高尾山、陣馬山

行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他)

◆ 2020年11月18日
高尾山口駅 (8:30) --- 高尾山 (10:00) --- モミジ台 (10:30)
--- 一丁平(10:50) --- 城山 (11:20/11:40) --- 小仏峠 (12:00)
--- 影信山 (12:30/12:40) --- 明王峠 (13:40) --- 陣馬山 (14:15/14:50) --- 和田 (15:30)
山日記

高尾山はいつ来ても混雑している山だけど今日は平日だし、それにコロナ禍で外出する人も少ないのでは・・・と思っていつもより遅い時間に自宅を出た。

高尾山口駅へ到着した電車はガラガラだったので「やっぱり今日は登山者は少ないな!」と思いつつ駅の改札を出てびっくり。
改札の前には待ち合わせをしていると思われる人でごった返していた。

「ケーブルカーに乗りまぁーす!」乗り場へ急ぐ団体客を尻目に追い立てるられるように登山道へ向かった。

高尾山は観光客と登山者が入り混じって登るのが当たり前の山でこうして6号路を登っていても4割位は観光客と思われる人だ。
絶えず自分の前後には歩いている人の姿があって、後ろに人の気配を感じると道を譲ることを繰り返さなければならないのには結構気をつかってしまう。
それにしても思ったよりも人が多い。平日、それもコロナ禍の中でこの人だ。もう高尾山は以前の賑わいを完全に取り戻したように思える。

今日は見たことが無い吊り橋を見たくて6号→2号→4号路と繋いで山頂へ向かう計画を立てた。
だけど2号路への分岐がどこか分からなくて素通りしてしまった。
もう何度も高尾山には登っているので地図を見なくても大丈夫だという油断と分岐にはしっかりとした表示があるだろうという思い込みがその原因だ。

分岐を通り越してしまったことに気が付いたのはかなり登ってからだったので引き返すのが面倒になり吊り橋を見るのは今回は諦めて先に進んむことにした。

以前来た時には確か「飛び石」が水が流れている道にあったんだけど・・・と思いながら登っていると3号路との合流地点に着いてしまった。
休憩している人達の中に「本日は混雑回避のため6号路は登り専用です」という注意書きを見つけたけどこれは3密を避けるのが目的だろうか。

山頂はもうすぐそこだ
多くの人に交じって舗装された道をゾロゾロと歩いて行く。


高尾山ケーブルカー駅前も綺麗に紅葉していた。平日なのにこの人の多さに驚いた。

やっぱりね。ここまでの状況でこの光景は予想できた。
本当に今日は平日なの?もう若い人から年配の人まで高尾山の山頂は数百人の人でごった返していた。
最近、コロナ禍の感染者が増え、外出自粛要請が出ているので繁華街へは行かず、逆にこうした郊外の観光地に人が集中してしまったのかもしれない。

山頂には赤や黄に紅葉した木々も多いけれど行きかう人の流れの中では紅葉を鑑賞するなどという気持ちも起こらない。
山頂の標柱横では記念写真を撮る人の順番待ちの輪が出来ていた。
この中で三脚を立てての撮影はさすがに迷惑だし、なにより恥ずかしいだけなのでカメラを取り出す気さえ起こらなかった。

「どれっ、どれが富士山?。えーーっ、あれ雲じゃないのーっ?」
そばにいた「初めての女性」が落胆の声を上げる。
富士山は雲に隠れてしまっていて山頂付近が少し見えるだけだった。
都心はどうだろう?スカイツリーは見えるかな?と東に視線を向けたけれど空に雲が多く、都心の街並みも薄っすらと霞んでいる。

とりあえず石垣に座って休憩しようと思ったけれど知らない人のすぐ隣に座って休憩するのも何だか気が引けた(特にこんなコロナ禍の中では)。
山頂での撮影も休憩も諦めて先に向かうことにした。

いつもだったらモミジ台に向かって降りて行くにつれて静かさを取り戻すのだけど、テーブルでの「密」は大丈夫なのだろうか?と心配になるほどどのテーブルも山頂を溢れてしまっただろう人で満席だった。

「奥高尾」と言われる高尾山から影信山までの道は整備され過ぎてしまってつまらないと思う人もいるかもしれないけれど、自然もまだしっかりと残っていてるし上り下りも無い道は僕にとっては散歩気分でのんびりと歩きたくなるような場所で何度も訪れてしまう。
今日はハイカーの姿が多いけれど花が咲くようにポツポツと現れる紅葉を眺めながらの散策はこんな小春日和の日にはもってこいの山だと思う。


モミジ平の茶店(細田屋)も一面のモミジの紅葉。高尾山の山頂ではあまりの人の多さに写真を撮ってないなんて・・・

一丁平もまた紅葉を楽しめる場所だけどこの日は園児らしい子供たちでにぎやかだったのでのんびりと紅葉を眺めたり撮影を楽しんだりは出来なかった。

一丁平の展望デッキは富士山や丹沢が一望出来る場所なのでもしかしたら富士山が見えるようになっているのでは?と期待しつつ行ってみたけれどデッキの向こう側は真っ白けで全く何も見えなかった。
空は晴れているのに東から南側にかけては雲が多い。眺望のない展望デッキって逆に居場所に困る場所になっていたのでベンチで少し休憩すると先へ向かった。

残っていた桜の紅葉が嬉しいと思った城山山頂。
桜は綺麗に色付くのが稀で落葉するのも早いので丁度良い紅葉の時期に訪れるのは難しい。
山頂の南側には開けて場所があって相模湖の眺望が良いはずなんだけれどやっぱり霞んでしまっていて見えなかった。
茶屋の周りには所狭しとテーブルが並べられている。茶屋の南側のテーブルは太陽の日差しを受けて暖かそうだってけどどのベンチにも人が居たので寒そうな北側の空いているテーブルで昼食を摂ることにした。


城山(城山小屋)の紅葉は終わりかけ。小屋の南側のテーブルは人が多い。


小屋の北側のテーブルは人が少ない。カップめんの上にオニギリを置いて温めている図。

やっぱりこの寒い季節は温かカップ麺に限る。隣のテーブルで女性が食べているゆで卵がやけに冷たそうに見えたのでカップ麺の湯気がその女性に見えるようにフーフーと息を吹きかけながら食べた。これでうまさも満足度も倍増!

城山から影信山へ向かうと人がまた少なくなったように感じた。
たまにトレランの足音が後ろから迫ってくるのでちょっと気を使うけどもうここにはあの高尾山の喧噪は無く自分の居場所にやっとたどり着いた感じがした。


小仏峠は広いけれど日陰になって暗い。けれどいつも誰かが休憩している。

城山から1時間で着いた影信山でもカエデの紅葉に迎えられた。
紅葉した葉が目の高さほどだったので写真を撮ったけれど後で確認するとどれも「切り取りたい葉」にピントが合ってなくてガッカリした。もうちょっとカメラ撮影の練習をしなくては・・・

何の木だか分からないけれど休憩所のそばに黄色に色付いた大木があり、この時期に訪れるとキッチリと紅葉しているので僕にとっては影信山の主的存在になっている。

山頂の茶屋は閉まっていてハイカーの姿もまばらなので少し寂しい雰囲気になっていた。
地面一面に紅葉が降り積もったテーブルで夫婦(らしい)がお茶を飲んでいたけれど、それがヤマケイやビーパルに載っている写真のようで良い感じだった。
それじゃーオレも!と近くのテーブルでポーズを決めて撮ってみたけど・・・だめだな!服はダサいし、それに飲んでいるのがペットボトルというのもどうか、モデルが悪いとは思いたくないけれど古いテーブルで一人寂しそうにしてるオジサンにしか写ってなかった。


影信山の山頂休憩所近くには紅葉の大木。


紅葉の時期に訪れるとキチンと紅葉してくれている。


影信小屋の南側はひっそりと誰も居ない。紅葉の散り積もった地面に日が差して秋色の陰影を作っていた。

高尾山からここまでは高尾山→モミジ平→一丁平→城山→小仏峠→影信山と良い感じの場所が短時間で展開してきたけれどこの先、陣馬山までは眺望のない道が2時間半も続くだけで面白くないので今回はDAPを持って来た。音楽を聴きながら楽しく歩く作戦だ。
山では危険防止のためイヤホンで音楽を聴きながら歩くというのはタブーなのだけれどこの先に危険な箇所はないし外部の音が聞こえなくても特に問題は無いだろうと思った。

こんな呑気な山歩きにはアンジェロ・フェルフーヘンのフリューゲルホルンの音が合うのでは?と聞き始めたけど・・・やっぱり山登りにジャズは真面目過ぎて合わなかった。
それで先日他界してしまったヴァンヘイレンをしのんで自分で編集したベスト曲集を聴くことにした。
やっぱりこれだな、一曲目の「Where Have All The Good Times Gone!」が鳴り出した途端にロック特有のグルーブ感に包まれ、これまでも疲れも一気に吹っ飛んで足が元気を取り戻した感じだ。


明王峠にも紅葉の大木がポツリ。


陣馬山まで2時間の長い歩き。

影信山から陣馬山までの登山道は楽に歩けるようにと巻き道がいくつも通っている。
前に来た時にはそのことを知らないのでキッチリと尾根道を歩いたけど、どのピークに立っても眺望は無くてただ単に昇り降りを繰り返すだけなので疲れてしまった。

今回は疲れないように全て巻き道を歩く事にした。
陣馬山に向かって歩いていると尾根へ登る道の左側には決まって巻き道がある。ただ巻き道の表示はない箇所が多いので初めて来た人には巻き道に存在が分かりにくいかもしれない(本当はピークを避けるための巻き道ではなく林業の作業道なのかもしれない)
ついでに言うと途中にある堂所山も登っても何も見えない山なのでピークハント以外の人は特に登らなくても良い山だと思う。


小春日和のポカポカした午後の山登りも今日のゴールである陣馬山に近づいた。

影信山からずっと平坦な道を歩き続けた。
紅葉した木々の間を登って行くと山頂の白馬が澄んだ青空の下にいつもと変わらない姿で佇んでいた。
「おーっ、誰も居ない!」いつもは山頂のテーブルは多くの人で賑わっているのに今日は到着時間が遅くなったためだろうか、皆さん下山してしまった後のようだ。

「午後の山」そんな言葉がぴったりしている。
茶屋の人が小型のブルで登山道を整備している音だけが低く聞こえているだけの山頂に居るのは僕一人だけだ。
目の前の眺望は全て独り占め状態だったけれど南の空には雲があって富士山は見えないし、周りの空もうっすらと霞んでいて近くの生藤山はどうにか見えるけれどその向こう側には白い壁があるみたいに何も見えなかった。

結局この日、晴れているけど富士山は始終雲に隠れてその姿を表すことは無かった。


いつもと変わらない山頂の白馬。北条氏が山頂に砦を築いたので陣場山、それが何故か陣馬山に変わって・・・


山頂直下は多目的草原になっている。テント禁止だと知らなくて以前テントを張ったら夜中に暴走族がやって来て・・・


山頂の東側のは紅葉した木々が並んでいる。近くで写真を撮りたかったけれど植生保護のため立ち入り禁止。


手ぶらでぶらり旅。山頂には数件の茶店があるので手ぶらで来てもあったかい物が食べられる。

和田のバス停へと下山する道は登山道を挟んで自然林と植林が対峙している。
もう今回の山登りも終わりなのだ。もう少し歩きたい感じを残しながらゴールへ向かって行く。

足元の落ち葉を蹴散らしながら下って行くとわずか40分で谷間の小さな集落に出た。


和田へ降る道にはフカフカに落ち葉が積もっている。これで植林(左側)が無ければ良い感じなんだけど。

和田でバスに乗ったのは登山客ばかり5人だった。
後部席で3人がマスクもせずに大声で話しているのが気になった。
高尾山の観光客は以前の賑わいを取り戻していたようだし、皆さん、もうコロナ禍には慣れてしまったのだろうか?

この日、東京では485人の感染者が出た。
高尾山は山を歩きたくなった時にひょこっと電車に飛び乗って気楽に出かけられるそんな山。
これ以上感染が拡大して、また山が遠くなりませんように。

●山麓をゆくへ   ●ホームへ
inserted by FC2 system