゃー人気の無い山に行こうと考えたのだが人気の無い山=つまらない山なのであまり妥協も出来ない。
第二候補になったのが中央沿線の山、倉岳山ー高畑山だった。
ところがこの二つの山は最近、山頂の木々が育って眺望が少なくなったしまった。
それだったら山頂からの眺望が良い山ということで扇山、百蔵山へ行くことにした。

鳥沢駅から梨の木平までバスには乗らずに歩いて行く。
同じ電車を降りた男性は駅前を右に曲がり歩いて行く。どうやら「山谷」の方から登るみたいだ。
鳥沢駅から梨の木平への道は「山谷」経由と「大久保」経由の二つの道があるけれど地図でみるとどちらも同じような距離だ。

「大久保」経由の道を行くことにした。
住宅地の中を緩やかに登って行く。住宅地は道が入り込んでいるので分かりにくいのではと心配していたけれど分岐には「扇山」を示す道標があるので迷うことは無かった。
(以前来た時にはこんなに道標の数は多くなかった。)

住宅地を抜け、舗装された林道を歩いていると途中の分かれ道で悩んでしまった。左への道は山へと登って行く。右の道は山を巻くように降って行く。道標が無いので真っ直ぐに(右に)進んで行くと200m先にゴルフ場の入口があって道路を挟んだ向かい側が梨の木平の登山口だった。

今日は久しぶりの山登りだ。土を踏む事だけでも嬉しい。
360度周り全てが鳥や虫の鳴き声に満ちていた。
空気も入れ替わったかのように少しヒンヤリしているように感じる。

途中、登山道の脇には水が染み出した箇所がいくつもあってそこから蛙の鳴き声が聞こえた。
春は賑やかだな。春の暖かな日差しの中にいくつもの生命が満ち溢れていた。

梨の木平から登って30分の所で道が二つに分かれていた。
左は尾根に向かい、右は山腹へと続いていて、どちらの道もしっかりとした踏み跡があった。
道標は無いのでどちらかが巻き道で先で合流しているのだと思った。

尾根道の方が見晴らしが良さそうなので左の道へ入った。
50mほど登って行くと辺り一面の木は伐採されて切り株だけになった。
ちょっとおかしいなと思った。この道って作業道なのではないだろうか?
不安になったので分岐まで引き返して右への道へと進んだ。(山頂に着くまでに道が合流することは無かったのでやっぱり左の道は作業道だったのだろう、引き返して良かった。)

つづら折りの道を登って行くと水場があって数本のパイプから水がジャブジャブと流れ出ていた。水はまだたっぷりとあるし、顔を洗うほど汗はかいていないのでそのままスルーする。

水場から15分ほど登って行くと「つつじ群生地10分」の分岐があった。
せっかくここまで来たのでツツジを見に行くことにした。
分岐から歩いて直ぐの所に山ツツジの群落があって、その薄紅色の花が山を一際鮮やかに彩っていた。

分岐から5分ほど進んだ所から道は降りになった。
あと5分ほど降ると群生地なのだろうけれどがまた登り返すのも大変なのでここで引き返すことにした。


つつじ群生地の分岐から歩いて直ぐに山ツツジが咲いていた。


道が下り始めたので引き返すことにしたけど群生地はもっと下なのだろうか?。

つつじ群生地の分岐から10分ほど登って行くと大久保のコルに出て登山道が広く明るくなった。
登山道の上には空が広がり、一層輝きを増した新緑の中を歩いて行くのは気持が良い。
ゆるやかな尾根道を登って行くと先にポッカリと明るい空間があるのが見えた。

富士山は見えるだろうか?
今朝、梨の木平から見た富士山は雲の中だった。
今年3月に沼津アルプスに登った時は富士山は雲に隠れて良く見えなかったので、せめて今日はスッキリとその姿を見たかった。

木々の間に富士山が見えた時には嬉しかった。
春の少し霞んだ大気の向こうに見えた富士山の姿は青空に溶け込むような柔らかさを含んでいた。

山頂からの眺望ってこんなんだっけ?
山頂の広さは以前来た時の記憶と同じだけど眺望は少なくなったような気がする。
この山も山頂周りの木々が成長したのかもしれない。

ポケットラジオを聴きながら昼食のおにぎりを食べた。
やっとおにぎりが硬くならない季節になったのだ。手袋をしたままおにぎりを食べなくてもいいのだ・・・とおにぎりで季節を実感する。


明るくて広くて開放的な扇山の山頂はなぜかハイキング気分になってしまう。

扇山から大久保山(山頂の標示が無かったら山頂とは分からないほどのピーク)までは平坦な道だったけれど大久保山から一気に降りになる。扇山からカンバノ頭までその標高差320mを一気に降りるので勿体ない感じだ。

カンバノ頭付近で少しだけ百蔵山が見えた。
ここから百蔵山までは割と平坦な尾根であることが見えて気が楽になった。

以前この尾根を歩いた時のこと、前を歩く10人位のパーティーが登山道を離れ、次々と林の中に入って行くので「これはきっと珍しい花でも咲いているに違いない」とその後ろを付いて行くとそこには一面、白いティッシュの花が咲き匂っていたのだった。
今日はその場所が今もお花摘みの場所になっているのか見ようと思ったけれど登山道の近くにそれらしい林は見つからなかった(まーっ、どーでも良いことだけど)。

百蔵山への急な坂を登っているとすれ違う人から「この登りは大変ですね!」と声を掛けられたけれど行く先を見上げると木々の間に青空が覗いている。
山頂の近さを感じられて大変な道という感じはしなかった。


扇山から百蔵山への登山道は歩き始めはこんなに平坦だけど大久保山から急な下りになる。

百蔵山頂は南側が開けていて目の前に富士山、その左に倉岳山、菜畑山などの道志山塊、右には三つ峠山など御坂山地が広がっていた。
山頂の北側はうっそうとした木に覆われ、眺望はない。

山頂には10人ほどのハイカーが草地に座り込んで富士山を眺めながら休憩中だった。
ベンチに座って富士山を眺めた。天気予報では今日の気温は26℃になると言っていたけれど山頂を過る風はまだヒンヤリしていて心地良かった。

周りの山々をぐるりと見回してみる。
木の種類によって発芽の時期や葉の色が違っているので山肌は個性的な緑の濃淡に埋め尽くされている。

同僚の中川さんの息子(大学生)が最近、登山に興味を持ち、登山靴やザックなど装備一式を買いそろえたことを聞いた。
このGWが初登山になるらしいのだが、その山が千葉の鋸山と聞いて僕はコケそうになった。
今頃、中川さんの息子は鋸山に登っているのかな、とふと思った。


この画像では分からないけれど山頂には多くのハイカーの姿。


まだ富士山が見えていて良かった。


山頂の南側が開けていて富士山、その左に倉岳山、菜畑山などの道志山塊、右には三つ峠山など御坂山地。

山頂から15分降ると富士山、三つ峠山の見晴らしの良い場所に出た。
今日歩いたコースはひたすら樹林帯の中を歩く道で見晴らしの良い場所が無かったのでここが最後のご褒美みたいに思えた。

途中に登山者カウンターが設置されている箇所で道は二つに分かれていた。
どちらも猿倉駅へに着くと書かれていたので右の方へ進んだ。
そこからは住宅地の中の急な坂道になった。登りだったら疲れそうな道だ。

山に登る際に緩やかに登る道と急な道があった場合、急な道を登って緩やかな道を降った方が足膝への負担が少ないと言われるが、緩やかな道を登って急な道を降った方が僕には楽なように思える。
今日歩いた鳥沢駅→扇山→百蔵山→猿倉駅の方が急な登りが少ないので楽なような気がする(駅の標高も鳥沢駅315m、猿倉駅329mとそんなに違わない)。


百蔵山から15分ほど降ると見晴らしが良い場所に出た。富士山の左に御正体山、右に高川山、三つ峠山。

本当だったら帰るにはまだ早い時間なのだけれど今日はGWで夕方になると電車の混雑が予想されるので岩殿山へは登らずに早めに帰ることにした。

猿橋駅近くになっても登山者らしい人とすれ違った。
こんな遅い時間から登る人がいるのだ。
百蔵山は「朝起きたら天気が良くて、それじゃー山登りでもしようか!」と出かけて来るような身近な山なのだろう。

猿倉駅から今日登った二つの山が並んで見えた。
駅からも近く、標高が低い割に周りの山々の眺めが良い山だったと思う。

青空の下の新緑の山を眺めていて思った。
「夏に向かって登る山の標高を段々と上げて行かなくては!」

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