滝子山、お坊山、米沢山、笹子雁ヶ腹摺山

行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他)

◆ 2017年10月31日
笹子駅 (7:15) --- 林道登山口 (8:10) --- 滝子山 (10:10/10:25) --- 曲り沢峠 (12:20/12:25) --- 大鹿峠(12:50) --- お坊山 (13:20/13:30) --- 米沢山 (13:55/14:00) --- 笹子雁ヶ腹摺山 (14:50/15:00) --- 笹子駅 (16:20)
山日記

桜森林公園の先から右に曲がって寂ショウ尾根登山道へと入った。
しばらく歩いていくと道の右側に茶屋の廃墟があり、その廃墟の向かい側、道の左に登山道があったはずだけど・・・見当たらない。
この道は一度しか歩いたことが無いのでどうも記憶が曖昧なのだ。
仕方なく付近の藪の中をウロウロと歩き回ってみたけれどやっぱり道は見つからない。
「道に迷ったら分かる所まで戻る」が鉄則なので茶屋跡まで戻ってみると先日の台風で倒れたらしい木の下にそのかすかな踏み跡を見つけた。

薄い登山道をジグザグに登って行くと視界が開けて送電鉄塔のある場所へ出た。
鉄塔付近は何かの工事を行っている様子でミカン畑で見かけるようなモノレールまで設置されていた。
現場監督らしい人から「ご苦労様です!」と声をかけられた。いやいや、こっちは遊びだし、こんな早朝から働いている人からそう言われると面目ない感じがする。

林道を横切って尾根道を登って行く。
道の踏み跡はかなり薄いけれど尾根を外さなければ迷うような道ではない。
ただこの道、尾根伝いに登って行くので本当に直登なのだ。一気に高度を稼げるものの楽な登りではない。
息を切らせながら登って行くと寒さのせいでかき氷を食べた時みたいにこめかみがキーンと痛んだ。
今朝はこの秋一番の寒さらしく笹子駅前の温度計では7℃だった。

登るにつれて周りの木々の葉の色が緑から黄色に段々と変化していく。
木々の間から見える周りの山肌も黄色に染まっている。
ただもう残念なのは開けた場所が無いので紅葉は木々の間にチラチラと見えるばかりなのだ。
ガツンと紅葉を堪能することが出来なくてストレスが溜まってしまう。

上の方まで登ってくると岩をよじ登るような道に変わった。
ちょっとした岩登りみたいな箇所もあるけれど危険な場所はない。
ただストックを使っていたら邪魔になっただろうと思う。


寂ショウ尾根は見晴らしは良くない。滝子山の稜線が色付いているのが少し見える程度。

岩場の急斜面を登って行くと急に道がなだらかになった、浜立山への分岐だ。
地図には道は書かれていないけれどどうやら浜立山まで行けるみたいだ。
尾根を登ってくる途中で見えた浜立山の山肌も紅葉した木々で覆われていたので一瞬、行ってみようか?という気になったけれど今回はその時間がない。

分岐から滝子山への尾根道は日当たりの良いなだらかな道でのんびりとした気落ちにさせられる。
この辺りの紅葉はもう終わっていて立ち並ぶ木々はもう冬の装いだ。


滝子山の下に浜立山の眺望が良い露岩があった。

滝子山は富士山の眺望が良い人気の山なのでいつも山頂は混雑しているけれど今日は夫婦らしき男女の二人だけだった。
晴れているけれど三つ峠山の向こうにあるはずの富士山は灰色の雲に隠れて見えなかった。

大菩薩嶺の方へ視線を向けてみる。
山頂付近の木々が成長しているようでこっち方面は眺望は来る度に無くなっているような気がする。
木々の上に見る大谷ヶ丸は淡い茶色のシフォンみたいに見えるので山全体がカラマツに覆われているのかもしれない。

富士山は見えなかったけれど山頂でとりあえず記念写真を撮っておこうと思った。

ここで僕の苦手なパターンに遭遇する。
山頂は標柱が立っている付近だけが岩になっておりその岩に腰かけて夫婦が休憩中だった。こんなことにこだわるのは僕だけかもしれないけれど山頂で記念写真を撮った時、すぐ横に知らない人が写るのは嫌なのだ。
それで二人が居なくなるのをしばらく待っていたけれどどうもその夫婦は富士山の雲が取れるのを待っているらしく一向に動く気配がない。
どうせ富士山は見えないのだしここで長い時間待つのも馬鹿らしいので山頂の写真だけ撮って山頂を後にすることにした。
山頂の標柱は記念撮影の場所なのでそこは空けといて欲しいと思いながら。


三つ峠山の向こうに今日は富士山は見えなかった。標柱のすぐ左に居る人が映らないように撮った。


大菩薩嶺方面の眺望は悪くなった気がする。実際はもっと紅葉していた。

今回の一番のお目当てはカラ松の紅葉を見ることだった。

滝子山の下、防火帯の辺りはカラ松が多い場所だ。
ところが来てみるとカラ松は木の先端の方に少しだけ茶色の葉を残しているだけでほとんどは落葉していた。地面には大量のカラマツの葉が堆積していてゴッホの絵みたいになっていた。
台風が2週続けて来たせいで落葉するのが早まったのかもしれない。


滝子山下の防火帯は黄色い落葉の舞台のようだ。

曲り沢峠への分岐で悩んだ。
右の道に進んだ方がお坊山には近いけれど、地図には左の沢沿いの道は「紅葉が美しい」と書かれている。
今回の目的は紅葉を見ることなので少し遠回りになるけれどので沢沿いの「難路」と書かれた道をもう少し下まで降りることにした。

この道ってこんなに渓流が美したかったんだ!
地味ではあるけれど黄色く紅葉した木々が柔らかな彩色を造っていた。
一昨日の台風のためか沢の水量も多くあっちこっちに小さな滝が出来ていて落葉の中を流れるナメ滝の水の白さが印象的だ。

曲り沢峠への下流側の分岐でまたまた悩んでしまった。
予想以上の渓谷美だったのでこの景色を堪能しながら道証地蔵まで降りようか?それとも予定通りお坊山へ向かうか?
時間もまだ早しい、お坊山での紅葉を期待して予定通りお坊山へ向かうことにした。


こんなに良い所だった?美しい紅葉の中のナメ滝。


一昨日の台風のためか?アッチコッチに小さな滝が出来ていた。

10分ほどは急な登りだったけれど滝子山への分岐からはコンドウ丸を巻くような水平な道へ変わった。
曲り沢峠は広くなっているけれど眺望は全くなかった。
ここで小休止をしていたけれど日陰に入ると急に寒さを感じてのんびりしていられなくなった。

地図には曲り沢峠から大鹿山までは「巻き道が歩き易い」と書かれていたので巻き道を歩いたら大鹿山を素通りしてしまった。
引き返すのも面倒なので「頂上を巻いているような道がある山はきっと面白くないに違いない」と自分に言い聞かせて前へと進んだ。

大鹿峠からお坊山への登山道は分かりにくく、ただでさえ薄い踏み跡を落ち葉が覆い隠しているのでどこが道なのか分からない状態だった。
とにかく尾根を外さないように気を付けて登っていると年配の女性二人が降りて来た。挨拶を交わして振り返ってみるとこの女性たちはかなりのベテランなのか?それともこのコース歩き慣れているのか?道が分かりずらいことを全く気にする様子もなくズンズンと降って行くのだ。

10分ほど登っていると尾根を巻くようなハッキリとした道が現れてなってようやく安心することが出来た。
10人ほどのパーティーとすれ違うとその中の一人の女性から「今日初めて人にあった!」と言われた。
曲り沢峠から笹子雁ヶ腹摺山までのコースはあまり歩かれていないようだ。そういえば滝子山から離れると急に人が居なくなった。

お坊山の山頂下に棚洞山への分岐があったけれど標示とか何も無くて、ただ棚洞山へ向かう尾根に薄い踏み跡があるだけだった。ここで迷う人が居ないのだろうか。


お坊山のニセ山頂は滝子山の眺望が良かった。


一方、山頂から周りの山々は見えない。


お坊山ニセ山頂からのやっと見えた滝子山。


こっちはお坊山ニセ山頂からの大谷ヶ丸。紅葉は中腹辺りに移っていた。

登っていると眺望が良い場所に出たのでお坊山の山頂かと思ったけれどそこには山頂を現す物が何も無かった。
北東の方向だけ開けていて滝子山から大蔵高丸までは一望することが出来た。
自分では自然保護者だと思っているけれどこの中途半端は眺望を目の前にすると「山頂の木は伐採しろ!」と思ってしまう。

そこから少し歩いた先がお坊山の山頂だった。
山頂からは低い山の向こうに甲府市が少し見えたけれど眺望はそれだけだった。
ここでも「山頂の木は伐採しろ!」と思わずにはいられない。

そのうちどこかに開けた場所があるのでは?と思いながら歩いて米沢山に着いてしまった。
ここの山頂も全く眺望は無く、このコースの人気薄の理由が分かる気がした。


これじゃ人気が無いはずだ!と思った眺望の無い米沢山。

米沢山からの下りは所々に岩のある急な道だ。
付けられていた鎖は結構錆びついているのであまり頼らない様にしながら降りて行く。

20分ほど行った場所に見晴台と書かれた露岩した場所があった。
東の方の眺望が良く、お坊山、棚洞山、笹子集落、笹子雁ヶ腹摺山が見え、ここが今回の山行で一番のビューポイントだった。
時間は午後2時、少し傾いた太陽に照らされた山々の紅葉は一層鮮やかに見えた。
人気が無いコースだけど混雑した山が人一倍苦手な僕にはとって静かな紅葉は最高のプレゼントだった


米沢山を降って行くと見晴台の露岩があった。今日一番の眺望でどうにかお坊山の東峰が見えた。

何かを威嚇しているのか?鹿の鳴声がやたらとデカい。
鞍部から見る笹子雁ヶ腹摺山は意外と高く見えたけれど今日最後の登りだと思ったら気が楽だった。

そして今日最後の山、笹子雁ヶ腹摺山へ着いた。
笹子雁ヶ腹摺山は秀麗富岳12景で富士山の眺望が良い山なのだけど今日は雲に隠れて全く見えなかった。
前に来た時にこの山頂からは南アルプスや八ヶ岳も見えたけれどそれらも全く見えない。

笹子雁ヶ腹摺山の眺望には期待していただけに全然締まらないフィナーレになってしまった。
寒くなって来たし、つまらないので少し休憩するとトットと降りることにした。


笹子雁ヶ腹摺山からは富士山、南アルプスそれに八ヶ岳が見えるはずなのに。

笹子に向かって降りる登山道の左側は檜の植林帯になっていてつまらなかったけれど、右側には紅葉した広葉樹の林が広がっていた。
左側が緑色、右側が紅葉した黄色と対照的な景色になっていてそれはずっと下まで続いた。

尾根を降って行くといきなり登山道が鋭角に曲がった。
真っ直ぐ尾根伝いへの道にある枝での行き止まりの印を見落とさなかったから良かったけれど、うっかりしていたら真っ直ぐに進んで道に迷ってしまったかもしれない。

植林帯の中を降って行くと車道に出た。そこからは甲州街道を歩いて笹子駅へ向かった。
甲州街道から見る滝子山は山全体が黄色に紅葉して本当に綺麗だった。

今回の山登りで富士山は見ることが出来なかったけれど紅葉した美しい沢との出会い、それから静かな山歩きを十分堪能することが出来た。

だがしかし・・・「山頂の木は伐採しろ!」と思わずにはいられないのであった。

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