ヨモギ平 (丹沢) |
行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:ロープウェイ) ◆11月15日(コースタイム未記録) |
山日記 秦野からヤビツ峠までバスに乗ったのは初めてだった。 バスは超満員!ヤビツ峠に着いた時にはその圧迫感にぐったりしてしまって、やっぱり蓑毛から歩いた方が楽だったかもしれない。 駐車場奥の登山道入り口まで行って見ると門戸口までの登山道は踏み跡が微かで心細い道だったのでここを歩くのは止めて舗装道路を歩くことにした。 ヤビツ峠を降って富士見山荘へ、更に降ってヨモギ平への登山口であるBOSCOキャンプ場へ着いた。キャンプ場はヤビツ峠のずっと下のあるので何だか損した気分だ。 ヨモギ平は以前からnumataさんやsanpoさんのレポを見て気になっていた。 気になっていたけれどこのコースには踏み込めなかった・・・・ 丹沢ってただでさえ登山道が多い。これは首都圏から近い百名山の宿命なのか?それとも林業のむちゃぶりなのか?分からないけれど、塔ノ岳を中心として縦横無尽に広がるその登山道の多さは決して自然に優しいはずはない。 ただでさえ多い登山道なのにそれ以外の道を歩くことに罪悪感を感じてしまっていた。 ただ・・・ヨモギ平は一度くらいは行ってみたい場所なのである。十字架を背負っても歩いてみたいコースなのである(大げさだ!) んーん、山は色んな誘惑が多くて初志貫徹は中々難しいのである。 すんまへん、お邪魔します!そんな感じでキャンプ場へ入っていった。 キャンプ場内を歩くので受付の人に声をかけ、案内図で登山口の確認するとひっそりとしたキャンプ場の中を歩いて登山口へ向かった。 朝は晴れていたのにいつの間にか空全体に薄っすらと雲が広がった。 ここから三ノ塔までの道は地図には無い道、はたして迷わずに歩けるのだろうか?と少し不安になりながら檜の植林の中をジグザグに登って行く。 突然、目の前にりっぱな角を生やした牡鹿が飛び出して来たのでびっくりした。 茶褐色の肢体が林の中を駆け抜けて行く。遠くでキューンと鹿の声がする。見ると雌鹿の白いお尻が飛び跳ねている。そういえば今は鹿の繁殖期。ここでの僕ってとんだ邪魔者なんだな。 |
どんどん登って行く。 |
まだまだ登って行く。 |
やっとヨモギ平が見えた。 |
檜の植林帯はやがて明るいブナの尾根に続いていた。 |
ヨモギ平にはブナの木が連立していて檜洞丸に感じが似ている。 一般登山道では無いけれどテーブルが設置してあった。 |
ヨモギ平にはいくつかのベンチやテーブルがあった。 一般登山道ではないはずだけど何でこんなに整備されているのだろう?はたしてこれは良いことなのか?それともでしゃばり過ぎなのか?自然は出来るだけ元の姿のままでと思う僕には複雑な気持ちだ。 でも、せっかくあるのだからとテーブルの上に弁当を広げて早めの昼食にした。 風が吹くと空の中から忽然と無数の葉が舞い落ちてくる。 ポットのミルクティーが白い湯気をあげる。こんな小春日和の中ではあまりにももったいないシチュエーションだと思う。秦野駅のコンビニで買った牛丼と串かつ丼が一緒になった弁当も変な取り合わせだな!と思いつつ食べたら意外と旨かった。 |
木々の間から三ノ塔や塔ノ岳の主脈稜線が見える。山の中腹にこんな平らな場所があるなんて意外な感じだ。 この日、boscoキャンプ場から三ノ塔までに会った人は一人だけ、ヨモギ平は丹沢の隠れ家的な場所。 |
ヨモギ平からは紅葉した木々の尾根道を歩いて三ノ塔へ向かう。 紅葉した葉が風にかすかに揺れ、日差しが暖かくて気持ちの良い尾根歩きになった。 バカ尾根側から見ると三ノ塔山頂付近は茶色の地肌が露出し、崩落箇所が痛々しいけど、こっちから見る三ノ塔はしっかりと山頂まで豊かな木々に覆われていた。 ここを登ったら三ノ塔山頂だな!平坦な尾根の先には山頂への最後の登りが待っていた。 気持ち的には楽勝ムードなんだけど、この道、勾配はそれほど急ではないのだけど直登なのだ。 気が付いたら息はハーハー、シャツは汗ビッショリ。前方を見上げると木々の間から青い空が見えた。 |
ヨモギ平から三ノ塔まではこんな尾根道を歩いて行く。 小春日和の日差しが暖かで心地よい道。 |
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突然、視界が開けて、そこに富士山が見えた。 ヨモギ平コースの終点、そこは三ノ塔山頂の端っこ、お地蔵さんの後ろに飛び出した。 朝から晴れたり曇ったりを繰り返していたけれど、とどのつまりは快晴! 親愛なる富士山!空まで吹っ飛んでます。富士山を久しぶりに見たような気がしたけどそれは山頂が雪でみごとに白くなっていたためかもしれない。 ヨモギ平コースは地図には載っていないので不安だったけれど結局、不明瞭な箇所は無く無事に到着することが出来た。 三ノ塔山頂に立つといつも初めて山に登った時の気持ちに戻ってしまう。 あの日も今日と同じように晴れていた。山登りがしたくなって初めて登った山が丹沢だった。 そしてここ三ノ塔山頂に初めて立った時、遥か遠くに見える塔ノ岳のその遠さに愕然とさせられてしまったのだ。ここは僕にとって懐かしい場所であると同時に初心に戻れる場所なのだ。 |
ずっこーん!突然、目の前に富士山が現れた。 三ノ塔山頂の端っこ、お地蔵さんの後ろに飛び出る。 いつもの何気ない青空が嬉しい瞬間! |
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ここで眺望を楽しみながらコーラを飲み干す。 何故か今日のザックの中は飲み物ばっかり。紅茶(ポット)、コーラ、グレープフルーツジュース、バナナ豆乳・・・しめて1.7リットル。こんなに飲むわけねぇーだろっ!と思っていたけど、どの飲み物もトマトサンドとの愛称が良くていつの間にか空き瓶が増えていった。 ちょっと油断してると分厚い雲の塊が頭上を覆って体を冷やしてしまう。 もっと富士山を眺めていたいけど汗の冷たさを背中に感じると出発しなくては!と思う。 三ノ塔から塔ノ岳までは僕が丹沢で一番好きなコース。 富士山を見つつ、塔ノ岳を見つつ、駿河湾を見つつ、海の上の青空を見つつ笹原の中を歩いて行く。まだまだ先へと続く尾根の長さが青空の下では無性に嬉しい。 |
鳥尾山山頂から相模湾を遠望。平塚や小田原の市街地が銀色に輝いて見えます。 |
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烏尾山は周りの山と比べると標高が少し低い。それで見上げることも見下ろすことも無く真っ直ぐな視線の先に周りの山をぐるりと見ることが出来るので人気の山だ。 ここから塔ノ岳までは長い登りになるのでここで少し休憩する。 セルフタイマーでセルフポートレイトを撮るためシャッターを押してから全力疾走を何度も繰り返すオレ。周りのテーブルで休んでいる人から苦笑されてしまう山頂だった。 |
鳥尾山は周りの山からちょっと低くて、それゆれ山が良く見える場所でもある。そうゆっくりと見れる場所なのだ。 こうしてみると丹沢の紅葉はイマイチかもしれんね。でもチョコ色の山々は |
今日は本当にクルクル天気が変わる。 新大日のベンチで休んでいるとまた空は雲に覆われだした。ふっとした瞬間に北風の冷たさを感じてしまう。塔ノ岳はもうすぐそこなのでポットのミルクティーを飲むとすぐに歩き出した。 妖精みたい! 僕の前を歩く女性が中空を見つめた。 新大日から先の登山道上には薄水色の綿毛が無数に浮かんでいた。 もしかしてこれがケサランパサラン?! 最初は種子が風に舞っているのか思ったけれどよく見ると小さな羽虫だ。 あーっ、これって雪虫だ!この虫が舞うともうすぐ雪が降ると言われている。 懸命に飛んでいる綿毛のような虫、人はその姿に雪の輝きを見てしまうのかもしれない。 この小さな体が冬の気配を運んでくる。 |
今日一日の疲労度に対してご褒美のような富士山の姿。 僕が富士山に育てられたのか?育てたのか? そんな感じの眺望です! |
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あーっ、富士山だ! 塔ノ岳山頂に着くまでに色んな場所で見た富士山なのに、やっぱりここからの富士山が一番落ち着く感じがする。山頂へ着いた達成感、安堵感からなのかな? それにまた青空に変わったことも富士山に歓迎されているようで嬉しくなる。 とりとめのない時間の流れ、飽きることなくずっと富士山を眺めてしまう。 そんなに遅い時間ではないけれど今の季節は意外と夕暮れが早い。 西の空が薄っすらと緑色を帯びてくる。富士山の陰が西の空ににじんでいく。 どことなく薄ら寂しい時刻、山頂で富士山を眺めている誰もが自然と無口になってしまう。 今回、初めてのヨモギ平コース。それは自然の中に居る自分を意識させてくれる場所だった。 また歩きたいけど、そこには残しておきたい丹沢の姿があって・・・また悩むことになるんだろうな。 |
ふーっ、今日も一日素晴らしい日でした! |
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