ホームページへの道 (1/3)

ホームページを開設して約3年半が経った。私のホームページを見ていただいている方への感謝、そして自分への反省を込めてこの3年半を振り返ってみようと思う。

「インターネットって何?」
会社でのある昼休み、いつものように次はどこの山へ行こうか!なんて思いながら山岳地図やガイドブックを眺めていると同僚が「ガイドブックなんか見るより、インターネットの方が情報量が多いし、新しいし、良いんじゃない?」なんて事を言った。
インターネット?聞いたことはあるけど使ったことは無かった。ただすごく便利なものらしいから早速やってみることにした。
山名で検索すれば色んな情報が出て来ると言うので試しに「槍ヶ岳」と入力してみると出るわ!出るわ!数万件のタイトルが画面一杯に並んだ。その中から適当に3,4つをクリックしてサイトを開いて見ると個人の山登りの記録や旅行会社の登山ツアーなど色々な情報が画面に映し出された。
スゴイ、スゴイ!これがインターネットか!と感心したけれどそれらにざっと目を通すと直ぐに閉じてしまった。インターネットは閲覧したサイトから受信料の請求が来ると思ったので、そんな請求が会社に来たら非常に困ってしまうことになってしまうからだ。
でもそれはトンデモナイ勘違いだということが分かると、翌日の昼休みからはインターネットにどっぷりと浸かってしまうことになってしまった。(会社にはもちろん内緒で・・・)

「バカじゃーないの?」
完全にハマッてしまった。
登山を始めた頃は友人と一緒だった山登りも段々と単独行へと移行していった私にとって世間の人がどんな山登りを楽しんでいるか分からない状態にいた。そんなわけだから画面に映し出される山行記はどれも新鮮なものだった。
googleで山名で検索し、表示されたタイトルを片っ端からクリックして次々と見ていった。面白い山行記があるとトップページを「お気に入り」に入れて更新される度に読んだり、そのホームページからリンクしてある別のホームページへも辿ってアクセスしたりした。
それからyahoo-japanの掲示板「登山・ハイキングも、これも片っ端から、と言うかほとんど全部読んでいた。
山行記を見ては他の人がどんな山登りをしているか、掲示板を見ては山登りに対する色んな人の意見を知ったりと、とにかくインターネットの情報の多さと利便性に夢中になってアチコチにアクセスしまくっていた。
でもその内、ふと疑問に思うことがあった「この人達、何のため、誰のためにホームページ作ってんだろー?」山登りのホームページを作っている人の多くはどう見たってアマチュアだし、写真を撮り、セッセと紀行文を書いて、ホームページを公開し、それを誰かが見てくれたとしても、苦労した割には1円の徳にもならないのでは・・・という単純な疑問だった。
(下の写真は写真を多用し過ぎて重くなっってしまった最初のトップページ。今見てもハデ?)

「ムズムズさせるもの」
この当時、読書嫌いな私にしては珍しく椎名誠さんの東ケト会シリーズのキャンプ話にどっぷりとハマッていた。これは自分もテント登山に傾倒していた時期なのでちょうど食指が動いたのかもしれない。
ネットで見るホームページも自分と同じような山登りをしている人の山行記ばかり選んで見てしまう。「あーっ、この人の山行記は面白いなー!」と思えるものに出会うと本当にワクワクさせられた。
その中でも特に山さんの「山のたより」(当時は「なんちゃってハイカーがゆく」)は登山を始めたばかりの女性が次々にステップアップしていく様子が描かれていて面白かった。それに女性で、単独で、テント山行というのも珍しかった。
東ケト会シリーズを読んだり「山のたより」を見たりするうちに自分でもホームページを作ってみようかな!という気が段々と起こってきた。
心の隅っこでは「ホームページを作るのはお金も時間もかかるし、山登りから戻って山行記を書くのは面倒だし、かといって何か見返りがあるわけでもないし・・・」と思うのだけれど、それ以上に山登り中に起こった面白い事を誰かに知らせたい!見てもらいたい!という願望が強くなっていった。
ただ、ここで不安なことが・・・私みたいないわゆる普通のオジサンが山登りのホームページを公開して、はたして誰か見てくれるのだろうか???
何か特徴があったら・・・例えば内容がエベレストとか厳冬の北アルプスに登ったとスゴイ話だったり、または年齢が若かったり、逆に高齢だったり、女性だったり・・・とそれだけでグッと面白いホームページになるに違いないのだけれど・・・
だけどこの心配も「哲ちゃんの山登り」を見たら薄らいでいった。「哲ちゃんの山登り」の関東一周山登りは関東一都六県の県境を歩いて繋げる企画登山だった。県境は山になっていることが多く、つまりこの境目を辿ることがそのまま山登りになってしまうのだ。
これは面白かった。1000メートル以下の山もあるけれど中には登山道が無い山もある。そんな人間未踏の(おおげさ?)山の中を哲さんがわっせわっせと歩いて行くのだ。
これを見て思ったのは自分なりのテーマを決めて山登りをすれば別にエベレストに登らなくても面白いホームページが出来るのではないか?ということだった。(注:哲さんの関東一周山登りを楽な企画だと言っているわけでは決してありません。私だったらとても歩けない行程です)
そこで思ったのが、日本百名山を全てテント泊で登って、それをホームページにしたらどうだろうか!ということだった。
これだったら自分でも十分出来そうだし、何か他の人とは少し違ったホームページが出来るのではないかと思った。
ここまで考えると急にムズムズして来た。
当初、山登りのホームページを見て「バカじゃーないの?」と思ったことなんてすっかり忘れてしまい、いつの間にかそのホームページを自分が作ることに憧れ始めていた。

「いよいよ構想だ!」
テーマは「テントで巡る日本百名山」とした。ただ登った百名山すべてについて山行記を書くのではなく、その中でも
1. 面白い事、変わった事があった
2. 綺麗な写真が撮れた
3. あまり歩かれていないルートを歩いた
のいずれかに該当した時だけ山行記を書くことにした。何も事件や特徴が無い山登りの山行記は書けそうにないし、たとえ書いたとしてもそんな面白くもなんともないような山行記ではせっかくアクセスしてくれた人に対して申し訳ない。
私自身色んなホームページを見ていて勘弁してくれ!と思うようなものにぶつかることがあった。アクセスしてみるとオジサンが山頂でニッコリと微笑みながらピースサインをしている映像が画面いっぱいにデカデカと現れたりして「誰だこいつは!」なんて思いながら見ていると、文章は何も書かれてなく、結局この一枚の写真だけだったりして「バーロー、しょーもない写真出すな!」と叫びたくなるようなことがあった。
そんなわけで自分なりに三つの条件を定めて少しでも中身のあるホームページにしようと思った。

パソコンを購入し、山行記が20編ほどまとまったらアップしようとせっせと山行記を書き始めた。
最初に書いたのは「2000年10月の大菩薩峠」だ。しかし・・・全然書けなかった。自分でも情けないほど書けなかった。
私は小学や中学生の頃からいわゆる作文や感想文は大の苦手、おまけに本も読まないので気の利いた単語は知らないし、文章力も無い。
そんな私が山行記を書いてみると・・・「登山道から登り始めた」「道は急だった」「途中に水場があった」「山頂からの景色は良かった」「ヘトヘトに疲れた」と言ったような無味乾燥な言葉が箇条書きに並ぶだけだった。

まいったな!文才がマッタク無いよ!!!
その時、頭の中に浮かんだのは椎名誠さんの小説だった。椎名さんの書き方は実にざっくばらんで、言葉の一つ一つが元気良く、誌面から飛び出してしまうような快活さが心地良かった。
一番感心したのは小説というのは、何か堅苦しくて難しい言葉が並んでいなくても良いんだ、人それぞれ色んな書き方があるんだ!と言うことだった(注:椎名誠さんの文章が低俗で雑然としているということでは決してありません)
そーだ!なにも文学作品を書こうって訳じゃない!もっと気楽に書けば良いのだ!・・・と難しい言葉は一切使わず、口語に近い感じの文でとにかく、登り始めて降って来るまでの間に起こった事や感じた事をただズラリズラリと書きなぐり、後で余りにも個人的な内容や山とは関係ない箇所を削除するといった方法で書いてみた。するとどうにかそれらしい形になった。

「いよいよアップ!」
山行記数20編を目標に書いていたが、年に15回余しか山に登らない私が20編の山行記を書くには相当な期間が必要で、まして登った山、全てを書いているわけではないので中々数が増えなかった。数を増やすために、過去の山行で3つの条件に当てはまるものがあったら思い出して書くようにした。
それでもやっぱり山行記を20編書くのには1年以上かかってしまった。

2002年の1月、ついに山行記が20編以上になった。正月休みに自宅に篭ってホームページの作成にかかった。
写真を選んでスキャニングし、photo-shopでレタッチ、wordで書き留めていた山行記をfrontpage-expressでHTML化した。
タイトルは「あの空の下で会おう」とした。これは山から降りる時にいつも思うこと!振り返り「また会おうぜぇー!」と山との別れを惜しむ気持ちを表した。
ホームページはとにかく見やすい、分かりやすいが一番だと思っていたのでデザインには凝らずにシンプルにしようと思った(それに自分にはデザインのセンスがあるとも思えないし)。ただトップページだけはシンプルだと味気ないので少し考えて、私の好きなミュージシャンの一人、Pat methenyのCD「Secret Story」のジャケットデザインをパクッて写真いっぱいのページにしようと思った。ただ写真を重ねたりする方法が分からないので諦めてそのまま15枚の写真をマスメ状に並べた。

ホームページの良い所は細かな箇所は後でいくらでも手直し出来ることだ。正月5日間の連休で全体をザックリと作り上げ、とりあえず形にして意気揚揚とアップしたのだった。

ホームページへの道(2/3) へ続く

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