釈迦ヶ岳、御在所岳、雨乞岳、鎌ヶ岳、入道ヶ岳

行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他)

◆ 2015年10月25日
八風峠 (5:55) --- 中峠 (6:05/6:10) --- 仙香山 (6:15/6:20) --- 釈迦ヶ岳三角点 (7:10/7:15) --- 猫岳 (7:40/7:45) --- ハト峰 (8:40/8:55) --- 金山 (9:15/9:20) --- 中峠 (9:30/9:35) --- 水晶岳 (9:55/10:00) --- 根ノ平峠 (10:15/10:20) --- 青岳 (11:10/11:15) --- 国見岳 (11:30/11:35) --- 国見峠 (11:50/11:55) --- 御在所岳 (12:15/12:30) --- 国見峠 (12:50) --- 上水晶谷 (13:50/14:00) --- 鉱山跡 (15:10)

山日記 (鈴鹿セブンマウンテンをゆく3 編)

鈴鹿三日目の朝は強風で迎えた。
天気予報では西高東低の冬型の気圧配置で晴れるけれど風が強いと言っていた。

テントを張った八風峠は稜線を少し降った南側にあるので風の影響は無かった。
東側の夜景を眺めながらテントを撤収した。

6時に八風峠を歩き出す。
風が強く、稜線上を歩いているとたまによろっと風に押されてしまうこともあった。
ただ風は強いけれど吹雪いている訳ではないので慌てることは無い。

鈴鹿を歩いて三日目だ。ザックも随分と軽くなった。
二日前、西藤原駅を歩き出した時は液体重量が6kgだったのに今日は水1L、ウイスキー0.5Lの
1.5kgにまで軽くなっていた。

釈迦ヶ岳への道は小さな登り降りを繰り返すだけの尾根道で展望も良かった。
小気味良い景色の変化を楽しめる道だと思う。


たとえどんなに風が強くても日の出は訪れる。


仙香山頂って地図には無いけれど。


朝日が眩しいや!鈴鹿三日目の朝は強風で始まった。

鈴鹿セブンマウント三つ目の釈迦ヶ岳山頂は意外と狭い。
遠くに伊勢湾がオレンジ色に光って見えていた。
眺望は良いけれど強風にさらされているのでじっとしていると寒い。
足踏みしながらの休憩、これって休憩になっているのか自分でも疑問を感じるのだ。

釈迦ヶ岳の峰は二つあってここは三角点のある峰、最高地点の峰はもう少し先にあるらしい。
空身で釈迦ヶ岳をピストンすると言っていた隣のテントの学生パーティーが戻って来た。
懐から次々とコブシ大の石を取り出すとゴトゴトと三角点の横に転がしている。
理由を尋ねようとしたけれどそそくさと下山して行った。
山頂に転がっている6個の石、ケルンでも造ろうとしたのだろうか?

釈迦ヶ岳三角点の直ぐ先に最高地点への分岐があった。
最高地点はここからずっと離れた場所にあるとナゼか勘違いしてしまい最高地点へは行かなかったことが悔やまれる。


釈迦ヶ岳のここは三角点。意外と狭い。


三角点から薄っすらと朝の伊勢湾が見えた。

釈迦ヶ岳からは行く先に御在所岳を眺めながらのんびりと歩いて行く。
標高わずか1000mほどの稜線なのに草原、樹林帯、潅木帯、砂地と足下が次々と変化して行く。
眺望の良い尾根道と重なり合ってそれは山を散策している気分なのだった。
昨日歩いた藤原岳から治田峠までの登山道があまりに荒れていたので悪印象がトラウマに成りそうだったけれどここで十分に癒されたと思う。

ハト峰は不思議や山だった。
緑が生い茂った山の中にポツンと石灰石の白い峰が現れた。
ダンプが積み上げた工事中の砂利置き場みたいだ。


猫岳山頂。この岩の上で弁当を食べると・・・らしい。


猫岳からは御在所岳の眺望が・・・らしい。


この縦走路は変化に富んでいて歩く価値有りです。標高1000m、わずか1000mの散策路です。


竹中工務店のダンプが積み上げたのでは? 山中に忽然と現れるハト峰の全貌がこれだ!

今日は日曜日なのだ。体験授業だろうか?
先生を先頭に10人程の小学生がノートとペンを持って散策していた。
地図を見ると朝明渓谷からハト峰までわずか1時間弱で登ってこれる。
鈴鹿の山は里山としても親しまれている感じがした。

分岐点へ来るとそこには必ず「朝明渓谷バス停」を示す標示があって、何だか縦走の中断を強制されているみたいな感じだ。


金山から今日歩いた山々を振り返ると釈迦ヶ岳が大きい。 これで906mの山なのだ。

根ノ平峠から国見岳への道は最初はダケカンバの中を緩やかに登る道、それからしばらく歩いていると岩がゴロゴロした急な登りに変わった。
V字にえぐられた砂地の道に岩が点在しているので歩きにくく、急なのでザックの重さが嫌になる道だった。今日一番つらい登りだった。


中峠は風の通り道らしく今日一番の強風。


水晶岳山頂。直ぐ横に雨量観測計がある。


根ノ平峠にはテント跡がいっぱいな開放的な峠。


根ノ平峠から国見岳への登り最初はこんな感じだった。

やがて急だった道が緩やかなに変わった。
先を方を見ると木々の間に巨岩が見える。きっとあそこが国見岳山頂なのだろうと歩いていくと、またその先がある。
この繰り返しには疲れた。

国見岳山頂はその標示が無かったら分からないほど狭くてなだらかな山頂だった。
山頂の岩の上に立つと周りの山々の眺望が良かった。
そしてこれから向う御在所岳が見えた。その頂は双耳峰だった。
左の峰にはドーム状の建造物が見える。右の峰は草原になっているようだ。

午前11時40分、国見峠へ着いた。
今回の縦走計画を立てた時、三日目(今日)の幕営地を御在所岳山頂にしようかとも考えた。
山頂にはトイレ、売店、食堂があるので利便性が良い(ネットでは、山頂は完全に観光地化しているのでテントを張るのは勇気がいるとも書かれていたけれど)。
だけど御在所岳山頂で幕営するにはまだ時間も早いし、明日の行程を考えると今日中に出来るだけ雨乞岳に近づきたかった。
それで国見峠にザックはデポし、空身で御在所岳をピストンすることにした。


青岳山頂でやっと御在所岳が見えた。


道の途中のような国見岳山頂。


国見岳山頂の岩に登ると御在所岳が見えた。広い山頂は何と双耳峰だった。

登山道は白茶色の砂でザラザラして滑りやすそうな道だった。
デカザックを背負っていたら案外苦労したかもしれない。

20分ほど登っていると車道に出て、国見岳から見たドームが頭上に見えた。
車道を緩やかに降って行くとスキーらしい広い草原、その奥が三角点のある山頂らしい。

他のハイカーの後ろに付いて歩きゲレンデを横切って行く。
ハイカーは家族連れの姿が多く、デカザックで登っていたらまた違和感を感じたかもしれない
(だから誰もオレなんか見てないって)


御在所岳双耳峰のコル部にスキー場がある。 あーあっ、何でこんな小さなスキー場を造ったんだろう。

山頂にはネットで見た仰々しいほどの三角点があった。
ここまで三角点を祭り上げなくても良さそうな気がするが、ここまでされている三角点は日本で
一番幸せ者なのかもしれない。

どんな強風も観光客には勝てやしない。山頂のアチコチで沢山のハイカーが休憩中だった。
山頂は想像していたよりずっと眺望が良くほぼ360度の景色が見える。
方位板にある琵琶湖は霞んで見えなかった。

山頂の周りには紅葉した木々も残っているので時間があれば散策するのも良さそうだ。
次に来た時にはここでテントを張ってやろうと思った。山頂は広いし、それに夕方になったらハイカーは降りてしまうだろうから人目も気にならない。

僕は山のロープウェイやケーブルカーに関して否定派ではないし、良く利用している。
ただ御在所岳山頂はちょっと造り過ぎじゃないの?盛り過ぎじゃないの?スキー場はいらんだろうと思った。木曽駒ヶ岳や横岳(八ヶ岳)みたいにロープウェイだけで良かったのではと思う。
でもそれは僕が山登りをする人間なのでそう思うだけかもしれない。

売店でコーラとビールを買おうと思っていたけれどそこまで歩くのが面倒だったのですぐに国見峠へ降りて行った。

国見峠から他のハイカーは皆、湯の丸温泉の方へ降って行く。
御在所岳の魅力の一つが奇岩がそそり立つ山腹の景観にあるらしけれど残念ながら縦走路からそれは見ることが出来なかった。
ちょっと心惜しい気持で上水晶谷へ降って行く。


ここまで立派な三角点て他にある?。


国見峠からはまた一人旅だと思っていたけれど・・・

涸れた沢を歩いて行き、やがて水が出てくると沢の横を歩く道になる。
登山道はあまり踏まれてなくて分かりづらい道だった。
途中で道が消えてしまった。山の急斜面を登ったりして道を捜したけれど見つからない。
よく見ると沢の両岸に小さなケルンが沢山積まれていた。何てことはない、沢を渡るのだ。

上水晶谷の分岐で進む道が分からずに戸惑っていた。
そしたら後ろから来た男性が杉峠の途中まで道案内してくれた。
地図では十字路になっているけれど実際は沢を挟む二つの丁字路になっていた。
沢に紅葉を見に来たと言う男性の後姿を見送るとザックの下でザイルで編んだワラジが揺れていた。

上水晶谷から杉峠へ緩やかに登って行く。
すれ違う登山者の数が意外と多く(もちろん御在所岳ほどではない)
話を聞いてみると雨乞岳は人気の山でそこへ続く沢沿いの道も親しまれているとの事だった。


国見峠→上水晶谷→鉱山跡までは美しい沢と紅葉の連続。 歩いている人が意外と多い。

杉峠まであと40分の所で登山道は沢と離れた。
ここが最後の水場だと思ってここから水を持って行くことにした。
両手に容器を持って沢に入ったら濡れた岩に足を滑らせて転倒、ズボンがびっしょりと濡れてしまった。

水を入れたポリタンをザックにしまい歩き出して10分ほどすると腕がヒリヒリと痛み出した。
転倒した時は気がつかなかったけど腕に10cmほどの擦過傷があって血がにじんでいる。
あっと思ってズボンのスソをめくり上げるとスネからも出血していた。

かなり凹んで歩くこと20分、鉱山跡へ着いた。
鉱山跡と言ってもアチコチにボコボコと穴が空いている訳ではなく、建物の土台だったらしい石垣が残っているだけだ。

鉱山跡の中に広い場所があって北風も避けられそうなのでそこにテントを張ることにした。
テントを張った場所からわずか20mほど近くには沢があり、負傷しながらここまで水を運んで来たことが無駄になった事にへこんでしまった。

ザックからテントを取り出してみると(2気室の下側に入れている)なぜか濡れている?
よく見るとザックに水染みの跡がある。
慌ててザックを開けて見るとポリタン2Lの水が半分に減っている。
何もかもビショビショに濡れていた。

シュラフ、マット、合羽は近くの木の枝に引っ掛けて乾かした。
ヒートテックの上下、フリースの上下は濡れたまま着込んだ(濡れた衣服を一番早く乾かす方法は着ることだ)。


鉱山跡の広いテント場。すぐそばに石の釜戸があって焚き火が出来そうだ。濡れた装備を乾かす。

テントマットも濡れていたけれどそのままテントの中に敷いた。
とにかく座る場所だけは欲しかった。

次はキズの手当てだ。
傷薬は絆創膏だけしか持って来ていないので緊急処置として傷口にウイスキーを塗った。
傷の消毒に使ったウイスキーが勿体無いと思った。アル中だなと思った。
傷口に触れる濡れたヒートテックが不快だった。

テントの中で横になってふと外を見ると前室のフライシートの外に虫がへばり付いている。
虫にデコピンだぁー!と思いっきり指先で弾くと ・・・ フライシートが裂けてしまった。

もうテンション ・・・ ダダ下がり!

一時間ほどマグロをしていると衣服の濡れが気にならなくなった。

ホットウイスキーが冷えた体に染み込んで行く。

今日は日本シリーズは休みなのでラジオのチューニングをNHKに合わせた。
大助・花子の漫才をやっていた。楽しそうな会場の笑い声が聞こえる。

深くシュラフにもぐりこんだ。 遠くで唸るような風の音がしていた。

鈴鹿セブンマウンテンをゆく4 編へ 続く
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