高尾山、陣馬山

行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他)

◆ 11月15日
高尾山口駅 (6:20) --- (1号路) ---金比羅台 (6:45/6:50) --- 薬王院 (7:25/7:35) --- 高尾山 (7:50/8:05) --- 紅葉台 (8:10) --- 一丁平 (8:30/8:35) --- 城山 (8:55/9:20) --- 小仏峠 (9:35/9:40) --- 景信山 (10:05/10:15) --- 明王峠 (11:05/11:15) --- 陣馬山 (11:45/12:40) --- (栃谷) --- 落合 (13:50) --- 藤野駅 (14:20)

山日記

近い人ほど遅刻する。 遠い人ほど早く来る。

これ遅刻の法則らしい ・・・ラジオCMで言ってた。

この法則って山登りにも当てはまるのかもしれない。
高尾山に行く時って決まって寝坊してしまう。

だけど今日は頑張って起きるのだ。
今は高尾山の紅葉シーズン。混雑が苦手な僕は観光客が多くなる前に高尾山を通過したかった。


高尾山口駅を降りるとまだ薄暗かった。
ザックを背負った登山者の姿がチラホラ ・・・意外と観光客の姿も多い。

ネットの紅葉情報では「むふっ、静寂な寺院と色鮮やかな紅葉のコントラストは見なきゃ損んっ!」
と言う事なので今回は薬王院の表参道である一号路を歩くことにした。

歩く石畳にはまだ朝日が届かず薄暗くてひんやりしている。

特にゆっくり登っているわけでは無いのに後ろからどんどん追い越されてしまう。
スムーズに追い越せられるように後ろに人の気配を感じるとわざと歩く速度を遅くした。
何もこんな所で気を使わなくても・・・と自分でも思うけれど気になってしまうのだ。


太陽は昇ったはずなのに高尾山ケーブカー駅もまだひっそりしていた。 一号線は右側の道を登って行く。

途中のカーブに「六根清浄」と書かれたの石塔が立っていて「眼、耳、鼻、舌、身」と書かれた石車が回るようになっていた。

前に来た時には無かったので最近設置された物らしい。
マニ車みたいにこの石車を回すとご利益とかありそうだ。
とりあえず石車を一回転だけさせた。


僕の前後には数人が歩いていたのに金比羅台へ来たのは僕一人だけだった。

寺院の東側は開けていて展望が良く、目覚めたばかりの都心の街に空から筋状の光が降り注いでいるのが見えた。


空の奥の方からしまい忘れたような光が届く。 金比羅台には誰もいない、都心の朝の風景を独り占め。


スカイツリーもまだ朝日の中。 デジカメの画面に光が当たってよく見えない、撮れていて良かった!

「山満気霊」 浄心門が見えた。

僕の前を歩いている4人の登山者はキッチリと一礼して次々と門をくぐって行く。
他の登山者の信仰心の厚さに感心させられてしまう。
素通りしようとしていた自分の品格を見透かされるようで恥ずかしい。

まだ朝の7時だよ。
前方から学生らしい男達が20人、その後からジャージ姿の男性や女性。
もう高尾山から降りて来ている人がいるのだ。
地元の人なのだろうか? 一体何時から登ったのだろう?

もう山は動き出しているのだ。


朝の木漏れ日が優しい参道は静けさの中。 厳粛な気持になって歩いて行く。

一号路を歩いたのは9年半ぶり。さすがに高尾山も変わっていた。

「六根清浄」の石塔も道の随所に立っている。タコ杉の根元には保護策が付けられている。
以前はビアマウントのラウンジの文字は「ウ」が取れて「ウンジ」だけだったけれどしっかり修復されていた。
「ウンジ」ってウンチの複数形みたいで僕は気に入っていた。 がっかりした。

雅だな!

薬王院の建造物は金色や赤色、色鮮やかな絵模様で飾られで実に優雅なのだ。
彫刻の動物たちは今にも動き出しそうでその鼓動さえ聞こえて来そうだ。


薬王院本社の鳥居も紅葉で彩られていた。 丹念に拝礼していた登山者の姿が何だろう心に染みる。

高尾山頂は澄んだ青空の下にあった。

薬王院の荘厳さも良いけどやっぱ高尾山頂は安閑でいて欲しい。
のんびりと弁当を広げる場所であって欲しい。
心を連れ出す場所であって欲しい。

高尾山の魅力って何だろう?
富士山とスカイツリーの両方を見れる山ってここだけではないだろうか。
(丹沢大山や明神ヶ岳(箱根)からもギリギリ見えるかも)
都心から近いので疲れた気持をそのまま持ち込める山でもある。
ヒーリング効果抜群の山だな!

ただ逆にアスファルトの延長上にある山って感じはどうしても否めない。

山頂のビジターセンターは工事中だった。
高尾山はこの先も良くも悪くも変わって行くのだろう。


高尾山頂も紅葉、眺望の良い石塀は多くの人でにぎわっているのになぜかここだけぽっかりと人が居ない。


高尾山頂から富士山を望む。 周りに人が居なくなるまで待っての撮影は気疲れしました。

モミジ台から先、さすがに観光客の姿は少なかった。

裏高尾山は登山者のテリトリーだ。
紅葉を眺め、富士山を眺め、多くの登山者が休憩中だ。

「今日は良い天気ですね!」
年配の男性と高尾山の話をする → 雪山の話に発展した
→ 長い話になりそうだ → 自慢話になりそうだ →→→ 逃げる!


もみじ台からも富士山の眺望は良い。 来月23日、ダイヤモンド富士の日にはここにズラリと三脚が並ぶのだ。

一丁平ってこんな所だったっけ?

トイレが新設されていた。水道もある。展望台がある。休憩所もある。

だけど好きだった楓の巨木が無くなっていた。


最初は忘れているのだと思った一丁平の風景。 どうする! 4年半の間にかなり変わっていた。

これって必要?
新たに設置された木道って言うか廊下みたい木の階段を登って行くと城山の茶店が見えた。

煙突から薄っすらと煙が昇っている。
茶店で女性二人が忙しそうに動き回っている。

テーブル多すぎだろっ!
山頂には売店をぐるりと取り囲むようなテーブルの数。
桜満開の時期に来てもテーブルが1/3以上埋まっていたこと見たことないけれど。

ただこの雑然と悠然が同居したような雰囲気は嫌いではない。
この茶店は都心から近いのに未だに昭和の匂いがする。
最近の山小屋は次々と新しくなっていくけれど未だ古き懐かしい雰囲気を残している小屋の一つなのだ。

都心の町並みを眺めながらの早い昼食。

今朝、コンビニに買った弁当のご飯は寒さでガチガチになっていた。
隣のテーブルの男性はガスストーブでお湯を沸かしている。
もうこの気温になるとご飯の弁当はダメだなと思う。
400円の唐揚げ弁当も100円のカップメンには勝てやしない。


城山の山頂の茶店の周りはテーブルが一杯。 店の反対側も同じくテーブルが一杯。 だけど嫌いではない。


小仏城山(富士見茶屋)からの富士山、下には相模湖。 景色は良いけどあまり登っていないことを実感させられる。

小仏峠からはこのコース一番の急登になる。
だけどそれも直ぐに終わり、右の方に都心の風景を眺めながらのんびりと歩くようになる。

この辺りからトレランのコースを表す標示が多くなった。近々大会が開催されるみたいだ。


人を待っているのか、それとも星を待っているのか? 永遠の流れの中で小仏峠の狸が太陽に照らされている。


小仏峠を過ぎると都心を眺めながらのそぞろ歩き。 山の鮮やかな紅葉と都心の冷たい群青が対照的だ。

高尾山から陣馬山の間で一番展望が良いと思うのはここ景信山だ。

山の東側は遮る物が何も無いので八王子、東京都心、横浜が一望出来るのだ。

ここでテントを張ったら夜景がスゲェーだろうなと企んでしまう。


景信山頂もテーブルが多いのだ。 世界一登山者が多い山だからこうなってしまうのか?だから嫌いじゃないって!


黄色い紅葉の向こう側に関東平野が広がっていた。 何気ない景色の出会いには足を止めずにはいられない。

景信山の先はひたすら森の中を歩くようになる。

登山道をはさんで右に檜の植林、左に天然林と眺望は無く、太陽の光も届きにくい暗い道をが続く。

途中で尾根道と巻き道と分かれている箇所が五箇所ある。
以前はキッチリと尾根道を歩いたけれど眺望の良いピークは一箇所も無かったので今回は全て巻き道を歩くことにした。

底沢峠、明王峠、峠を通過する度に登山者が増えていく。
陣馬山に近づくにつれて登山者の数が増えていく。


陣馬山が近づくと登山者が増えた。 そしてクレヨン画のような紅葉の木々も増えた。

満員御礼の垂れ幕がどこかに下がっているのでは?

陣馬山頂はいつにも増してにぎやかだった。

人の数もすごいけれど、何だか今日は話し声の大きさに圧倒される。
やっぱりこんな小春日和の中では山登りの楽しさ倍増だからね。

良いなぁ ・・・山ガールが多い!

高尾山は世界一登山者が多い山らしいのけれど、同時に登山者の平均年齢が一番低い山なのでは?と思う。

この前、笠取山に登った時に山ガールから写真撮影を頼まれた。
だけどスマホのシャッターがどこか分からずに恥を掻いたので今日は山ガールのそばに行かない様に気をつける。

生藤山は紅葉と言うよりすでに茶色に枯れ始めている。
奥多摩や丹沢の山々をその位置を確かめるように眺めた。
方位盤では日光の山も見えるらしいけれど今日は霞んで見えなかった。

とりあえず座りたいと思ったけれど山頂のテーブルに空席は無かったので山頂下の芝生に降りてみた。


いい加減な記憶! 陣馬山の白馬はこんなに小さかったっけ? だけど青空の下の紅葉はやっぱり素敵なシーン!


紅葉は終わったのか? 黙りこむような生藤山。 音も無く忍び足で冬の予感を秘めている感じだ。

「テント禁止」 芝生に小さな標示板が刺さっていた。

僕が陣馬山でテントを張った4年半前にはこの禁止板は無かった。
その時にテントを張った休憩所に行って見ると建屋にも「テント禁止」の文字がある。

4年半前、ネットで調べると白馬がある山頂はテント禁止だけれど山頂下の芝生はテントOKの情報を見つけた。
当時「陣馬山 テント」でネット検索するとヒット件数はすごく少なかったのでここでテントを張る人はほとんど居ないような感じだったけれど、こうして禁止されているところを見るとここで幕営する人が多くなったのだろうか?

いずれにしろ、ここでテントを張ってはいけなかったのだ!


季節のページをめくるような小さな旅もこれで終わりだ。

予定では和田まで降りてバスに乗ろうと思ったけれどまだ太陽は高い。
おーしっ! もっと歩きたい気分だったので藤沢駅まで歩くことにした。

栃谷尾根を数歩降りただけでもう陣馬山頂の喧騒が夢から覚めたみたいにすーっと消えた。

あーっ、気持ちが自分に戻って来た感じがする。

静かな登山道は心に鮮やかな影をさした。 気持ちをほっこりさせる雰囲気に満ちていた。

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