滝子山、ハマイバ丸、大蔵高丸、雁ヶ腹摺山、姥子山、岩殿山

行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他)

◆ 2016年4月30日
笹子駅 (7:15) --- 滝子山 (9:55/10:15) --- 大谷ヶ丸 (11:15/11:20) --- ハマイバ丸 (12:25/12:30) --- 大蔵高丸 (13:00/13:10) --- 湯ノ沢峠 (13:45/13:55) --- 白谷丸 (14:25)

山日記 (テントが飛んだ 編)

さてGWはどこに行こうか?
選ぶ基準は ・・・ 混んでいない山。電車バスの予約無しで行ける山。テントが気持良い山。

奥多摩の三頭山へ行こうと思ったけれど何だか人が多そうな気がした。
それに日帰りで行ける山にわざわざテントを持って行くのもどうだろう?と思って止めてしまった。

秀麗富岳12景の雁ヶ腹摺山(がんがはらすりやま)と姥子山(うばこやま)へ行くことにした。
この二つの山は大峠までマイカーやタクシーで行けば日帰りでも登れる山だけれど電車やバス利用すると日帰り登山は難しい。

寂ショウ尾根(じゃくしょうおね) ・・・ 今回初めて歩く登山道だ。
                    ・・・ 文字から受ける印象が暗すぎる。

「山と高原地図」では「岩場」「道不明瞭」「上級者向」と表記され「危」と「迷」の文字も並んでいるのが気になる。
それに滝子山への直登ルートであるため急勾配が予想され、重いザックを担いで登るのに苦労しそうな感じだ。
では何でこのコースを登るのか? ・・・ 時短するためである。のんびり登りたいからである。

寂ショウ尾根についてはネットで調べて重要なポイントは憶えて行った。
桜森林公園を過ぎて5分ほど歩くと右への道がある(入り口に「寂ショウ苑」の古い看板)。
今は廃屋になっている寂ショウ苑から左へ入って行く(入り口に滝子山の案内板)。
鉄塔から少し進むと林道へ出て、林道を右へ10mほど歩くと滝子山への登山口がある。




寂ショウ尾根を登って行く。
新緑が目に眩しいほどだ。
道は思っていたよりハッキリとしている。
それに僕の前後を10人程が歩いているので意外と歩かれている登山道なのかもしれない。

家族4人のパーティーに追い付いた。
10歳位の女の子、8歳位の男の子、そしてその両親といった構成だ。
こんな小さな子供達でさえ登れるのだったら難路ではないのだろうと思ったら少し安心した。
「ちゃんとペース配分を考えて歩いて!」・・・それって大人でも難しい。
「ちゃんと道を歩いて!」 ・・・普段アスファルトしか歩いていない子供に分かるかな。
この子供たちにとって今日が良い日でありますように!


新緑に彩られた寂ショウ尾根を登って行く。意外と踏み跡ははっきりしていて迷うような箇所は無かった。

しばらくのんびりと歩いていると右の方に桧平辺りの稜線が見えてきた。
滝子山はもう直ぐそこだ。
9時半までのは楽勝で山頂に着いてしまいそうだ。

しかしいくら歩いても直ぐ近くに見える稜線との距離が中々縮まらない。
振り返ると木々の間から富士山や南アルプスが見えるのでかなり上の方まで登って来ているに違いないのだが。
次第に登山道には岩が多くなり勾配もきつくなって行く。

とうとう登山道は岩のやせ尾根になってしまいザックを担ぎ上げるのが大変になって来た(危険な箇所は無いけれど)。
見上げると木々の間から青空が覗いている。
あそこが山頂だ!と気合を入れて登って行くと ・・・ その先にまだピークが、にせピークだよ!

こんな挫折を二度三度と登り降りを繰り返してやっと山頂へ着いた。
時計を見ると時間は10時だ。寂ショウ尾根は時短コースだと思ったけれどコースタイムはいつもと変わらなかった。
ただ足を進める度にグングンと高度を稼げるので思ったよりも登りやすかった。
(山頂の下辺りは急なので下りには向かないと思う)。

山頂からは富士山の眺めが良かった。
ここまで富士山がくっきり見えたのは初めてかもしれない。


滝子山頂からは今日も富士山の眺めが素晴らしい。今までで一番の透明度かもしれない。


滝子山頂からこれから向かう小金沢蓮嶺を望む。右上の白くなった場所が白谷丸。


滝子山頂からの南アルプスの眺め。今年は雪が少ない感じだ。


滝子山頂から富士山のアップ。

少し早いけれどここで昼食にした。
駅前で買った好きな助六を食べるのを楽しみにしていた。
袋を開けて見るとランチャームが三つ入っていた。
店のロバートプラント似のおばさんが親切に入れてくれたのだ。
僕は実に小さい人間なのだ。
助六に醤油は要らない。つまり三つのランチャームは全てゴミになってしまうのだ。
わずか数グラムだけど余計なゴミが増えたことにため息が出た。

昼食も食べたし、歩き出す前に日焼け止めを塗っておこうとザックから取り出すと、なんと中は空っぽだった。一滴も入って無い。
日焼け止めが無いことよりもまた余計なゴミが増えてしまったにガッカリした。
・・・ だから小さい男なのだ。


枯れていることが多い鎮西ヶ池も今日は水が流れていた。
保元の乱で敗れた鎮西八郎源為朝の妻がここに隠れ住んだと言われている。

おーし、行くぞ!
天気が良いのもあるけれど、滝子山から湯ノ沢峠まで拷問のような登り降りが無いのが分かっているので歩き出す前から気分が良い。

コバルト色の空を白い雲がゆっくりと流れて行くのを眺めながら歩いて行く。
大谷ヶ丸で休んでいるとコンドウ丸の方からトレラン姿の若い男女がやって来た。
気になったのは二人が手にしている銀色に鈍く光る草取り鎌だ。
トレランをしているのではないことが一目瞭然なので気になって尋ねてみた。
すると分岐での標示に分かりにくい箇所など無いかを確認しに来たとのことだった。

先を歩く二人を見ていると登山道脇の草を刈ったり、道に落ちている石や枝を払ったりしながら歩いて行く。こういう人達に登山道やそこを歩く登山者は守られているんだなと思う。
米背負峠では行先標示の位置が見にくいのでは?と思案中だった。いやぁー細かいものだ。


大谷ヶ丸山頂からは木々の間に南アルプスが見える。


ハマイバ丸は昔、破魔矢を射る神事を行った場所


ハマイバ丸は秀麗富岳12景の一つで富士山の眺めが良い。

ハマイバ丸から先は草原が続いた。
今は枯れた草原だけど夏になるとお花畑になるみたいなので一度はその様子を見たいと思う。
けれどこの山稜を訪れるのは冬や春ばかりで来る度に「今度は夏に来るぞ!」と思ってしまう。

2年前に来た時よりも立ち入り禁止のロープが張られた場所が長くなったような気がする。
それに金網の柵で周りをグルリと囲まれている場所もあって、そんな場所では閉塞感を感じる。
以前来た時に見た翁草の群落も今はロープの向こう側で見ることは出来なくなった。
それは寂しいことだけど同時に花がもう人に荒されることは無いと思うとホッさせられる。

大蔵高丸からもまだ富士山が見えていた。
休んでいるとトレラン姿の人がやって来た。

今日、滝子山からここまでに20人程のトレラン姿の人とすれ違った。
ただすれ違った人は皆さん、歩いている人ばかりだったのでトレランでは無いのかもしれない。
トレランのファッション性、機能性がハイカーにも浸透したのか?


ここも秀麗富岳12景の一つ。だいたいこの時間になると霞んでしまうことが多い富士山。


大蔵高山から湯ノ沢峠へと草原を歩いて行く。夏は一面のお花畑になるらしい。


草原の中にポツンとある一本の木は気になる木。

湯ノ沢峠の避難小屋には大菩薩から来たソロの男性が一人だけだった。
この小屋には電気が来ているので小屋内に照明がある(コンセントは確認できず)。
それだったらテレビも置いて欲しい、冷蔵庫には冷えたビールも ・・・ いっそのこと営業小屋にしたらと思ってしまう。

峠で水をポリタンに入れると白谷丸へ登って行く。
これだけ話を振っておいて小屋には泊まらない?
先日、テントを買い換えたので今回の山行はそのお試しも兼ねているのだ。


山小屋では珍しい電気がある湯ノ沢峠避難小屋。


白谷丸へ登る途中から見た大蔵高山付近の草原。

白谷丸はテントがすごく気持良い場所なのだ。
景色を眺めながら3時半まで待ってテントを張り始める。
なるべく環境に悪影響が無いように山頂のど真ん中に張る。

あーっ、風が強い!
風が強い時に一人でテントを張るのは大変だ。
テントにポールを差し込んで持上げると一気に風を受けて飛ばされそうになった。
片手で暴れまくるテントを押さえ、もう一方の手でザックをテント内に投げ入れた。
すると重石代わりに入れたザックから離れようとするかのようにテントは大きく変形して狂ったように暴れ始めた。

こりゃまずい!買ったばかりのテントが傷みそうだ。
そう思ってテントからザックを出したその瞬間、風がテントをさらっていった。
テントは5,6回バウンドすると近くの木にドシャーッとぶつかって止まった。
やっちまったー!買ったばかりのテントが壊れてしまった!
慌ててテントを拾いに行って見ると幸いにもテントは無傷だった。

再びテント内にザックを入れ、テント底の4箇所をペグダウンした。
そしてバタバタと暴れるフライシートを着け、張り綱4箇所を固定した。
あれっ、グランドシートってどうやって着ける?

テントからザックを出し、グランドシートを取り着けた後、いびつな形になってしまっているテントのペグ位置を修正した。


風が強いので山頂の東側に張ろうと思ったけれど少しでも自然への影響を考えてど真ん中に張った。

テントを設営するのに35分もかかってしまったがどうにか今夜の寝床が出来た。
今度のテントはフライシートが黄色なので中が明るく見えた。

ツマミは柿の種と酢イカ。
新しいテントの中で飲むビールがまた旨いのだ。
まったくアル中はしょうがねぇーな!
ランチャーム3個の重さを気にするならお酒をなんか持ってくるな!・・・とは思わないのだ。

白谷丸へアーベントロートの富士山を見に行った。
(以前はテントを張ったピークが白谷丸とされていたが今はその横の稜線が白谷丸とされている)

テント泊の良いところは朝夕の山の景色を見れる事だ。
モルゲンロートには元気をもらうけれどアーベントロートは一日を終わりを感じてしまうせいなのかどこか寂しい感じがする。


こんなにアーベントロートの富士山の眺めが良いのに白谷丸って秀麗富岳12景に選ばれていないのだ。

暗くなってテントの外に出て見たけれど星はあまり見えなかった。
半月のため空が明るく、それに甲府の夜景が西の空を照らしているためだ。

2年前に来た時、ここで星空の撮影をしていた人が居たけれどここみたいに夜景が見える山頂は星の撮影には向かない感じがした。

それでも星空の撮影練習をした(星空撮影だけは自宅で練習が出来ないので)。
カメラを星空モードにして撮影したけれど星は全く写りゃしない。
やっぱりマニュアルで撮るしかない!と試みたけれどもうかなり酔っ払っていたので細かな設定が出来やしない。
それに強い風で三脚が倒れ、またまたカメラがキズだらけになってしまった。
酔っ払いには無理!撮影練習は直ぐに諦めて寝ることにした。


新しく買ったモンベルのステラリッジテントにも星空を見せてあげます。

キューン!悲しそうな鹿の鳴き声がする。
こっちに来るんじゃねーぞ!と思う。

シュラフに入ってみると暗闇の中でもテントがバタバタと大きく揺れているのが分かった。
遠くでゴーッとうねるような風の音がしている。
こんなに暴れるテント内で眠れるだろうか?と目をつむった。

あなどったら痛い目 編へ 続く
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