高尾山、城山、大洞山、草戸山 (南高尾山稜)

行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他)

◆ 2016年4月16日
高尾山口駅 (6:30) --- 稲荷山 (7:15/7:20) --- 高尾山 (7:55/8:05) --- 一丁平 (8:50/9:10) --- 城山 (9:30/9:45) --- 大垂水峠 (10:25) --- 大洞山 (10:50/11:00) --- 中沢山 (11:15/11:20) --- 三沢峠 (12:05/12:10) --- 草戸山 (12:35/12:40) --- 城山湖 (13:10/13:15) --- 草戸山 (13:35) --- 高尾山口駅 (14:15)

山日記

ネットの情報によると高尾山口駅は改装されたらしいけれど前の記憶が全く無いのでその変化は分からなかった。
ただ新しく出来た高尾山温泉は駅の近く見つけることが出来た。
山頂ビジターセンターのリニューアルといい、高尾山って良くも悪くも変化の早い山だと思う。

鳥の鳴き声に誘われるように稲荷山コースを登って行く。

僕の悪い癖 ・・・
山登りが好きなはずなのに山登りの前夜とか当日朝とか、山に向かわない理由を探している自分がいる。

この稲荷山コースも以前から一度は歩きたいと計画を立てるが出かけようとすると僕の悪い癖が出てしまって、体調がいまいち、天気が崩れそう、見たいテレビがある、・・・など何か行かない理由を見つけて歩くチャンスが無かった。

それに ・・・
「いつでも登れる山」は誘惑がいっぱいだ。
この日も布団の中でグズグズしてしまって結局、朝一の電車に間に合わなかった。

登山口から10分ほどで登って行くと小さな稲荷神社があった。
(この神社がこのコースの唯一の神社なのだ)
丁度、登ったばかりの太陽の光が木漏れ日となって小さな境内を照らしていた。
やっぱり山は良いな!と思う。山の朝の空気に触れる度にジンワリとそう思う。


10分ほど登ると小さな稲荷神社があった。


稲荷山コースは一番自然が残るコースらしいけど。

樹木の根っこが波のように地面を覆っていた。
地図によると稲荷山コースは「本格的な尾根歩き」とされているけれど道はよく整備されていて歩き易かった。

鳥の声に混じって圏央道高尾山ICの騒音が大きい。
視界は完全な森の中なのに聞こえるのはエンジン音という違和感を感じながら歩いて行く。

一人歩きの山旅は自分の心と向き合いながら歩く旅、自分探しの旅。
・・・ 何てことは無い,少なくとも僕にそんな神妙な気持ちは無い。
「帰りに武蔵小杉の「いなみ」でラーメンを食って帰ろうか?」
「赤い霊柩車の神田正輝と片平なぎさってまだ結婚しないのか?」
「山菜って時間とガソリン代を使ってまで採りに行くほど旨いか?」
などくだらないことを考えながら歩いて行く。

高尾山の良い点は登山道からの眺望が良いこと、それに何と言っても自宅からの近さにある。
どんなにのんびり歩いても夕方までに自宅に帰れる気楽さは嬉しい。

それで自然と歩くのが遅くなってしまうけれど、この日は登りだしてからずっと追い越されっぱなしだった。
歩くのが遅いのか?と地図のコースタイムを確認してもそんなことはなかった。
他の人が歩くのが早いのだ。(高尾山頂までに10人以上の人に追い越される始末だ)


稲荷山頂(展望台)からは都心の眺望が良い。ただ逆光で白く霞んで見えた。

途中で気が変わった。
計画では高尾山から陣馬山まで縦走しようと思っていたけれど、道の左側、木々の向こうに見える山を見ていたら急にそこを歩いてみたくなった。

地図を出して登山道を確認して見ると高尾山→城山→大垂水峠→大洞山→草戸峠と歩き高尾山口駅まで戻れる道があった。
計画変更だ。ソロは気楽だ。近くの山は気楽だ。

急斜面の長い階段を登って行く。
ここまでに富士山が見える場所は全く無かったからはたして晴れているのか?富士山は見えるのか?ワクワク、ドキドキする。

見えた!
高尾山山頂から今日も富士山が見えた。
まだ山頂はしっかりと雪を残す春の富士山。やっぱり富士山の存在感はデカイなぁ。

あ゛ぁーっ!
だけど桜は遅かった!
予想はしていたけれど山頂の桜は葉桜状態で薄紅色の花ビラは木よりも地面の方が多かった。


今日も富士山が見えてよかった。まだまだ雪が多い春の富士山の姿。


桜は ・・・ ほとんど散っていた。花見をやるのなら地面を見ながらになってしまう。


どうにか残っていてくれた。手を伸ばせばそこにある止まった時間。


やられたぁー!富士山の左は丹沢の大室山、右下の観覧車はさがみ湖リゾートプレジャーフォレスト。

富士山の写真を撮っていたらさっき山頂下にいた猫が寄って来て僕の足の周りを8の字に周り始めた。

カワイイな!とは思うけれど写真は撮らない!撮ってたまるか!
最近、ヤマレコを見ると猫の画像がアップされているレポが目に付いてもうこれは山レポなのか?猫カフェなのか?分からないのだ。
せめて僕ぐらいは山の猫は撮らなくても良いだろう。

高尾山頂からモミジ平へ降りて行くと急にハイカーの数が少なくなった。
道のアッチコッチに注意を促すように「この先は奥高尾」の標示がある。
この辺りも桜は少し残っている程度で散ってしまっていた。
ただ富士山の眺めは良いのでのんびりと歩いて行く。


もみじ平も少しだけ桜が残っていた。


桜が終わった後はツツジの紫が色鮮やかだった。


気になる存在のマムシ草。


高尾山には色んな種類のスミレが咲いている。

一丁平への道は右が巻道、左が尾根道と二つに分かれている。
鮮やかな紫色のツツジに誘われて巻道を歩くことにした。

これも桜なのだろうか?白い花の桜が目立つようになって来た。
並行する尾根道を見上げるとアッチの方が桜の木が多そうに見える。
尾根道を歩いた方が良かったのかもしれないと思うけれど引き返す気力は無い。


一丁平の展望デッキからは西丹沢の山々、富士山が一望出来る。

一丁平はトイレもあり休憩するには良い場所だ。
日当たりの良いベンチを選んで少し早いけれどここで昼食にした。

もう記憶が曖昧なのだけど、一丁平にはカエデの巨木がいくつもあってこの時期だと新緑の葉が風にザワザワと音を立てて揺り動いている印象がある。
だけどこうして見るとカエデの木は少ない。どこか別の場所と勘違いしているのだろうか?


残っている桜を見つけるとカメラを向けてしまう。先週来ていたら満開の桜が待っていたのだろう。

湿原じゃないんだから何もここまで整備することもないだろう?と思いながら廊下のような木道を歩いて行く。

城山は鮮やか花々に覆われていた。
花が好きな人はその数の多さに全部を撮りきれないのでは?と思うほどの花の種類だ。

ここで周りの景色を眺めながら大休止する。
僕の印象ではここからは下りながら高尾山口駅まで戻るという感覚なのでこの城山が今日の目的地になる。

山頂のにある城山茶屋からは白い湯気が盛んに立ち上っていた。
ここに来る度に遠く都心の景色を眺めながら茶屋で何か温かい物でも食べようと思うけれど、その極上の至福はもっと僕がジジイになった時のために取って置きたいと思う。


城山山頂に着きました。ここはまだ桜が残っています。花が多くて色鮮やかな山頂。


城山山頂の天狗像。真正面から撮って見ました。誰かに似ている気がする。


少し残っていた桜と富士山 ・・・ 一週間前に来ていたらと思うと残念。

城山から大垂水峠までは静かな山道が続いた。
登山道は沢沿いの道で展望も無く、行き交うハイカーの数もずっと少なくなった。

僕はあまり花には興味が無いけれど今回はマクロ撮影の練習のため草花を撮影しながら下って行く。
マニュアル撮影では風に花が揺れるので上手く撮れなかった。(カメラが三脚ではなく手持ちのせ
いもあり)途中からは全てAFで撮影した。

やっぱデジカメは良いなぁ。
フィルムと違って何枚撮ってもコストは同じ。
撮った画像をその場で見れる。
これで練習しなきゃどうする!

ただ撮影途中にいきなり画面に水平器やRGBグラフとか標示されてしまって、うざったいので消したいけれどその方法が分からずにイライラした。


今回はマクロ撮影の練習も目的。コンデジはボケにくい。白とびしている。もっと練習しなくては。

大垂水峠で甲州街道を横切り、南高尾山稜と言われる登山道へと登って行く。

こんなマイナーなルートを歩いている人なんていないだろう!
と思ったら大間違い。高尾山ほど多くは無いけれど後ろから来る人にドンドンと追い越されてしまう。


大垂水峠の陸橋を渡って南高尾山稜へ向かう。甲州街道は新緑のトンネルになっていた。またここから始まる。

大洞山頂にはテーブルが二つあってそんなに広くは無かった。
木々の間から富士山と津久井湖が少し見える程度の展望だった。

「ブシューッ!」コーラのペットボトルを開けると気圧のせいなのか、意外と大きな音がした。
そうしたら隣のベンチで休んでいたおかあさんが「ワワワッ!」と驚いた声を上げた。
何もそこまで驚かなくても・・・ガス缶の爆発、凄まじいオナラ、とでも思ったのだろうか?

眺望の無い狭いコンピラ山頂はその山頂を示す標示が無かったら分からずに通り過ぎてしまうようなピークだった。
狭い山頂いっぱいにテーブルがあり、テーブルに横にはザックを引っ掛ける棚があった。


大洞山頂から富士山と相模湖が木々の間に見える。


コンピラ山は狭い山頂いっぱいにテーブルがある。

それにしてもこの登山道、巻道がやたら多くない?
巻道の標示がある度に念のため地図を出して道を確認するのが面倒だった。
それにその巻道も小さくショートカットに過ぎず、尾根道を歩こうが巻道を歩こうが大してカロリーの消費に変わりはなさそうなのだ。

それにベンチが多いのも特徴的だ。いろんな癒し系のネーミングのベンチがあるけれどどこも展望は無いのであまり休みたくならなかった。

ふと、あることに気がついた。
ハイカーはジサマばかりなのだ。
若い人はおろか、中年と言われるような人も全くいなかった。
もしかしたらそれはこの登山道に巻道やベンチが多いことに関係しているのかもしれない。


中沢山には聖観音菩薩像。山頂からの展望は無い。


泰光寺山の山頂に寺は無かった?!

「三井水源の森」の標示がやたらあって紛らわしいなと思いながら歩いていると中沢山の先に津久井湖の眺望が良い場所があった。
ベンチで休んでいる二人のジサマと話してみると地元の人で天気が良い日はこのコースを頻繁に歩いているとのこと、そのためこの歳になっても大した病気もせずに元気なのだそうだ。
ただチ○コはヤッパリ元気がないとウシャウシャ笑っていた。

ああぁっ、どーでも良いや!
何でここで下ネタを入れてくるのか? あ゛ーっ、この素晴らしい眺望が・・・・
ジサマのチ○コが元気か否か!僕にはむろん興味が無いのでその話はスルーした。


中沢山の先に開けた場所があって津久井湖の眺望が良かった。石老山の向こうに白い富士山が小さく見える。

三沢峠は車道が近いからだろう、急に観光客の姿が増えた。

草戸山頂は山と言うより小高い場所にある休憩所と言った趣だ。
ジーンズ姿の人やジョギング(トレランではなく)の人もいて公園の散策路といった感じだった。

山頂の松平休憩所から見下ろすと城山湖は湖岸をグルリとコンクリートに覆われた湖だった。
時間に余裕があるので湖畔まで降って見ることにした。

降り出して5分で後悔だ。
道は急な100段以上の階段が続き、再びここを登って来ることを考えると気が重くなった。


三沢峠は分岐している道が多い。


草戸山頂にある松見平休憩所。多くの人が休憩中だ。


写真が前後してます。ふれあい休憩所から見る城山湖。もう随分下まで下って来たんだな!


松見平休憩所から見る都心は新緑の向こうにあって春の夢みたいにどことなくすがすがしい。

城山湖は静かな湖だった。
地下発電するために津久井湖の水を吸い上げるのを目的に造られた人造湖らしい。
湖畔の道も整備されているのでぶらりと散歩するだけでも気持ちが良さそうだ。

草戸山から草戸峠へと降って行く。
途中で斉藤清六に似ているジサマを先頭にした6人のジサマパーティーとすれ違った。
6人全員がTシャツに短パンという完全に体育会系の姿だ。
それにもう顔が真剣なのだ。微塵も笑ってないのだ。山と闘っている感じなのだ。
こんな闘うジサマも高尾山にはいるのだ。

チクショーッ!と思う。何だか意味不明の小さな感動が沸々と伝わってくる。
斉藤清六も笑っていないのだ。村の時間もここにはないのだ。


城山湖から見る草戸山、低いなぁー。


城山湖は人造湖なので遊歩道も整備されている。

気持ち的には草戸山で今回の山行は終了した感がある。
だからそこから高尾山口駅までの上り下りの連続には疲れた。
登山道は尾根道だけど展望は全く無いのでいたずらに疲労しているだけに感じてしまう。

これだったら草戸峠から梅ノ木平へ降りて甲州街道を歩いた方が良かったのでは?という気がした。(歩いていないのでどっちが良いかは分からないけれど)

四辻から尾根道を外れ高尾山口駅へ降りて行くとそこには沢山の人、人、人。
今朝、ここを歩き出した時はまだ人は少なかったのでその激増には驚いた。

登山装備ではない若い人の姿も多くてもうここでは山の匂いはしなかった。
ここまで歩いて来た南高尾山稜と比べるとハイカーの雰囲気も年齢もがまるで違っている。

高尾山!今回はこれで ・・・ ばいなら!


何度登っても雪山の良さが分からず ・・・
雪山用登山靴、スノーシュー、ピッケル、を捨てた。

冬の間は雪を避けるように低山へ向かった。
しかし勝負はこれからだ!
これから夏に向けてドンドンと標高をあげて行くのだ!

人波を縫って進みながらもう次の山へと想いは向かっていた。


すれ違いも終わり、山の色が柔らかくなった。
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