鷹取山、二子山、大峰山

行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他)

◆ 2021年6月9日
追浜駅 (6:05) --- 鷹取山 (6:30/7:40) --- 神武寺 (8:00) --- 東逗子駅 (8:20)
--- 上二子山 (9:30/9:45) --- 川久保 (10:45) --- 長柄 (11:00)
=== 旧役場前 (11:15) === 大峰山 (11:35/11:45) --- 真名瀬 (12:10)
--- 一色海岸 (12:30) --- 長者ヶ崎 13:00/13:15) === 逗子駅 (13:38)
山日記

思い返してみると今回の山登りは道を間違えてばかりだったと思う。。
その原因は低山ハイキングだと軽視していて地図を持って行かなかったことだ。
まさかこんな低い山でチャレンジャーになるなんて想像すら出来なかった。

ガイドブックでは鷹取山へは追浜駅からバスで行くように書かれてあったけど地図を見ると歩いても30分で着きそうだったので歩いて行くことにした。
線路沿いに歩いて行き鷹取中付近から右に曲がれば鷹取山へ行けそうだ。

ところが追浜駅で降りてみると追浜は小高い山に囲まれ谷間にそって道があるような街で予定していた道を歩くと丘を超えなくてはいけないみたいなので少し遠回りになるけど追浜小を回る道を歩く事にした。

地図には等高線が描かれていないので素直に鷹取山へ辿り着けるか不安だった。
歩いていると住宅地のアッチコッチに小さな岩山が見え、その山の隙間に建ち並ぶ家がどこか窮屈そうに見える。

今回一つ目の道間違いは、ガイドブックでは鷹取山へは「鷹取小前の急な階段を登る」と書かれていたのに間違えて追浜小前の階段を登ってしまったことだ。
追浜小前の階段を登って行くとそこは丘の上の閑静な住宅地で山の雰囲気のかけらも無く、ガイドブックを見直して小学校名を間違ええていたことにようやく気が付いた。
でもせっかく登った階段をまた降りていくのも面倒なので鷹取山の方向へ歩いて行くと道路の先に岩山が見えた。山頂がビルみたいに平方形と変わった形なので直ぐに鷹取山だと分かった。

今度はシッカリと鷹取小前の階段を登って行くとうっそうとした樹林の中にざらざらとした灰色の岩壁が垂直にそそり立っていた。
小道に沿って歩いて行くとアッチコッチに凝灰岩の切り出された跡が残っていて、どの岩壁もキチンと垂直になっているのでどこか西洋の城壁を思わせた。
近くで見ると岩壁一面にロッククライミングの際に打ち込んだハーケンの跡があり、どれだけの数のクライマーがこの壁に張り付いたのか想像させられた。


小学校前の階段を登ると苔むした岩壁に囲まれた。小窓のような天井から早朝の陽光は入って来ない。

緑のトンネルを進んでいくと木々の中に石仏がひっそりと鎮座していた。
散歩で訪れた人が石仏に手を合わせて行く姿はどこか清々しく、山と街が背中合わせで共存している様が朝の静けさの中に深く沈んでいく。


森の中にひっそりと佇む大きな石仏は遠い東南アジアを彷彿させた(行ったことないけど)。

突然、目の前に石の回廊が現れた。
四方をグルリと垂直な岩壁に取り囲まれ、見上げるほど高い白茶色の壁の上に青空が遠く見えた。
コロッセオとかそういった石の巨大な建造物を彷彿させるこの風も音も無い無機質な空間の中で木々の緑が弾かれたように一層鮮やかだった。


森の中に突然現れた。それは垂直な岩壁はヨーロッパの城壁を思わせた。


岩壁と木々の緑との対比が織り成す造形美。ただ惜しいのはアチコチにあるハーケンの穴跡。


風も無く、音もしない空間に迷い込んでしまった。岩の先に広がる青空が不思議に見える。

トイレがある広場(鷹取山公園)からは朝の市街地が一望出来た。
小さな女の子と犬を連れた家族がその街へと降って行く。休憩所ではハーネスを着けた男女が作戦会議のようにテーブルを囲んでいる。


広場(鷹取山公園)から市街地を眺めると家々がキチンと並んでいた。


巨岩の上に展望台が見えた。手にはガイドブックが欠かせない。

広場の案内板に従って展望台へ行ってみると草原の奥に砦のように巨岩がそびえていた。
巨岩の上の展望台に登って見ると周りの景色は白く霞んで良く見えなかった。

ガイドブックには展望台から見た石仏の写真が載っていたけど今はすっかり森に覆われていて見えなくなっていた。
白く霞んだ景色の先にぼんやりとが見える森戸海岸は予想以上に遠かった。あそこまで歩くのか?歩けるのか?心配もしたけどそれより気持ちがかなり凹んだ。

鷹取山から神武寺へ降っ行くと道の途中には大小の凝灰岩が点在していて鎖が付けられた岩場もあったけど鎖を使わなくても済む場所ばかりで特に危険な箇所はなかった。


ガイドブックには展望台から見た石仏写真が載っていたけど今は木々に覆われてしまって見えない。


展望台の下にも無数のクライミング跡、ここをを通って神武寺へ向かう。

ここで今日二つ目の道間違いだ。
神武寺から東逗子駅へ行くつもりが表参道への分岐が分からず、そのまま真っ直ぐに宮ノ下まで降りてしまった。
仕方なく横須賀線沿いに歩いて東逗子駅へ向かったけど今日の最終目的地である長者ヶ崎はまだずっと先なのを思うとここで時間と体力を無駄に消費してしまっている自分に腹が立ってしまった。

東逗子駅の100mほど先に沼間小があり、校門のすぐ脇に二子山ハイキングコースの案内板があった。
小学校から住宅地を更に50mほど歩いて行くと突然山道に変わった。
もう笑うしかない、駅から登山口までその距離わずか150mほどしかないのだ。土合駅でも登山口までここまで近くないぞ。
ガイドブックの地図の印象ではハイキングコースの始めは車道歩きだと想像していたけれどそれがいきなり山道なのだ。
葉山は街から山への変化が突然すぎる。

森の中の展望のない小道を歩いて行く。たまに木々が開けるとそこには民家があったり車道が見えたりするので意外と住宅地の中を歩いているのかもしれない。

途中に展望台の案内があったので行ってみるとそこはわずか5mほどのただの小山で何も見えないのだ。しょうもない展望台を作るな!また体力と時間を無駄にしてしまった。

二子山ハイキングコースは登り降りのほとんどない平坦の道で体力を削られることはなかったけれどとにかく長い。森の散策が好きな人でもこれには飽きるだろうなと歩いていると林道に飛びだした。案内板は南郷上ノ山公園への分岐となっていた。

公園の分岐から歩く事10分、上二子山に着いた。
展望台に登ってみると先日行った大楠山が見えたけどそれ以外は白く霞んで良く見えない。
決して標高にこだわりは無いけれど上二子山の山頂は森の中のポッカリと開けた場所といった感じで達成感や感動は皆無、気持ちの置き所のない山頂だった。
展望台の横は窪地になっていてここも砲台跡らしい。大塚山でも思ったことだけどここから海まではかなり遠いので戦艦を狙うのはかなり難しいのではなかったのだろうか?

ここで昼食を・・・と思ったけれど周りにはベンチも日陰も見当たらないので展望台の下に潜って台石に腰掛けた。

山頂の先にから下二子山への道が続いている(確認はしていない)。
下二子山も阿部倉山も山頂からの展望のない地味な山らしいので今回はパスして森戸川方面へ降って行く。
しばらく下っていると森戸川に沿って歩くようになった。森戸川は小さな川だけど清流という感じではなく木々の影になっているせいもあり水は沼のように淀んでいるように見えた。


長いハイキングコースを歩いてやっと上二子山に着いた。


空全体が白く霞んで遠望は無いけど大楠山が見えた。


山頂の横にはNTTの電波塔があり、ここまで広い林道で歩き易い。

分岐を示す手書きの案内板がある箇所に来たけどここがガイドブックの地図にある「森戸川林道終点」なのだろうか?僕の林道のイメージは「舗装されていない車道」もしくは「一般車が入らない車道」なのだがここに車道らしきものは無く、行く先には変わらず細い山道が続いている。
分岐が示す地名はガイドブックには載っていないし道は細くてあまり歩かれてはいないようなのでこのまま一番はっきりしている道を進むことにしたけど「どこかで道を間違えたのでは?」と急に不安になった。

川沿いの道を進んでいるとカメラを抱えた数人の男性達が歩いてきた。これだけのハイカーが歩いているということはどうやらこの道で間違いないようだ。
人の姿を見てほっと安心して歩いていると更に10数人のハイカーとすれ違った。何故か急にハイカーが増えた。皆さん同じパーティーには見えないし、それに皆さん30センチほどの望遠レンズを付けたカメラを抱えている。どうやらこの辺りは野鳥の撮影ポイントらしい。水辺ということはカワセミだろうか?ここは葉山の小石川後楽園かもしれん?

三浦半島中央道路の高架下をくぐった。この先に「三峰沢出会いの広場」があり、そのすぐ先に畠山分岐へ向かう分岐があるはずだ。
歩いているといくつか広くなった場所はあるけどどれが「三峰沢出会いの広場」だか分からず分岐らしい箇所も見つからない。
とうとうたまらずに前から歩いて来た女性に現在位置を尋ねることにした。ビニールケースに入った国土地理院の地図を見せてもらうと(やっぱりこんな低山でもしっかりとした地図は必要だと痛感!)分岐点はとっくに通り越し、黄金橋の近くまで進んでしまっていることが分かった。
思い返すと途中に左側に登って行く分岐があったけど案内板が無かったのでそのまま素通りしてしまったけどあそこが畠山分岐へ行く道だったのかもしれない。
引き返そうかとも思ったけれどその分岐が正解なのかは分からないし、それに案内板が無い分岐に突入するのはやっぱり不安だ。
ここは安全第一!急がば回れ!ガイドブックに紹介されているルート通り川久保へ向かうことにした(最初からそうしてれば良かったのだ)。

川久保から車道を20分歩き長柄交差点に来た。
長柄から大峰山までおよそ2.5km、歩いて40分位だろうか。今日の横須賀の気温は28℃、アスファルトの照り返しに歩く気力も無く、ここは素直にバスに乗ることにした。
上二子山から川久保までの登山道はせせらぎと小鳥のさえずりだけの静かな散歩道で自然散策を楽しる場所だったと思う。それが道迷いのことで頭がいっぱいになりカメラのシャッターを押すことさえ忘れてしまった。そう、至福の時は余裕の中に生まれるのだ。


大峰山の東峰広場まで登るとやっと海が見えた。海岸では無いけれど今日初めて見る海は一番の清涼感。

旧役場前バス停で降り大峰山への細い道を登って行くと15分で東峰に着いた。
森の隙間から青い海が見えた。海岸線まで建物に埋め尽くされている箱庭のような海だ。
ギラギラとした太陽の下に広がる海の青さが渇いていた体と心に染み渡る気がした。

大峰山の標高はわずか143mしかないので登頂の達成感は皆無だけど楽で歩きやすかった。
ここまで誰にも会わなかったので山頂のベンチで休憩中の大勢のハイカーの姿を見た時には少し驚いた。「紫陽花コースを登って来たのか?待てよ今は紫陽花が満開なのでは?」紫陽花の咲き誇る姿を想像すると今回は歩くコースを間違ったかもしれないと思った。


大峰山の山頂は平日にもかかわらずどのテーブルも満席です。紫陽花を見に来たのでしょうか?


大峰山の山頂からも海が見えます。でも今回一番の楽しみだった一式海岸と長者ヶ崎海岸の造形美は見逃した。

今回の一番の目的は鷹取山でも二子山でもなく、実は大峰山から眺める一式海岸と長者ヶ崎海岸の美しい曲線の造形だ。
ところがガイドブックにはこの光景の写真が載っているだけで大峰山のどこから見えるのか書かれていない。それで木々の間に見える眺望に注意しながら山頂、西峰広場、西疎林広場と歩いて行くがどこにもその景色は無かった。
そして楽しみにしていた景色に出会うことなく海岸へ降って行くことになってしまった…ガックシ。
「あーっ、今日一番の楽しみを見落としてしまったのだ」と思ったけどさすがに引き返す元気は無い。

真名瀬からリゾートマンション建ち並ぶ海岸に沿って歩いて行った。
ガイドブックには近代美術館やしおさい公園が紹介されていたけど入る気も起こらず、葉山御用邸のお巡りさんに「ご苦労様です!」と声をかけられる僕っていったい・・・


大峰山を降りてくると真名瀬の砂浜が目の前に広がった。そこにはいろんなレジャーで楽しむ人々の姿。


真名瀬から海岸に沿って歩いて行くと右側に江ノ島が見える。

岩礁が広がる天然記念物の芝崎海岸では何か捕っている人がチラホラ。

葉山公園は外国人の姿が多くて異国情緒な海水浴場だった。
芝生の広場から見下ろすと笑う潮騒の向こうに海岸を縁取るように長者ヶ崎が海に伸びていた。
ここ景観の中でテント泊出来たら良いなと思ったけどそれは禁止だみたいだ。

長者ヶ崎は駐車場から先へは行けなかった。長者ヶ崎の先端へ行くには海岸沿いに泳ぐか小舟でしか行けないみたいだ。
ここが今回の最終地点なのだけどあまりに地味な情景に盛り上がることなく、どんなに考えても、もうやることは思い浮かばない。
火が付かないライターの蓋をパチンと閉じたようにクスぶった気持ちのまま逗子駅行きのバスに乗ることになってしまった。


一色海岸は葉山御用邸が傍にあるからそう思う?上品な雰囲気を漂わせている。


こっちの大浜海岸は葉山公園に隣接していて開放的な感じ。この日も家族連れの人で賑わっていた。

今回のハイキングは行動時間は短かったけれど長い一日だった気がする。

葉山の低山ハイキングは今回で三回目だ。
ガイドブックに紹介されていた山はほとんど登ってしまったので葉山のハイキングはこれで打ち止めだろう。

三浦半島の山は低くて登頂の達成感は皆無だけど自然に包まれた山道の歩きは身近な自然との触れ合いに感慨ひとしおだった。
押し付けることのない自然の羅列は青い背景の紙芝居みたいだった。

これで満足できなきゃ、答えの無い海風に散るしかない!!!

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