丹沢山 |
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行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩) ◆4月29日 ◆4月30日 |
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山日記 ブラインドを下ろした窓の外が茜色なっていることに気が付いた。仕事をする手を休め、ブラインドを押し広げてみるとそこには春の洛陽があった。なんだか無性に夕日を見たくなった。 大山ケーブル駅から登り始める。ほとんどが階段で歩幅を決められるので登りは結構辛い。 ここから一度ヤビツ峠に降りて再び塔ノ岳に向けて登り返さなければならない。せっかくここまで登ったのにまた降るのはポテンシャルエネルギーが何とももったいない。 富士見山荘からいよいよ登りになる。いつも登るペースはゆっくりの亀歩行だが大山に登った後で疲れているので今日はもっとゆっくり登る。そのせいか三ノ塔に到着しても意外と元気なのに自分でもびっくりした。 行者岳から新大日が最後の登りだ。ここさえ過ぎれば後は対した事はない。またまた亀歩行でゆっくりゆっくり登る。 |
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竜ヶ馬場で幕営する 鹿のチョコボール糞が多い 今回は天気が悪いので写真はこれだけ |
とりあえず山小屋の人に頂上でテントを設営して良いか尋ねようと思った。しかしここで思いとどまった。頂上には人がとても多く、ここにテントを設営すると非難されそうだ。それに頂上は段々畑みたいに整備されてしまっていて殺伐としている。「そうだこの先の竜ヶ馬場だったら眺めは良いし、木テーブルの所だったら自然に影響も少ないに違いない」ともう少し先まで行く事にした。 水を確保する為、ポリタンを持って頂上から水場まで往復する。(往復20分)これは疲れた。特に登りは結構急で足が「もういけましぇん」の愛想笑い状態になった。 足は笑ったままで竜ヶ馬場に到着。せっかくここまで来たのにガスで何も見えない。 |
翌朝、テントは深いガスで覆われていた。ラジオの天気予報では曇りと告げている。「どうせ歩いても何も見えないから下山しよう」と思ったらラジオから「今日は緑の日です…」「そうだ今日は緑の日なんだ。緑の日に野山を歩くことは日本人の勤めである?檜洞丸まで行こう!」と出発した。 丹沢山でも相変わらずガスで何も見えない。 不動ノ峰休憩所に来てみると驚いた。テントが5,6つ設営してあった。「なんだ幕営同士諸君はこんな所にいたんだ」と妙に親近感を感じる。しかし休憩所にはしっかり「丹沢ではテント禁止」と書いてある。中には高校生の山岳部が先生に引率されてやって来たらしいのもいる。本当に幕営して良いのか疑問に思う。がしかし僕も人のことを非難できる立場ではない。僕も同罪なのだから。 蛭ヶ岳、臼ヶ岳とただガスの中をひたすら歩く。残念なのは丹沢山から檜洞丸まではぶなの木などの樹林が美しいのにその姿も白いガスに覆い隠されていることだ。これも風情があって良いかもしれないがやっぱりスカッと晴れて欲しい。 金山谷乗越を歩いていると前から空身の男性が歩いて来た。多分、この付近で休憩中なのだろう。そして僕に「後ろから誰か来ていますか?」と質問してきた。僕は質問の意味が分からなかった。この男性が何を目的に質問をしているのか理解できないので返答するのにも困った。僕は単独行で直ぐ後ろには人は居ないのでとりあえず「居ません」と答えた。男性は「そうですか」と返事すると僕の横をすり抜けていった。すれ違って2,3歩あるいて何となく気になって後ろを振り向いた。 さっきの男性が登山道から少し茂みに入った所でズボンを降ろしてうんこをしていた。白いお尻が草木の緑の中に妙に生々しく浮かび上がっていた。「しょうがねえなぁ、まったく!」人に見えないようにもう少し茂みの中に入ってやってもらいたい。と思って歩いていると今度は木の陰で女性が慌ててズボンを上げている。パンツの色はピンクだ。パンツの色はこの際問題では無い。よく見るとあっちこっちで女性がキジ撃ちの真っ最中だ。ここは公衆キジ撃ち場か?まったくおかしくて大笑いしてしまった。 檜洞丸から西丹沢自然教室に降りて帰路に着く予定だったが何かスッキリしない自分がそこには居た。 |
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犬越路で食料を食べて体力の回復をしようとザックを開けてみるとチョコレートとサキイカしか残っていない。サキイカを噛んでいたら酒飲みの悲しい性か?パブロフの犬よろしくにウイスキーが無性に飲みたくなった。行動中にアルコールを摂取すると脱水症状に成り易いのでここはじっと我慢しよう。 犬越路から大室山へ最後の登りになる。既に僕の大腿四頭筋は悲鳴を上げていた。「なあ、最後の登りだからがんばってくれよ!」自分の足をなだめておだてて大室山に到着。山頂はぶなの木に視界は遮られえて展望は良くない。じめっとした暗い感じではないが曇り空なので少し肌寒い。 ザレ沢にたどり着いた。ここからは道も平坦になり楽に歩ける。沢の冷たい水でも飲んで一息つこう。川の中に手を差し入れておやっと思った。やけに虫が多い?1メートル先に視線を移した。一瞬に全身の毛が逆立つほど驚いた。そこには鹿らしい死骸がこっちをにらみつけていた。反射的に後ろに飛び退いた。気色悪い!水を飲まなくて本当に良かった。飲んでいたら鹿の悪夢に毎晩うなされてしまうだろう。 |
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今回の山行はつまらないものになってしまった。ただ歩くだけの山行は僕の求める自然探索では無くただの迷走でしかない。盲目的な雨の中でさえ五感を研ぎ澄ませば草木の芽吹き、鳥たちのさえずりに春の息吹を感じられたはずだ。 僕はおおざっぱな男だから自然の細かい変化は気付かない。小さな表情は見落としてしまう。あぁ!いつになったら山と親密な関係になれることやら。。。 それから嫌なものを二つも見てしまった。気をつけよう!動物の死骸とおじさんの白いお尻。 |
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