槍ヶ岳、鷲羽岳、水晶岳、雲ノ平 |
行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:タクシー) ◆8月3日 立川 (0:29) +++ 穂高 (4:51/5:00) *** 中房温泉 (5:40/6:10) --- 第2ベンチ (7:05/7:10) --- 合戦小屋 (8:35/8:45) --- 燕山荘 (9:30/9:35) --- 燕岳 (10:05/10:25) --- 燕山荘 (10:50/11:00) --- 喜作分岐点 (12:50/13:00) --- ヒュッテ西岳 (15:50) (テント泊) ◆8月4日 ヒュッテ西岳 (5:00) --- 大槍ヒュッテ (7:45/8:00) --- 槍ヶ岳 (8:50/10:00) --- 千丈沢乗越 (10:50/11:00) --- 樅沢岳 (13:00) --- 双六小屋 (13:30/14:00) --- (巻き道) --- 三俣キャンプ地 (16:15) (テント泊) ◆8月5日 三俣キャンプ地 (4:50) --- 鷲羽岳 (5:45/6:00) --- 水晶小屋 (7:00/7:10) --- 水晶岳 (7:40/7:50) --- 水晶小屋 (8:15/8:25) --- ワリモ分岐 (8:55) --- 祖父岳 (9:30/10:00) --- 雲ノ平山荘 (10:50/11:00) --- 祖母岳 (11:20/11:40) --- アラスカ庭園 (12:05/12:10) --- 雲ノ平山荘 (12:30/12:40) --- 祖父分岐点 (14:00/14:05) --- 三俣キャンプ地 (15:40) (テント泊) ◆8月6日 三俣キャンプ地 (3:40) --- 三俣蓮華岳 (4:35/5:05) --- 双六岳 (6:10/6:25) --- 双六小屋 (7:00/7:15) --- 弓折岳 (8:15/8:30) --- 鏡平山荘 (9:05/9:15) --- ワサビ平小屋 (10:50/11:00) --- 新穂高 (12:15/13:40) === 松本 (15:40/16:03) +++ 八王子 (18:10) |
山日記 (一日目) 8月3日朝、穂高駅のホームに立った。 見上げると空はドンヨリと白く、山々も薄っすらと雲に覆われていた。 天気予報では晴れだったけれど雲は取れるのだろうか?ねぼけマナコでトボトボと改札へ向う。 トイレに寄ってバス亭に行くと、そこには既に登山者の長蛇の列が既に出来上がっていて、何グズグズしてんだぁ、これじゃー中房温泉までの1時間、立って行かなきゃいけないんか!とガッカリした。 そしたらタクシーの運転手が寄って来て「バス代と同じで良いから・・・」と囁くものだからこれ幸い!と並んでいた他の登山者と相乗りで中房温泉へ向うことになった。 あれが爺ヶ岳!・・・こんな場所の、しかも登山客を相手にしている運転手だからさすがに山には詳しく、途中車窓から見える山の名前を教えてもらったりしながら車はドンドンと気持ちが良いくらいに山道を進んで行く。 相乗りの夫婦は燕岳→大天井岳→常念岳→三ツ又に下山する予定らしかったが、今年の大雪による道の崩壊で三ツ又から先の鳥川林道は不通になっているらしくタクシーは途中までしか入って来れないとの情報に本当にガッカリしていた。 中房温泉まであと少しという所で、雲の一部が動いてキッパリとした稜線が見えた。曇り空の中でスポットを当てたみたいにそこだけがポッカリと晴れていて、明るく透明感のあるその山のカケラに心がザワザワした。 ひえーっ、すごい! 中房温泉の駐車場は満車だった。しかしどうしてだぁ?夏とはいえ今日は平日だぞ、休みの人がこんなにいるんだろうか?ムーンライト信州もほぼ満員だったし・・・・ 「私達もそうだけれど、登山者はみんな梅雨明けを心待ちしてたんだよ!」隣のおかあさんがつぶやいた。 そうだそうだ、確かに僕自身もそう思ってたんだ!やっぱ登山者の考えることはみんな同じだな! おーし、僕も負けてらんねーな!と何故か密かに見知らぬ登山者にメラメラと闘士を燃やしてしまう自分が居るのだった。 失敗したぁー! 登山口でコンビニで買っておいた弁当を食べた。しかしこの弁当のパックが実にデカイのだ。食べ終わった弁当のパックはただのゴミになってしまったわけで、この先4日間、ザックの中にドンドンとゴミが増えていくのだろうけれどいきなり最初からゴミ袋が膨らんでしまった。弁当じゃなくてオニギリにしておくんだった・・・ ポリタンを水で満たすとザックを背負い上げた。9ヶ月ぶりのテント山行、4日分の食料でザックはパンパン状態・・・さすがにザックが重い!そうしてい・き・な・り・の急登! だけど気分は悪くない、良い感じだ!日常のダラリとした時間の流れにぶら下がっているような生活から離れ、ぬるま湯に浸りきった体と脳みそ、こいつらをこうして自然の中に置いてツンツンと突付いてみたいのだ。 一歩足を踏み出す度にズンとザックの重さが足に響く。 おーし、これから4日間の縦走が始まるのだ! 2005年6月に登った時には二日酔いでまともに歩けなかったから今回はお酒は控えめにしてキッチリと体調を整え山とガチンコ勝負だぁ!・・・こうだったらカッコ良いのだけど正直に言えば灼熱の登山道を二日酔いで歩いたら・・・こりゃ確実に死ぬな!とビビッっただけなのだ。 第一ベンチまでは急登で、ここはゆっくりと登って行く。バンバンと他の他山者に追い越されるが、久しぶりのテント山行なのにもかかわらず他人のペースに引きずられることもなく自分の歩くペースを忘れていなかったことが嬉しい。 第二ベンチで一回目の休憩、その後も1時間歩いて5分休憩のペースでモクモクと合戦小屋まで登って行った。 合戦小屋に来ると目の前が開けてギラギラとした陽射しが眩しい。登り始めは薄曇りだった空も段々と晴れて今では雲の存在すら忘れかけている。 合戦小屋は燕山荘までの行程の2/3の位置にあり、ここまで来たらもう山頂まで近い!という感じなのでホッと息がつける場所だ。 この小屋の名物のスイカを食べようか?どうしようか? 特にテント泊の時に思うのだけれど「山屋は自分でボッカした物しか口にしてはいけない!」とかたくなに思ってしまうわけで・・・山登りを始めた頃は山小屋に泊まる時も自炊していた。今はどこの山小屋も食事が良くなったせいもあってさすがに自炊はしないけれど。とにかくここで山屋の意地を見せるか?それともへたれ登山者に成り下がるか?人生の岐路に立たされた僕! ・・・と言いたいところだけれど今回の山行でザックに入れてない物がある、それはズバリお酒なのだ 4日間の縦走という事はウイスキーもしくは焼酎をどう少なく見積もっても1リットルは持参しなくてはいけないのだけれど、さすがにそれは重い!ただでさえ食料でザックが重いのに、それプラス酒は重いな!と準備の段階で弱気になってしまっていた。 それじゃーしゃーない、今回お酒は山小屋で調達するべ!・・・とこの時点ですでにへたれ山屋に成り下がってしまったわけで、なにを今更スイカの1個や2個でガタガタ迷うな、このタコスケ!と思うのだけれど・・・やっぱ我慢する事にした。どーもここで食べてしまうとこの先、歯止めが効かない自分になってしまいそうでそれが恐い。 |
左:合戦ノ頭からは木々の間にポッカリと槍が見える。ここからの槍はものすごく鋭角でとても僕には登れるようには見えない。 右:あーっ、燕岳ももうすぐそこだ! 青空に浮かぶ赤い山小屋を見ると元気が出てくるのだ。 |
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合戦小屋から上は森林限界らしくツガやシラビソは姿を消してしまう、ダケカンバの中を登って行くと合戦沢ノ頭に出て一気に展望が開ける。赤い屋根の燕山荘、そしてその尾根伝いには花崗岩の白い燕岳が青い空に浮かび上がっている。少し開けた木々の間からは鋭く尖った形の槍ヶ岳が姿を覗かせている。そして大天井岳までの稜線は所々にまだ雪が残っていて・・・んーん、やっぱり来て良かった!とため息をついた。 |
燕山荘前には大パノラマが広がっていた。これはまさしくパノラマ・ドラマの幕開けだ! |
山登りを始めて数年たったある日。かなりのベテランだな!と後光がしているような山屋のオヤジと山小屋で一緒になったことがあった。 |
燕岳のメガネ岩。以前は穴が無かったそうだけどそれだとメガネにはならないな? |
ドッカーン!燕岳山頂でヤッホーッ! |
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燕山荘にザックを置いて燕岳までピストンする。 |
燕岳山頂下からの槍ー双六ー鷲羽、そして裏銀座の山々 |
それにしてもこの辺りは山荘の尽力によって道にはロープが張られコマクサが保護されていてのだけれど、登山者の中にはこのロープを乗り越えてまでコマクサを見よう、撮影しようという人がいるらしく砂礫のアチコチに足跡があるのには閉口してしまった。 |
花の写真を撮っていると限が無いのではあるけれど・・・ウサギギク |
ほとんどの花が枯れかかっていた。小屋の近くでどうにか見つけたコマクサ |
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燕山荘から大天井岳への縦走路へ向う。 |
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だけどここまで歩いて来るとさすがに全身に疲れを感じてしまった。 でもここでオニギリをほおばり、ポカリをゴクリと飲み干すと何だか体の中からまたメキメキと元気が出てくるから不思議だ。 いっちょー、行ってみますか!!! 見上げると大天井岳の山頂は灰色の雲の中だ。せっかくここまで来たのだから大天井岳山頂から槍を見たかったのだけれど予定を変更して大天井岳には登らずに巻き道を歩き大天井ヒュッテへ向かうことにした。 ガイド本によれば喜作新道が作られる以前は燕岳から槍ヶ岳へ向かう場合は大天井岳を越え、東天井岳から中山を経てニノ俣谷(今の一ノ俣小屋)へ降り、再び登り返して槍沢から槍ヶ岳を目指していたそうである。それ思うと喜作新道は等高線を横切ることが少なくて本当に楽だと思う。 |
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大天井岳を巻いて登って行くと下方に赤い屋根の大天井ヒュッテが見えた。登山道の行き先を辿ると一旦、小屋まで降っているが、再び小屋後ろの山(牛首岳)へ登っているのが見えた。あの山を登るのかよ!とガッカリしたけど小屋まで降って見ると山に登っている道とは別に縦走路は山を巻くようになっていてホッと安心させられた。 登山道は一変して樹林帯を進んで行く。花も多くて、もう遅いか!と諦めていたニッコウキスゲを見られたのは嬉しかった。ここでニッコウキスゲの話を・・・長くなるのでそれはまた別の機会に・・・ |
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山頂を巻いていた登山道が少し登りになり、稜線上に出るとそこはビックリ平と名付けられた展望の良い場所だった。ここで一気に大天井岳の展望が広がるからそう付けられたのだろうか? |
ビックリ平は大天井岳の展望が良い場所。だけどあいにく雲が多かった! 元気な僕と疲れている僕を演出してみました。 |
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本当は今日の幕営地は大天井岳にするか?西岳にするか?ずいぶん迷ったのだ。西岳は展望が悪いと聞いていたので大天井岳の方が良いかな?とも思った。ただそうすると明日からの行程がずれてくるので予定どうり西岳まで行くことにしたのだ。 |
左:テントから見た西岳と山小屋。しかしこの西岳や赤岩岳、牛首岳・・・表銀座と言う割には知名度がイマイチと言う気がするのだけれど、それとも知らないのは僕だけ? |
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テントを設営し終ると、シャツを脱いでバンダナで顔、頭、体をゴシゴシとこすった。水が飲み水しかないので顔を洗う事さえ出来やしない。こんな時はひたすら体をこすって汗や汚れを落とすのだ!そしてバンダナをバタバタと振ると汗が白い粉となってキラキラと宙で舞うのだ。ワイルドだぜ!ロックだぜ!ロマンだぜ! |
太陽は槍のほんの少し左に沈んで行った |
二日目へ続く |
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