高座山、杓子山、石割山、平尾山、大平山

行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他)

◆ 2016年1月10日
富士山駅 (7:10) === 役場前 (7:30) --- 鳥居地峠 (7:50/7:53) --- 高座山 (8:45/8:50) --- 杓子山 (9:40/10:00) --- 高ノ塚峠 (11:00) --- 二十曲峠 (11:40) --- 石割山 (12:20/12:30) --- 平尾山 (12:55/13:05) --- 大平山 (13:35/13:50) --- 長池山 (14:08) --- マウント富士入口 (14:45/15:08) === 富士山駅 (15:50)

山日記

やっぱり新年最初の山は富士山を見たい。
華やかな正月気分も落ち着いた今、ここは一発、でっかい富士を見に行くことにした。

あ゛ーっ、面倒くせっ!
富士吉田駅がどうして富士山駅となってしまったのか?
富士山って固有名詞だろうっ?何だか紛らわしなぁー!

列車が富士山駅に近づくにつれて車窓の向こうの富士山が大きい。
あーっ、良いなぁ!と思う。素直に良いなぁと思う。
今更だけど、こんな人里の近くに3000m以上の山が存在することが不思議に思える。

富士山駅で列車を降りてみるとホームの向こう側で富士山は赤くなっていた。
目の前の光景に心がザワザワする。心の中で元旦のやり直しなのだと思う。
しかし今年初めての富士山のモルゲンロートが駅のホームだなんて・・・ちょっと味気ない。


富士山駅のホームから富士山のモルゲンロートを眺める。これで人家が写ってなきゃ良いんだけれど。

役場前でバスを降りるとカヤトの原が特徴の高座山はもう目の前だった。

10分くらいで鳥居地峠についてしまうのでは?そう見えたけれど歩いて見るとけっこう長かった。


忍野村役場前でバスを降りると高座山は直ぐそこに見えるけれど(忍野中の横から撮影)。

富士山が見える山は沢山あるけれど、その中でも鳥居地峠から高座山に到る登山道に心引かれた。
何てったって富士山を背負って歩く感じがたまらない。
ジリジリとした富士山からの熱視線を背中に感じるような登山道がここなのだ。
新年最初の富士山はここしかないと思った。

カヤトの草原を小さく登り降りしながら歩いて行く。
振り返るとそこにはでっかい富士山の姿があってその度に満たされる気持にウシウシとほくそ笑む山路なのであった。
山の楽しみは決して山頂だけではないと教えてくれる登山道なのだ。


富士山を背負って歩く道。鳥居地峠から高座山までの道・・・地味だけど何だか好きな道。


ブルドーザー道に雪が積もって縫い目に見えます。良いなー!先に進むのが勿体けれど・・・まだ先は長い。

やがて目の前に高座山への急な登りが現れる。
黄黒色のトラロープに掴りながら登って行く。
ぬかるんでいたら登るのに苦労しそうな感じだ。

高座山頂は富士山がかろうじて見える程度であまり展望は良くなかった。
木々の間に見える富士吉田の町並みが太陽の光に白く反射して印象的だった。

目の前には杓子山が近い。写真だけ撮ると直ぐに先へ進んだ。


目の前には壁のような急な登り道が。今回のコースで一番急だった高座山への登り。


急な道を登り切って振り返るとカヤトの原が広がっている。


高座山頂はあまり展望は良くない。葉が生い茂る季節はもっと見えなくなってしまうのだろう。

岩がゴツゴツした尾根の歩いて行く。
登るにつれて南アルプスの眺望も段々良くなっていく。
天気が良くて風も弱い。ザックも軽くて足がバンバン前に出る。
こうなると歩く行為自体がもうただただ楽しい。

このまま一気に杓子山へ!
と思っていたら登山道は大ザス峠へガンガンと下って行く。

峠から最初は緩やかな登りなのだけれど高度を上げて行くに従って急な道になって行く。
ここもトラロープにしがみ付きながら登って行く。

スゲェー!思わず歓声を上げる。
雄大で端麗、そんな富士山が目の前にあって、これは、これは、良い一日になった!と素直に感動する。
山頂には富士山、南アルプス、丹沢、大菩薩嶺、筑波山と360度の展望が広がっていた。

何と杓子山に来たのは12年ぶり。こんなに展望が良い山だったっけ?と思うけれど結果良ければ全て良しだ。

山頂には6人程の登山者だけだったのでテーブルにお弁当を広げてのんびりと昼食にした。
目の前にはデーンと富士山があって、富士山頂の雪が青空に眩しくて贅沢すぎる山頂だった。


杓子山頂です。撮影していたら山頂に居た6人の方が写らないように端っこに寄ってくれました。有難うございます。


山頂から富士吉田の向こうに南アルプスの眺望が良い。左から赤石岳、悪沢岳、真中に塩見岳、右に白峰三山。


杓子山頂の鐘。鐘を誰も鳴らさないのはナゼ?たまたま?何だか年賀状にある様な構図になってしまった。

杓子山から鹿留山まではゆるゆるの尾根道、木々の間から絶えず富士山が見ながら歩く。
鹿留山の標高は杓子山より高いけれど展望の無い山頂なので寄ら無いことにした。

鹿留山への分岐からは膝が痛み出しそうなほど急な道を立ノ塚峠まで一気に下って行く。

立ノ塚峠から二十曲峠までは昇り降りの小さいカヤトの原で低山歩きの楽しさを感じさせるような道だ。
天気予報では今日の山梨の最高気温は13℃らしい。
こんな小春日和の(1月だけど)暖かな日に山を歩く・・・あーっ良い休日になったと思う。

この前から日帰り登山に欠かせなくなったウォークマンをザックから取り出した。
先日、日テレでスターウォーズを連日放送していたのを思い出しジョン・ウイリアムズの曲を聞きたくなったけれどウォークマンには「ジョーズ」しか入っていないのでここはボストンつながりのルロイ・アンダーソンを聴くことにした。
「舞踏会の美女」「ブルータンゴ」など雄大な富士山を眺めながらのそぞろ歩きにはあまりにぴったりなのだった。


杓子山から鹿留山までは富士山を眺めながらこんな尾根道を歩きます。エスケイプするなんて勿体無い。


鹿留山への途中から見る杓子山。後ろに見える南アルプスは左が聖岳、右が赤石岳。

幹に白いシートが巻かれた木がやたら連立した、ちょっと不気味な場所を過ぎると二十曲峠へ降り立った。

二十曲峠は富士山の好展望らしく今日もカメラの三脚が三つ並んでいた。
何を撮るんですか?そばにいたハンチング帽の男性に尋ねるとダイヤモンド富士を撮影しに来たとのことだった。撮影予定時間は夕方3時半らしいので何と今から4時間の待ちなのだ。

川崎でも10月になるとダイヤモンド富士を撮影する三脚が多摩川の土手に並ぶけれどそれほどダイヤモンド富士は見たい撮りたい景色なのだろう。

今度はテントを持ってどこかの山にダイヤモンド富士を見に行こう!と企んだ。


二十曲峠からは御正体山を眺めながら石割山を目指す。この付近は送電線が多いのが玉にキズ。

二十曲峠から御正体山を左に眺めながら登って行くと以前その下にテントを張った高圧線の鉄塔が見えた。
その鉄塔を過ぎると石割山頂はもうすぐだ。

山頂に人が少ない!と喜んだのは一瞬だけ。
石割山頂は泥のぬかるみでとても休憩出来る状態では無かっただけだった。
山頂の周りをぐるりと眺めると30人ほどのハイカーが少し下がったカヤトの中で休憩していた。
(折り畳み椅子を持参した人もいた)

山頂からは富士山、南アルプスの眺望が良く、石割神社方面から登って来たハイカーも目の前に現れる光景に歓声を上げている。


石割山頂から富士山を臨む。山頂は泥んこ状態なのでポッカリと真空地帯化してた。


石割山頂からの白峰三山。もうすっかり向こう側、目をかざせば昨年9月に歩いた山々もすっかり雪景色。

さてとぉ!
高座山までは富士山を背負って歩く道。
ここからは富士山に向かって歩く道の始まりだ。

石割山には何度か来たことはあるけれどここから先は初めて歩くコースだ。
道は相変わらずドロドロなのでトラロープに掴りながら降って行く。
銀色に光る山中湖の湖面を眺めながら歩く展望の良い道だ。

平尾山頂でまず驚いたのはそこからの眺望よりもその人の多さだった。
三連休の真ん中だし仕方ないのかもしれないけれど真冬の1月にこんなに登山者が多いとは思わなかった。
マイナーだと思っていた平尾山は富士山の眺めは良い人気の山だったのだ。


平尾山って意外と人気の山なのだった。風に乗った雲が次々と富士山に向かって行く。

平尾山から大平山へ向かうにつれて人工物が段々と目に付くようになって来た。
山腹のアチコチに別荘らしい家屋が点在している。

これにはハイキング気分もそがれるけど登山道の周りには牧歌的な草原が広がっていて、また富士山の眺望も良いいので歩いていて気持良い道だった。

富士山を眺めながらのんびりと歩くのにこれ以上の道は無いのでは?また好きなコースが増えたな!と思った。
富士山頂に雪が残る新緑の季節に歩いたらもっと素晴らしいのではと思う(出来たら午前中に)。


平尾山からの降り、あまりにも登山道が整備されてるので階段の歩幅で歩くのに小さなため息。


カヤトの草原を歩く。こんなに低い山でも山神の啓示が光のように降り注いでいる感じがする。


何だかー良いよな!と感じる風景。「低い山=面白くない」を否定させる風景に出会った。

大平山頂まで来るとすぐ下に見える町並みの近さにさすがに標高の低さを感じた。
がしかし逆に標高が低いので山中湖越しの富士山は素晴らしく、ここも出来るだけのんびりしたくなるような場所だ。

この光景は青空にポツンと取り残されたような景色、終わりを予感させる景色なのかもしれない。


時は流れるもの。大平山頂からの富士山は太陽と共に西へ遠ざかっている。あーっ、次は午前中に来るけんね!


まだまだーっ、長池山から山中湖へ下って行きます。西へ向かう道にも心の隙間に詰め込む物もまだまだ多い。

池長山を過ぎると富士山が段々と逆光に包まれるように白く霞んできた。
富士山に段々と近づいているはずなのになぜか遠ざかっている感じなのだ。

これで終わり。
山中湖まで降って来ると太陽の光が湖面に溶け出して銀色の道を造っていた。
富士山をめぐるショート縦走もこれで終わりなのだ。


眩しくないのかな?小宇宙みたいな光波打つ山中湖の白鳥。ナゼか、あの日、遠い日をくすぐるような光景。

マウント富士入口からレトロバスに乗って富士山駅へ向かった。

バスが花の都公園の横を通っている時、車窓から外を眺めていると・・・あれっ、何?
公園内のありとあらゆる道に大勢の人の姿が・・・
それも皆が一斉に西の空を見上げている、カメラを構えている。

振り向くと後方車窓の中にダイヤモンド富士の姿があった。
山の稜線から漏れた光がバスの中を眩しいほど明るく照らした。

今年の山登りが始まったんだ!ふとそんな気持ちが心の中にじんわりと広がっていく。
何だか良い一日だぞ! 何だか温かい感じの始まりなのだ。

次の扉を開けるように ・・・ 今年は晴れる日が多いと良いなと思った。
背中に陽だまりのような暖かさを感じながらバスは走って行くのだ。

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