白毛門 |
行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩) ◆4月9日 |
山日記 日光の社山以来山からかけ離れた日が続いた。 秋田の乳頭山での遭難のニュースを聞いても登山者の無事を祈るよりも「山に登れて良いなー!」とピント外れな事を思ったりする。 山登り依存症の末期的症状に陥り、気持ちが枯渇してザラザラしていた。 3月26日の天気予報を見ると冬型の気圧配置が弱まり、やったぜぇー!いよいよ谷川岳の白毛門ヘ登るチャンス到来だ!と心が躍った。 出発の前夜、テレビで映画ホワイトアウトを見た。雪の中を歩く織田裕二の姿にに明日の自分を重ね合わせ「おーっし、僕もやったるぜぇー!」とやたら興奮してしまう。 それにしても織田裕二のラッセルはスゲェー!ラストシーンでは何と松嶋奈々子をお姫様ダッコして雪の中を歩くというトンでもない事をやってのけた。んー、ラッセルをやらせたら織田裕二は日本一かもしれん!と感心ながら布団に入った。 そして出発の朝、起きたら・・・・すでに短針が8時を回っていた。 完全に寝坊してしてるやんか!何ぃーやってんだ!このウツケ者! キリリとした青い空を見上げ、ギリギリと歯軋りをしながら、またまた気持ちが枯渇していった ・・・カンチ〜!!! その数日後、サイト「パノラマ写真で見る日本百名山」で僕が寝坊してしまったあの日、フカヤマさんがしっかり白毛門に登ってるのを見つけた!おまけに当日はカキーンとピーカンでないの! 僕も見るはずだった残雪の谷川岳のパノラマ写真が音も無く画面を回る。 クーッ!余りの悔しさに掲示板に嫌がらせ(ではないよ)の書き込みをしてしまった。 書き込みしても心は晴れない。ますます気持ちが枯渇してゆく・・・ 高崎駅で7:08発の水上行に乗り換える。 |
樹林帯を抜けるとそこには雪庇が待ち受けていた。木のそばを歩いて行きます |
土合橋の前に戻って見るとレストランホテルの前に白毛門登山口を示す高さ70センチほどの石標があって、何でこんなにデカイ目印を見落としてしまったんだろ? |
岩壁に雪が残っている部分は日の光を反射させ眩しいほど輝いているけど岩が露出した部分はどこか暗い陰を思わせ、春の陽気の中でうごめく谷川岳の姿はまだまだ冬の様相をしっかりと残している。 |
松ノ木沢ノ頭から白毛門へ向います。 雪の壁と言われるオソロシー箇所があるらしいのだけど・・・ |
なしてだ?こんなんダメじゃろー! |
樹林帯を抜けて、急勾配を一登りすると松ノ木沢ノ頭に到着した。 さすがにここは谷川岳の展望台といわれていることにうなずける場所で天神平、西黒尾根、谷川岳、そして一ノ倉岳までグルリと見渡すことが出来る。 遥か下方に三角屋根の土合駅を見つけると、良くまー、あんな所から登って来たのー!と自画自賛したくなるような笑みが自然とこぼれる場所だ。 |
ずわーん!と広がる大パノラマ!白毛門のてっぺんに立ちました。見果てぬ景色がとうとう目の前に・・・ |
目指す白毛門はもー、すぐそこに見える。 まだ雪が多い時期はここまで登ってきて引き返す人も少なくないらしいが・・・ここで休憩して一気に登ってやろうとザックからオニギリを取り出した。 |
このピークには先客がいた。男性一人とちょっと太目のビーグル犬だ。 |
白毛門山頂からの谷川岳 2ヶ月間閉じ込められていた感情が一気にスパーク! |
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ガイドブックを見て心配になったのが白毛門山頂直下にあるという雪の壁だった。 一体雪の壁って何だ?降りて来る人に訊ねるとそれは急な斜面らしいのだけれど注意して登れば大したことはないということだったので念のためここでアイゼンを付け、ピッケルを握り締めて進んで行く。 平坦だった道がググッと盛り上がって来た。 んなろー!足跡が残っている箇所はその跡に足を乗せ、グズグズに壊れている箇所はキックステップで雪を刻みながら登って行った。 |
白毛門からの朝日岳。 さあ、行くでぇー!はたしてたどり着けるのだろうか? |
登りきると平坦な場所に飛び出した。 |
ただこれだけは言えるのだけれど、この日は雪融けがかなり進んでいて、雪も腐ってグシャグシャ状態だった。もしこれが厳冬期のサラサラやガチガチの雪だったら僕のように雪山の技術も経験もない者はとてもここまでは登って来れなかっただろうと思う。 |
ちょっと分かりづらいけど左から燧ケ岳、、真ん中が至仏山、で右が笠ヶ岳・・・なんだけど笠ヶ岳って一体日本にいくつあんねん! |
武尊山は思い出の山。 また行きたいのーっ!かなり真面目に思ったりもする。 |
まー、とにかく無事、山頂に立てた。やっぱここからは眺望がスゲェー! |
こんなんどうです? 本気で良いと思う、笠ヶ岳までの稜線。 |
山頂から谷川岳を見てひとしお感激した後は、視線をクルリと回すとそこには・・・ジャーン!残雪の武尊山、至仏山が待っているのであった。 |
山頂で食事中の男性に声をかける。 |
おーし、おーし!行くのだ! 笠ヶ岳を目指して・・・青い空の下 |
慌てて男性の姿を追うと宝川温泉の方へ雪原にシュプールを描きながら滑り降りて行く。 |
白毛門から笠ヶ岳までの稜線はものすごくなだらかで雪面にポツポツとトレースが続いている。 |
いよいよ、笠ヶ岳だ!後ろのピークは白毛門 |
時折、吐息のような風が頬をかすめて通り過ぎて行く。風に冬の冷たさは無く、仄かに木の香りを漂わせているのは山頂を覆うハイ松のせいかもしれない。 横に視線を移せばそこにはギザギザな谷川岳の姿が並んでいる!その光景は雪の眩しいほどの輝きに負けることなく力強く、それでいてどこかガラス細工みたいに壊れてしまいそうな繊細さも感じさせる。 サクサクとアイゼンが小気味良い音を立てる。 一歩歩く度に景色が移り変わり、その一瞬一瞬の光景が気分を高揚させる。 そしてもっともっと先が見たくなる。そうやって一歩、また一歩と僕を誘い止まないのだった。 |
笠ヶ岳山頂からの展望は白毛門からでは見えなかった武能岳から蓬峠、清水峠から朝日岳までが一望出来るのだった・・・それは、もースゴすぎる! |
笠ヶ岳山頂はポッカリと雪が有りません |
一年ぶりのアイゼン登場! |
半袖でも暖かいてっぺんなのだ! |
避難小屋の中は綺麗だった。雪はこんなもん! |
時計は2時を回った。予定では朝日岳までピストンするつもりだったが、残念!そこまで行っている時間は無いようだ。 |
笠ヶ岳からの朝日岳を臨みます。 こなくそー!何とか頑張ったら行けそうなんだけど・・・ |
せめて中間点の小烏帽子まで行ってみようかとも思うけど、それだといかにも敗退の色が濃くなってしまうので気持ち良く山行を終わらせるためにここ笠ヶ岳を今日のゴールとしよう! |
パタパタパタ!北からヘリコプターが飛んできて谷川岳東面岩壁のギリッギリッの所をかすめるように飛んでゆく。何かを探しているのだろうか? |
松ノ木沢ノ頭から白毛門を振り返ります。 ふんと良かった今日を思い出している! |
帰路は登って来た道を土合まで引き返す。時間があるのでのんびりと降ってゆく。 |
松ノ木沢ノ頭でアイゼンを外すと気持ちがゆるんでホンワリとすると同時にぐったりとした疲れも感じる・・・でもそれが今は心地よい! そしてその上に広がる青空はいつもより遠くまで広がって見えた。 |
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