陣馬山、生藤山 |
行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他) ◆12月23日 |
山日記 そもそも寝坊したのが悪いのだ。 それでもって分倍河原の駅前で急に気合を入れたくなって牛丼を食べてしまって(気合と牛丼の因果関係は自分でもよう分からんのだ)、そして高尾山口で駅を降りたのが午前10時半と予定よりも大幅に遅れてしまった。 もうこんな時間から山に登ろうってアホはオレ一人だけなんだろうなーっとなどとかなり自己嫌悪に成りつつ改札を出ると・・・えーっ何でぇぇぇーと巻舌になるほど驚いて、そこには大勢の登山者の姿がいるではないか! こんな時間から山に登るアホはオレだけじゃないんだぁー・・・−っつ言うか、皆アホや! 最初の計画では今回はまだ歩いたことの無い稲荷山コースを登るつもりだったのだけど時間が押してしまっていたので山頂までの最短コースである6号線を登ることにした。 時間には遅れたけど気合は入っているので沢沿いの道をズンズンと登って行く。 やっぱり高尾山は色んな登山者がいるな。ビジネスシューズで歩いている人や、これが今流行の山ガールなのだろうか?なぜか山にスカート姿の女の子、自然と人の姿を観察しながら一気に階段状の山道を登って行くと高尾山頂に到着。 (えぇーっとですね、ここまでわずか14行で高尾山頂までのレポは終わりです、良いんでしょうかね?)。 おーっ、すげぇー! まず心優しき日本人ならこの山頂での富士山との御対面に歓喜の声を上げるわけなんですよ。ところがこの日、山頂は登山者でごった返していてその人の混雑にまず驚いてしまって、そしてその人達の間にようやく富士山の姿を見つけた時にはもう安堵のため息しか出てきません。 こんな時の人間て実にヒヨワですね。もう展望を楽しむ余裕なんか無いんですね。 自分のテリトリーというか、陣地というか、まーっぶっちゃけ安心して弁当を広げる場所がとにかく欲しいのですよ。 「起きて半畳寝て一畳」と言うけど今必要なのは弁当を食べるわずか1/4畳のスペースととにかく謙虚なわけなんですがその謙虚な1/4畳が中々見つからんとです。 でぇどうにかザックとザックの間にわずか50cmの隙間を見つけてやっとの昼食です。ヒザの上にザックを抱えたままの昼食です。 それにしても高尾山に登ったのはこれで4度目なんだけれどこんなに人が多いのは始めてだった。山頂にはズラリと三脚の行列、それにカメラが無くて三脚だけが並んでいるのでものすごく異様な感じだ。 なんだぁーっ!富士山の写真を撮ろうにも撮影ポイントには決まって三脚が置いてあるので邪魔でしょうがない(後で分かったことだけど天皇誕生日の前後数日には高尾山頂から富士山頂に太陽が沈むいわゆる”ダイヤモンド富士”が見られるらしいのだ。だから日没までの数時間に三脚をこのまま放置するアホが多いらしいのだけどハイカーにとってその三脚は邪魔な存在以外何者でもないのである)。 |
高尾山頂はすごい人ごみ状態だ。こんなに混んでいるのは初めて。 |
山頂にある水飲み場でポリタンに4リットルの水を入れます。 |
高尾山頂から城山へ向かう。 モミジ台でも大勢のハイカーが弁当を広げている。この辺りからも富士山の眺望が良くて、そして三脚が並んでいる。 モミジ台から一丁平まで、これが春だったら登山道の周りは新緑や色鮮やかな花でにぎわっているのだけれどやっぱり冬の山はおとなしい、冬の山はどこか静かな感じがする。 確実に4キロは重くなったザックではあるけど登山道はアップダウンも少なくて快適な歩きだ。 城山山頂もまたハイカーでごった返していた。 どこで休もうか?と座る場所を探していると人ごみの向こう側に銀色の波が見えた。この山頂からの都心方面の展望ってこんなに良かったっけ?キラキラとした銀色のきらめきの中に一際高い建物が見える。あれはスカイツリーだぁ!何だかちょっと嬉しい発見。 東京、川崎、横浜と順に視線を動かしていく、この突然とも思える関東平野とのご対面。今の季節は新緑も紅葉も花の賑わいも無いけれどこの遠望だけは今だけしか見れないのかもしれない。 常に右方面に都心の街並を眺めながら景信山へ到着。 もうここもハイカーが多くて、それにナゼだか酒を飲んで盛り上がっている集団がやたら多いのだった。ベロベロに酔っ払っている人の姿も少なくなくて、こんなに酔って山道を降りれるのか心配になった(一番近い小仏のバス停でさえ40分は歩かなければいけないのだ)。 底沢峠付近で相模原のレスキュー隊と遭遇、10人ほどで担架を運んでいた。最初は訓練かなと思ったけれど、どうやら途中で歩けなくなった単独行の男性を搬送中であることが分かった。運ばれている男性の状態だとか詳細についてとても聞けるような雰囲気ではなくてただ横から眺めるだけしか出来なかった。 レスキュー隊の会話を聞いていると明王峠から相模湖の方へ男性を降ろす予定だったが何かトラブルが発生したようで急遽、ここからヘリコプターによる搬送に変えたようだ。 しばらくするとヘリコプターの音が聞こえてきた。 こうしたフッとした瞬間に山の恐ろしさが急に頭を持ち上げてきて僕に色んな疑問を問いかけてくる。 |
城山からの富士山と相模湖。この山頂も人が多かった。 |
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15時半、当初の計画より30分遅れて陣馬山へ到着した。 とりあえず山頂の白馬像で記念撮影を済ませるとすぐにテントの設置にかかった。 ネットで調べてみると白馬像のある山頂は幕営禁止らしいのだがその下では幕営しても良いらしいことが分かった。 どこにテントを張ろうかと物色していると休憩所の横が草地でおまけに平坦だったのでそこに張ることにした。でも正直に言うと僕はこうした人工物の近くにテントを張るのは苦手なのだ。休憩所にはテーブルがあるので食事をするのも楽だし、もし雨が降ったら屋根の下にテントを避難させたりと色々と便利なのだけど・・・ただ暗くなると建物の陰に何かが潜んでいるような気がして薄気味悪さを感じてしまうのだ。 登山靴を脱いでテントの中でゴロンとマグロになるとコリャもうたまらんね。やっぱテントだね。 一日の疲労が快感に変わる瞬間だね。 本当はテントの中で寝そべって手足をバタバタさせたいほどの開放感なのだけれど、そこはもう大人のオレよ、今日一日厳冬の山を登って来たオレよ、冷静沈着にガスコンロでお湯を沸かすわけよ、アイリッシュコーヒーを飲むわけよ。 こうして今日の自分を真剣に見つめ直している間にも周りの茶店は慌しく閉店の準備を進めていく。テント横の信玄茶屋を覗くとペットボトルの水が240円/500mlで売っている。金持ちハイカーならわざわざ高尾山から水をボッカすることも無いだろうなとは思うけれど、それはそれで嫌な感じはしなかった。(途中の城山や景信山の茶店にはジュースやビールはあったけど水は売っていない) |
やって来ました陣馬山はいつも変わらず白馬のお出迎え。 |
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夕方4時20分、やっぱツマミはカワハギだな、男はカワハギだな、山屋はカワハギだな、とこの夜はナゼかカワハギを絶賛しつつ、少し酔っ払った足取りで山頂へ向かって見ると(テントから山頂までわずか30秒)何だかなぁー!そこには3組のアベックの姿があって「そうですかぁー!」っていきなり納得させられてしまうような、テントから這い出た自分にだけ日本海の北風が吹いているような寂しさを感じさせる光景が待っていた。 何でこんなに日が暮れてもハイカーがいるんだよ?と素朴な疑問を持ったので、もうここは素直に聞きました。近くにいた白のダウンジャケットに身を包んだ可愛い子に聞きました。そうしたら「ここから夕日の沈むダイヤモンド富士が見えるんです」ってことなんですよ、何てラッキー!高尾山から遥々デカザックを持って来た甲斐があるってもんだよ。しかしだ、富士山を見ると山頂に沈むはずの太陽は既に山頂の西側にあるし・・・今さら太陽が東へ移動するの? いよいよ夕暮れ、ダイヤモンド富士の登場だぁー・・・・などと期待に胸を膨らませていたら・・・ 何だか全然ずれてるし、そーすよね!さっきの太陽の位置から考えるとどーもおかしいと思っていたけど太陽は完全に山頂より西側の稜線に沈んでいくのであった。 どこがダイヤモンド富士なんだよ!と振り返ると皆さんやっぱり全然盛り上がって無いし、急に他人の振りして(って言うか元々他人なんだけど)そそくさと皆さん山頂から降りて行ってしまった。 山頂で一人北風に吹かれながらカメラを構えているオレっていったい・・・ |
陣馬山頂は夜景が素晴らしいのだ。夜明け前より夕方後の方が光の瞬きが多い。 |
やっぱツマミはサラミだな、男はサラミだな、山屋はサラミだなとワイン→ウイスキーとリレーし、最後にサッポロ塩ラーメンを食べているともう眠くてたまらない。夕食の後は文庫本でも読もうと思っていたけれどそれは無しでシュラフへ直行した。 何だ、何だ、何なんだ!確かに夢の中で叫んでいた。 目を覚ますとテントの近くでエンジン音が鳴り響いている。時計を見ると夜中の11時半。 バイクらしい小型のエンジン音と男女数人のはしゃぎ声。こんな夜中に、それも山頂で一体何をやっているのか?テントを出て確かめようと思ったけれど面倒くさいし、それにこんな夜中に騒いでいるなんてマトモな人のやることではないので、そんな奴らに変にからまれても嫌なのでじっとシュラフに包まっていた。 30分ほどすると騒ぎはようやく収まった。これでやっと眠れる。それにしても陣馬山ってこんな夜中にやって来るアホがいるのか・・・Zzz |
休憩所横にテントを張った。芝地で最良の場所だ。 |
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これね北の星空の画像なのだけど、よーく見ると星が写ってます。夜景が明るすぎるのか?あまり写りませんでした。 |
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7時に山頂を出発、20分ほど降って行くと和田峠へ到着した。 峠までは舗装された道が通っていて車が数台停まっていた。昨夜、早朝と登って来る人が居たけれど確かにここからだと陣馬山頂は近いから楽だな。 和田峠から生藤山までは時間を短縮させるためにひたすら巻道を歩くことにした。元来、僕はキッチリとピークを踏まないと気がすまない性格なのだけれど、この日は時間が押していたし、空は曇って眺望は望めそうになかったので小さなピークはスルーしてしまった。 そしてやって来た生藤山。山頂でお花見が出来る山として有名なんだけれど、山頂は思っていたよりずっと狭くて展望も良くなかった(登山道の上に少し富士山が見える程度)。 この山は今日楽しみにしていた山の一つだったのでこれには正直ガッカリした。 ただこの山のすぐ先にある三国山、こっちの山頂は広くて先日登った権現山も真近に見え富士山の眺望も良かった。 |
連行峰の山頂です。山名も変わっているけどピークがハッキリしない山頂らしくない山頂です。 |
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浅間峠の休憩舎で考え込んでしまった。 予定では数馬発17:20のバスに乗りたい。そうすると三頭山へはどんなに遅くても15:30には着かなくてはいけない。ここまで急いで歩いて来たつもりなのに時間は既に11時になっていた。ここから三頭山までは5時間の道程だからこのままだとバスに間に合わなくなる。 この先、頑張って歩いて時間を縮められるだろうか?自問してみたけれどザックの重さを考えると気が重くなってしまった。でぇ、ここは素直に三頭山まで行くのは諦めてしまった。三頭山を敗退するなんて全く情けないけれど、このコースはもっと日が長い季節に再挑戦すれば良いや!と考えたら諦めは早かった。 こうなると気分的にはすごく楽になった。幸い三頭山へ向かうまでにはエスケープルートが沢山あるので行けるところまで歩いてそこで今回の山行は終わることにした |
三国山頂の方が開放感があって展望も良くて休憩するんだったら生藤山よりこっちがオススメです。 |
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浅間峠から三頭山までの笹尾根、このルートは山岳雑誌とかでよく紹介されているので歩くのを楽しみにしていたのだけれど歩く季節が悪かったのか植林帯が多く、眺望が効く場所も無いのであまりおもしろい道では無かった。 自分ではそれなりに頑張って歩いて来た丸山だった。だけどこの山頂もやっぱり展望が無くて、もうこうなると日差しが無いことに急に寒さを感じてしまってすぐにでも帰りたくなってしまった。 一度、弱気になるともうダメだ、おまけにここから下山する道もある。こうなると結論は早い「今回はこれで終わりだ!」 先日、権現山から見た三頭山へと続く稜線を歩くことに憧れて今回の山行を思い立ったけれどまさか途中で敗退するとは思わなかった。何だか締まらない結末だよなぁー! |
土俵山頂、ここにも展望は無いのでかなりスネます。面白くないので写真を撮るとサッサと先に進んだ。 |
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こんな終わり方だと当然足も重くなる。 丸山から笛吹までトボトボと降って行くと目の前に浅間尾根の稜線が見えた。 今度来た時は笹尾根→三頭山→浅間尾根を歩いてみたいなどと計画が頭に浮かんだ。こんなに凹んでいても次の予定を考えている自分が妙に可笑しかった。 (お詫び:今回のレポは高尾山〜陣馬山〜三頭山の山行レポというよりもほとんど陣馬山テントレポになってしまいました。 後日(いつなんだかなぁ)陣馬山〜三頭山まで再挑戦しますのでその時にもっと詳しくレポします(と思います)。) |
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