立石山、可也山

行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他)
◆ 2023年5月9日
芥屋バス停 (7:48) --- 登山口 (8:05) --- 立石山 (8:50/9:10)
--- 福の浦越 (9:25) --- 天神山溜池 (9:45) --- 芥屋バス停 (9:55/10:15)
--- 小富士バス停 (10:28) --- 浄金寺 (10:40) --- 稜線出合 (11:20)
--- 可也山 (11:40) --- 可也山展望台 (11:45/11:55) --- 第一展望台 (12:15/12:20)
--- 師吉公民館バス停 (12:45/12:52) --- 筑前前原駅 (13:08)
山日記
日の光がカタパルトの様に車窓を横切るとヨットの棚引く帆のように小学生の子供たちが乗り込んできた。
海沿いの道を走ってゆくバスの中では子供たちの明るさも未来への福音のようだ。

糸島って・・・ロンブー淳がテレビで「移住したいのは糸島だぁ!」とぶっちゃける。
糸島って・・・自然が豊かで福岡空港まで地下鉄線で60分と旅番組で紹介されている。
糸島って・・・何も無いのに観光客が増えた?地元では「福岡あるある」になっている。
糸島って・・・いったいどんな所なんだろう?期待いっぱいでそんな糸島にやって来た。

終点の芥屋バス停でバスを降りた途端に眩しい光の環の中でどこか懐かしいような海の香りがした。
本当は立石山へ登る前に柱状節理の名所である芥屋の大門を見たかったけどだ今回は時間がないので泣く泣く先へ急いだ。

駐車場の案内板に従って芥屋キャンプ場へと歩いて行くと突然民家が途切れ芥屋海水浴場の浜の向こうに立石山が見えた。
白い砂浜が奏でるチャプチャプとした波の音の向こうに海面から岩壁が迫り出している。
その姿は準備前のまだ空席だった心に心地よく響いた。

これは間違いない!早くも良い山登りに成りそうな予感でウズウズした。


これほどの海抜0メートルからの山ってあるだろうか?ここでしか見られない海と山とのせめぎあい。


海岸に咲き誇るダルマギクの開花にすこし早い?それとも陽が登れば開花するのだろうか?。


こっちもだ、海水浴場の砂浜は開花を待つ薄紫色のハマヒルガオで埋め尽くされていた。

ハマヒルガオの群落を愛でながら歩いて行くとモダンな海の家の横に登山口があった。
波の音を聞きながら亜熱帯の常緑木の間を登って行く。

歩き出してすぐ分岐点があり一方は立石山への下り道?もう一方は標示無しなの登り道だ。
標示なしの方は展望台など行き止まりになる予感がするのでここは迷わず立石山への標示へ進んだ。

おーっ!海が見える!10分ほど登って行くとジャリジャリとした岩肌の道に変わり眺望が良くなった。

振り返ると青い海と新緑の山が織り成す広大な自然美の中に立っていた。
砂浜に寄せる波の音もここまでは届かずどこか別の世界を見ているみたいだ。
ゴツゴツした岩のザレ場を登って行くにつれ遠くの海が広がり、その色は更に青さを増していく。


登山口から登り始めるとそこは羊歯の生い茂る常緑広葉樹の森。


芥屋海水浴場が見えます。シーズン前なので海の家も無く閑散としています。


糸島富士と呼ばれる可也山が見えた。しかし日本に富士山多すぎ問題、糸島から富士山見えんだろ。


青空の下に広がる眺望はただ素晴らしいの一言。ただそれが「糸島ブルー」って言わるれることにはドン引きだけど。


登りだして直ぐに山頂が見えた(ただこれは山頂ではないのだけれど)。

それにしても暑い!振り返ると海が見えるので視覚的には涼しさを感じるけれど一切日陰の無い砂の登山道からの照り返しが醜い。
この山は決して真夏に来てはいけない山だ。ハイキング気分でジーンズで来てしまったことを激しく後悔させられた。

下から見上げた時、山頂だと思った大岩は山頂ではなく、まだその先に細い道が続いていてガッカリさせられたけど目の前には青空が広がっているばかりなので山頂は近そうだ。


山頂が近くなって来ると海が広がりその色も濃くなった。風の行方も見て取れそうな感じ。


登る途中で見えた大岩は山頂では無かった。岩の下に鳥居とお社がある。

平坦な登山道の先に小さな山頂があり海を見降ろすようにベンチが設置してある。
山頂は木々に囲まれていて眺望があまり良くなかったけれど姫島がぽっかりと青い海に浮かんでいるのが見えた。

木の根元に宝箱みたいな箱があり蓋を開けるとそこには通行手形の様な手作りのキーホルダーが溢れんばかりに埋蔵していた。
このキーホルダーは高祖山の山頂にあったものと同じもので集めてウインドチャイムにしたら心地よい音を響かせるかもしれない。

誰もいない山頂はことのほか静かで初夏の大海原のさざ波もキラキラした光のシボみたいだ。

小枝が風に震えることも錯覚であるように感じてしまうほど時間がのんびりと過ぎていく。


あれほど登山道からの眺望は良かったのに山頂はこんな森の中。


立石山の山頂から姫島が見えます。ぐるりと眺めると立石山は植林が見当たりません。自然豊かな糸島。


波の穏やかな福の浦漁港です。山頂から見える岸壁って良いですね。


また山頂で見つけた宝箱!


手作りキーホルダーと愛情がぎっしりです。


今朝サニーで買ったハンバーガーとコーラが今日の昼食です。ただコーラはゲップで過呼吸になりそう。

山頂からは森の小道のような道に入り、この先はただ降るだけの道が続くとばかり思っていたけど予想は見事に外れ、そこには山の裏側の景色が待っていた。
野辺崎や唐津方面の海が広がり、足元には福の浦漁港の小さな岸壁が白く光を放っている。

玄界灘に対峙するように海岸や街が音もなく眼下に広がり降るのがもったいなく思え、福の浦越の車道に着いた時にはどこか寂しさのような喪失感があった。


山頂から一旦下がって森の中を歩いて行きます。


森を抜けると山頂の反対側に出ました。唐津方面の海が見えます。


花崗岩の巨石とザラ場の地面は登りと同じだけど海が違うので新鮮な景色。


芥屋の大門も覗き込む。太陽の位置は変わらないのに戻って来た気分。


福の浦越から芥屋の大門を望む。ここから長い車道歩きが始まる。


天神山溜池越に臨む立石山だけど池の水が濁っているので鏡像はダメでした。

福の浦越からの長い車道歩きはつまらないのでDAPで山下達郎の「On The Street Corner」を聞きながら歩いた。

森の合間に広がる麦畑の穂がぎらぎらと金色に輝いている様はゴッホが描く炎の麦畑みたいでアルルと糸島が重なって見えた。


小富士バス停でバスを降りる。
地図を見ると芥屋からここまで近そうなので歩こうかとも考えたけどこうしてバスに乗ってみると意外と遠くて炎天下の中を歩かなくて良かったと思った。

登山口の標識がどこにも見当たらないので山に向かって適当な道を登って行きガイドブックに書いてある浄金寺を探して歩た。

寺の左側の道を登って行くと住宅地から梅林へ変わる場所に可也山への小さな標識があった。

暗い登山道の一面にはジメッとした枯れ葉が折り重なって滑りやすく、一部不明瞭な箇所もあった。
少なくとも今日は誰もこの登山道を登っていないらしく、やたらと蜘蛛の糸が顔や腕に絡みつくのが何とも不快なので脇に落ちている枝を振り回しながら登山道を登っていった。


小富士バス停側からの登山道は嘘みたいな急登の連続です。

可也山の標高は365mでバス停から見上げた時もそんなに高さを感じなかったのにいざ登ってみるとこれが嘘のような急斜面なのだ。
眺望の全くない湿った道をひたすら登って行くと額から汗がしたたり落ち、ジーンズを脱いでパンツ一丁になろうかともさえ思った。

支尾根に取り付き、やっと急斜面が終わったと思ったらその先がまた拷問のような急斜面、ロープにつかまりながら登って行くと頂稜(稜線出合)でやっと平坦になった。
気持ちの良い尾根歩きに一気に汗も消え、さっきまでの心臓バクバクは一体何だったのだ!


稜線出合に出ると今までの急登が嘘みたいに平坦な道になり、噴き出した汗が一気に渇いていく。

可也神社にお参りして先に進むと開けた場所にベンチがあって可布里湾が少しだけ見えた。
そのベンチの30mほど先の可也山の山頂はもしかしたら可也神社の方が標高が高いのでは?とさえ思えるほど地味で平坦な山頂だった。

すごくガッカリした!あれだけの急斜面を苦労して登って来たのにこれが山頂?これで終わり?
とりあえず可也山展望台へいってみるしかない!


可也神社でパチパチして世界平和を祈願します。


鉄塔が立つ場所のスキマから船越が見えた。


少しノンビリ。


可也山の山頂は地味過ぎてガッカリします。ここまで苦労して登って来たのに。

山頂から5分ほど歩いて行くと突然視界が開け、幣(にぎ)ノ浜の白波が目に飛び込んできた。
あまり期待していなかっただけにこのサプライズには驚いた。

山頂の温度計は21℃で風が心地良い!
展望台からはさっき登った立石山、芥屋の大門、その奥には姫島、視線を右に移すとコブ島、彦山、更に遠く福岡市街も一望出来た。

あまりにも地味は山頂にはガッカリだったけどこの展望台からの眺めは最高だった。
もう少し眺めていたかったけど4人のパーティーがやって来たのを機に引き返すことにした。


ただただ良かった可也山展望台。眺望が素晴らしい!


展望台から左の半島が船越で右がさっき登った立石山、立石山の向こうに姫島が見えます。


手前の山が火山でその左奥が彦山、右奥が二見ヶ浦。


博多市街地の景色。


薄っすらと福岡タワーが見えます。


幣の松原の沖に浮かぶコブ島。どれがコブなの?


クジラみたいな船越の拡大画像。


ここにも宝箱がありました。


高祖山と同じなのに何だか糸島らしい。

稜線出合まで戻り、下山は師吉公民館への道を進んだ。
10人以上のハイカーとすれ違うほどで登山道は良く整備され歩きやすかった。

小富士から登る道では誰ともすれ違うこともなく、きっと師吉公民館からの登山道がメインなのだろう、と言うか小富士バス停から登る人っているのだろうか?

第一展望台(第二、第三は無いけれど)から糸島の東側を眺め、日光東照宮の鳥居にも使われている花崗岩の採石場だった石切場を過ぎるとゴールは近い。


明るい登山道にブナの巨木がありました。可也山展望台から楽しい尾根歩きが続きます。


新緑が登山道に緑の影を作るとまた訪れたくなる気持ちになるのが不思議。


モノラックが並走する登山道。モノラックは何を運んだのでしょう?


第一展望台ですが第二、第三があるわけでもない、けどそんな名称ってどこにもありますね。


第一展望台から見えるのは能古島なのでしょうか?地図が無いので何とも。

立石山も可也山も低山ゆえに海と調和した素晴らしい山だった。
芥屋一帯は玄海国定公園の景勝地なので芥屋の大門を含めた周辺をぶらりと歩いたらまた新しい出会いがあったかもしれない。

今日はちょっとだけの山頂になってしまったけど、また別の頂に立つ自分を想像したくなる山だった。

師吉公民館前の田んぼに映る可也山が風に揺れている。

待ってろよ!本格的な夏が来る前にまだまだ福岡で新しい風に吹かれてみたい。


今回のゴール地点、師吉公民館と公衆トイレ。可也山みたいな低山でも登山届は出すのです。

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