おばさんパーティーの恐怖

この話は怪談やお化けの話ではありません。
山での迷惑パーティーの体験談です。単なる僕の愚痴です。

これは丹沢や奥多摩の山に行けば直ぐに体験できます。。。塔ノ岳の山頂で昼食を食べて景色を眺めていると隣の8人位の女性ばかりのパーティーから声をかけられた。「これ良かったらどうぞ!」と差し出した手には沢山のお菓子があった。正直いって僕はお菓子が余り好きではないが食べれないほど嫌いではないので遠慮なくいただいて食べていた。
すると先ほどの女性が「ねえ!もっとどうですか?」と又もお菓子を差し出して来た。もう食べれなかったので「いや、もう結構です」と断ると「なにも遠慮しなくても良いのよ!まだ沢山あるんだから。。。」となおも勧めてくる。
女性達が車座になっている中心にはお菓子やジュースがフリーマーケットのように山盛りになっているのが見えた。遠慮しているわけではない。本当にこれ以上は食べれなかったので「いや!本当に結構です!」と少し強気で断った。「食べてくれたって良いのに。。。」と女性は少し不機嫌になってしまった。(左の写真はその時のおばさんを撮影したものです)
まだ景色を眺めて居たかったのだがなんとなくその場に居づらくなって下山しなければばらなかった。

山で弁当を食べているとおばさんからお菓子をもらう事が何度かあった。最初は弁当だけしか食べない僕が貧相に見え、親切心からお菓子をくれるのかと思ったらどうも違うようだ。女性は山に登る時に自分の分のお菓子とは別におすそ分けする分のお菓子も持って来るらしい。女性だけのパーティーでは全員がこれをやるので大量のお菓子が余ってしまうのだ。こんなパーティーの隣になるとお菓子攻めに遭うことになる。
また奥多摩の六つ石山に登った時は隣の女性から「カルピス飲みませんか?」と言われた。見ると6人の女性パーティーでこの女性は他のメンバーのために持って来た3Lのカルピスが中々減らず困っていると言う事だった。
それにしてもカルピス3Lは単純に3kgの重さである。そんなに苦労して皆の分まで持って来るなんて感心するというか呆れてしまう。せめてカルピスを原液のまま持って来れば少量で軽くなると思うのだが、水とのブレンド加減にこだわりがあるのだろうか?それとも水と混ぜる手間を省くための親切心だろうか?。
理由は分からないけどとにかくもらったカルピスは美味しかった。

一番困ったのは半月山(日光)の山頂展望台で女性から揚げパンをもらった時である。
その揚げパンを見ると表面に白い砂糖がびっしりと付いていかにも甘そうだ。甘いものが苦手な僕はどうにか断ろうと思ったが、パンを差し出した女性が井川遥さん似の美人だったので断る様な惨いことは出来やしない。(右の写真は揚げパンを僕にくれた女性を撮影したものです)
とりあえず嬉しそうに揚げパンにかぶりついた。すると、なんとパンの中にあんこが入っていて砂糖とあんこの二重の甘味が口中いっぱいに広がった。あまりの甘さに胸焼けがしたがどうにか水で流し込みながら食べた。
僕は恨んだ。この女性は美人だから許そう。だけどこんな甘いパンを作った奴は許せない。お菓子作りのセンスがない。砂糖だけでも甘いのに何で中にあんこまで入っているんだ!
それにしても色々なお菓子をもらっている。その親切をこんなに批判するなんて恩知らずな奴だと自分でも思う。単に甘いものが嫌いな僕の被害妄想かもしれない。

谷川岳の蓬ヒュッテに泊まった時のことだ。その日の宿泊者は男性は少なくなぜか女性ばかりだった。
夕食はピラフとシチューというメニューでピラフはグリンピースとハム、シチューはマッシュルームと干し椎茸といった少し変わった内容だったが美味そうだった。
小屋番さんが食器にピラフとシチューを盛ろうとした時、ある女性が「私、あまりお腹は空いてないので少しで結構です」と言った。すると周りの数人の女性も「私も少なくて良いです。。。」と言い始めた。
山小屋の食事で気をつけることは残さずに食べるということである。残した分はただのゴミとなってしまうので食事を食べきれないと思ったら事前に言って盛りの量を少なくしてもらうことが大切である。だから女性達の行動は間違いではない、しかし困ったのは食事が大量に余ってしまい「あんた!もっと食べれそうだからドンドン食って良いぞ!」と小屋番さんから苦しくなるほど食べさせられたことだ。女性達が食欲が無さそうなので僕は頑張って食べた。
食事が終わり苦しくなってマグロみたいに横になっていると女性達が車座になってお菓子をザックから次々に取り出してボリボリと食べ始めた。女性は食事とデザートは別腹というがこの光景を目の辺りにして驚いた。さっき「食欲が無い」と言っていたのはどうなったんだ!苦しくなるまで食べた僕はどうすればいいんだ!
狭い小屋で一人で一生懸命に食事を作っていた小屋番さんがなんだか可哀想になった。

それから女性に限らず、大パーティーの食事も困りものだ。
尾瀬の至仏山荘に泊った時のことだ。夕食の時間になったので1階の食堂に降りて行くと既にほぼ満席状態だった。空いている席を見つけ食べようとすると、「ご飯と味噌汁はセルフサービスでお願いします」とのことなので保温ジャーから飯を盛っている女性の後に並んだ。そうしたらこの女性がいくつもいくつも茶碗に飯を盛っている。どうやら30人くらいにパーティーのメンバーらしく全員の飯を盛っているらしい。並んで待っていたが当分終わりそうにないので諦めて一度席に戻った。
それにしても辛いものである、山登りをした後ほど腹が減っている時はない。目の前のテーブルには美味しそうな料理が並んでいるのにただ眺めていなければならないとは拷問である。何度、生唾を飲み込んだか分からない。周りを見渡してみると家族づれ、単独の男性などがやっぱり「おあずけ」状態で料理を恨めしそうに眺めている。中には我慢しきれずにおかずだけ食べている人も居る。
やっとのことでパーティーの飯盛りが終わったので飯を盛りに行った。そこには飯を盛ったままの茶碗が一つポツンと置いてあった。きっとさっきの女性がパーティー人数以上に飯を盛ってしまったのだろう。このまま置いていても誰も食べずにゴミになってしまうのでその飯を食べることにした。すこし冷たくなった飯を食べていると妙に空しくなった。
翌朝、少し早く食堂に行き一番乗りを目指す作戦にした。朝食時間の5分前に部屋を出て食堂に入ってみると、すでに大パーティーはスタンバイ状態で待機していたのだった。
その他、大パーティーの迷惑話は沢山あるのだが限がないのでこれだけにしよう。

その他、おばさんと言えば。。。頭に浮かぶのは割り込みである。
多くの登山者を乗せたバスは那須岳ロープウェイ駅に到着した。その日は天気も良く、乗り場には長蛇の列が出来ていた。まずチケットを買おうと売り場を見るとこちらも長蛇の列であるが、しかたなくその列の最後に並んだ。
並んで待っている間にもバスが次々と到着して、バスを降りた乗客は次々と乗り場への列に並んでいく。すでにチケットを持っているのか?チケットの列に並ぶ人は少なく、多くの人は乗り場への列に並んだ。不思議に思って眺めていると理由が分かった。グループで来た人はその中の一人、二人がチケットの列に並び、残りの人は乗り場への列に並んでいる。チケットの買い終えた人は乗り場への列に行き、自分の仲間がいる所へそのまま割り込んでいるのだった。僕がチケットを買い終えて乗り場の列へ並び直した時にはずいぶん列は長くなっていたのでがっかりと来た。おまけにチケット買った人が後から後からドンドンと割り込んでくるので頭に来た。
割り込んだ奴をロープウェイの窓からぶん投げてしまうかもしれないので、それ以後、那須岳に登るときにロープウェイを使わなくなった。
でもこれ位は可愛い部類かもしれない。もっと頭に来るのは新幹線や特急などで割り込まれた場合である。
山登りの下山時間は正確には予測できないので帰りの列車は自由席を利用することが殆どである。連休に松本から新宿へ向かう”あずさ号”の自由席に乗る時など壮絶な椅子取り合戦になることもある。
白馬や信濃大町を出た特急は松本に着いても満席になっていることは少なく、半分か1/3くらいは空席がある。山から降りて来た体はクタクタに疲れきっているので新宿までは何が何でも座って行きたい。駅のホームに並んで「まあ、これ位の列の長さだったら座れるかもしれない!」という甘い期待を打ち砕くのがおばさんである。
おばさんの後に並んで待っていると決まって「田中さーん!こっちこっち!こっちよー!」と声があがり、その声に誘われて2、3人のおばさんが「どどどっ」と割り込んでくる。お土産を買っていたのか、トイレに行っていたのかは知らないけど満悦の顔を見ると怖くて注意も出来ない。
割り込みは別に女性に限ったことではない。男性でも割り込みをする人は大勢いる。だけど。。。おばさん=ずうずうしい=割り込みというイメージから女性の割り込みが記憶に残ってしまうのだろうか?。

これ位でもう無いだろうと思っていたら他のもあった。
僕は山に登る時に息が上がりそうになると立ち止まって休んでしまう。ところが頂上が直ぐそこだと分かると少しぐらいきつくても一気に登ってしまう。
妙高山の時もそうだった。山頂までの残り数十メートルを一気に登りきった。「ついに頂上だーぁ!」と肺に新鮮な空気を流し込もうと深呼吸した。
その時すれ違った女性の強烈な香水の香りが僕の肺いっぱいに入ってきた。一瞬、呼吸が出来なくなり酸欠で死ぬかと思った。
汗臭いよりも香水の香りの方が良いに決まっている。しかし物には限度がある。大げさなようだけれど、この女性の香水は強烈だった。

もう一つ忘れてはいけないのがおばさんのおしゃべり騒音である。
特に気になるのが公共の施設や乗り物の中での大音量おしゃべりである。山登りはおばさんを興奮させるのだろか?それとも気合が入っているからなのか?旅行者に比べてもがぜん声がでかい!
それに話の内容も山とは関係ない話が多い。ご主人の話、息子がどこの大学に行っている、姑の病気の話など山とは全然関係ない話で山の静寂を何度壊されたことだろう。何度後ろから首を絞めようかと思ったか分からない。
これも一つ一つ実例を挙げていると限がないので何かの山行記録の中で書きたいと思う。

題名が「恐怖の。。。」してはたいしたことがない内容であると自分でも思う。
読み返してみても「だからどうした!」と言いたくなるようなしまらない話になってしまった。

(訂正:作業ミスで写真が差し変わってしまったようです。上の写真は四天王立像の広目天、下の写真は井川遥さん本人でした)

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