蔵王 |
行程 (着/発)(+++:電車、===:バス、---:徒歩、***:その他) ◆3月3日 東京(6:28) +++ 山形 (9:13/9:40) === 蔵王温泉 (10:16) *** 山頂駅 (11:15/11:35) --- 地蔵山 (11:45/11:55) --- 熊野岳 (12:30/13:00) --- 刈田岳 (13:50/14:15) --- ライザスキー場 (15:20/16:00) === 上山温泉駅(16:30/16:43) +++ 米沢 (17:17) |
山日記 改札を抜けて駅を出るとそこは雪国!のはずが全然雪が見当たらない。 雪国ってこんなもんだろうか?初めて冬の山形を訪れた僕はちょっと拍子抜けしていた。 駅前のバス乗り場にはすでにスキーを抱えた人の長蛇の列が出来ていて、蔵王温泉行きのバスが後から後からバスがやって来ては客を乗せるとあわただしく発車して行く。 そんなスキーヤーの姿を横目で見ながら駅のハンバーガーショップでハンバーガーとコーヒーをせわしなくお腹に詰め込むとバスに飛び乗った。 きっと暖冬のせいなんだろう。蔵王温泉も思ったよりも雪が少なかった。道路はアスファルトが露出しているし雪が積もったロッジも見当たらない。何だかどこかの温泉街を歩いている感じがした。 僕が初めてスキーをやったのは志賀高原だった。前夜に夜行バスで東京を出発、朝になって目が覚めると窓の外、道の両脇には真っ白い雪の壁だった。 世の中にはこんなに雪があるんだ!と九州育ちの僕はかなりマヌケな台詞を吐いてしまった。なにせ福岡では積もってもせいぜい5センチだから。 ここ蔵王温泉で雪がこんなに無いんじゃ、山の上もアチコチ地面が露出しているかもしれない。白一色の山を期待してだけに気落ちしてしまう。 あっちこっちのロッジから日焼けしたスキーヤーが出て来てはガシャガシャとブーツを鳴らしながらスキー板を担いで歩いて行く。 山形駅前で見かけた“JR・駅からハイキング“の御一行さんも雪山を目の前に臨みにぎやかだった。係員からかんじきを手渡されると更にテンションが上がった。こっちも負けてはいられない! あの人達はどこを歩くのだろう?ガイドさん付きだし、後ろを着いて行ったら面白いコースを歩けたり色んなレクチャーを受けたり出来て面白いのでは?とも思うけれど、やっぱメガホンは自分でにぎらなきゃ!僕には自由気まま一番なのだ。 ロープウェイ山麓線のチケットを買って乗車を待つスキーヤーの後ろに並んでいると「樹氷観賞券をお持ちのお客様は2階でお待ちください」と放送があった。スキーヤーと観光客は並ぶ場所が違うのだろうか?などと悩んでいると数人の観光客が2階に上がっていった。そしたら係員が慌てて「スキーのお客様の後ろに並んで下さい!」と呼び止めている。 2階へ上がるのか?それともスキーヤーの後ろに並ぶのか?行動を起こさなきゃ!と樹氷観賞券を握りしめながら思うのだけれど、このロープウェイに乗って降りるとそこには雪景色が待っている!と思うと頭の中はどこかボーッとしてしまって、どっちでもいいや、とにかく上がれたらそれでいいや!とスキーヤーに混じってロープウェイに乗り込んだ。 樹氷高原駅から更に上るために山頂線のゴンドラに乗り換える。 乗り場前にはゲレンデを滑走して来たスキーヤーの長蛇の列が出来ていて、またここでもずいぶん待たされるのかな!と思っていたら、入り口はスキーヤー用と観光客用と別れていてゴンドラ乗り場の直ぐ手前で合流していた。スキーヤーの長蛇の列を尻目に一気に乗り場まで進み、待たずにゴンドラに乗ることが出来た。 ゴンドラはズンズン高度を増して行く。 振り返ると山形市街がもう遥か下に見える、その向こう側にはドッカと何の山だろう?青い空に白い山稜を輝かせている。 こうしてみると山形は盆地なんだな!周りはグルリと山に囲まれている。 ゴンドラの下を見ると真下にはなだらかなゲレンデが広がり、スキーヤー達が気持ち良さそうに滑降している。あまりにも雪面が日の光をギラギラと銀色に反射させているので裸眼ではまぶしくて直視出来ないほどだ。スキーヤーの姿も光に埋もれてしまってその輪郭さえも白くにじんでしまう。 まだ残っていたのだ! 出かける前に蔵王の観光協会に樹氷の様子を電話で尋ねると「雪はもうほとんど落ちてしまって・・・」という返事だったので樹氷のことは諦めていた。 ところがゴンドラが山頂駅に近づいて行くと山頂付近にはまだ辛抱強く雪を抱きかかえた樹氷が残っていた。よーく見るとところどころ雪の中から枝が飛び出したりして完璧な樹氷とはいえないのかも知れないけれど全く期待していなかった気持ちの前ではその姿は確かに嬉しかった。 山頂駅で焦る気持ちを押さえつつ準備をし、まずは駅の上にある展望台に行ってみる。 青空の下ににょっきりと樹氷の連立が待っていた。白い樹氷が残っているのは山頂付近のほんの一部ですぐ下の木々は緑の葉や枝が露出して無残な姿だった。それでも初めて見る樹氷の姿は新鮮だった。 以前、飯豊山へ登ったときにバスで一緒になった名古屋の男性が「東京は良いですね、どこの山も近くて(交通の便が良くて)」と言っていたのを思い出す。 今朝6時半に東京を出てからわずか4時間で何の苦労も無く1650メートルに立ち、こうして目の前に広がるこの光景はあまりにも贅沢だった。 |
山頂駅上の展望台からの地蔵山。まだ樹氷がしっかり残っていたのだ!無欲の勝利か! 左にあるのはライトアップ用のライトなのだろうか?昼間の景観の中ではただ邪魔なのである。 |
展望台では観光客はもちろんスキーヤーまでもが樹氷を見て歓声を上げている。樹氷を背景に記念撮影会は繰り返されている。こんな時でも僕みたいに登山を目的にやってきた者にはやっぱり周りの山も気になってしまう。 |
山頂駅からの大朝日岳。この左には飯豊山もしっかり見えていたのだけれど写真は写りが良かった大朝日岳だけ。 |
以前から気がついていた。 |
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地蔵山から熊野岳を目指す!目指すと言ってもすぐそこなんだけれど、それはワクワクの瞬間! |
山頂はとにかく賑やかだ。 |
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段々と熊野岳近づいて来た。この先から熊野岳へ直登する。いよいよスノーシューの出番だ! |
おーし、行くのだ! |
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雪は締まっていてもちろんアイゼンはカンジキは要らないし、せっかく持って来たスノーシューもその出番の無さにガッカリしていたけれど、途中から木の柱やトレースとは分かれて熊野岳へ直登する箇所からはトレースもなく、たまにボコッと雪を踏み抜いてしまうのでスノーシューを付けた。ヒールリフターがあると楽に登れるしね。 この道は秋に来た時にはどうなっていたっけ?どうも思い出せない。雪の下は岩があるのだろうか?アッチコッチに色んな形の小さな膨らみがあってビッシリとシュカブラに覆われている。 意外にあっけなく熊野岳山頂に到着。 |
広い山頂が待っていた。秋に来た時には一面褐色の大地が広がっていた。それが今は白銀の世界。あまりに広い山頂なのでどことなく居場所に困るような感じもする。どこにザックを置いても座りが悪いようなぎこちなさがある。がしかしとにかくザックを投げ出し、ストックも雪に突き刺し、グローブも外し、歩き回る。 |
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よし子、帰って来てくれ!って言っているわけではない。 熊野岳山頂の神社は完全に雪の中だった。 |
大朝日岳や飯豊山、月山、鳥海山、それから明日登る吾妻山もきっかりと見えている。こんなの良いなー!と軽薄な感想しか出てこない脳が寂しい。 |
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山頂から刈田岳はすぐそこに見える。写真を撮っていると近くの女性がガハハと笑った。やっぱ可笑しいかな? |
神の降臨・・・高い雪山、例えば剣岳や槍ヶ岳など荘厳な冬の山々を目の前にすると神の降臨を感じさせることがあると聞いたことがある。 |
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御釜の湖面も雪に覆われていてエメラルド色は見ることが出来なかった。 |
熊野岳山頂から御釜へ向かう。登山道は隠れているのでシュラカブを蹴散らせながら一直線に御釜へ向かって降りて行く。 |
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刈田嶺神社もしっかり雪の中、これで雪が少ないのだろうか?写真の見かけより暖かい日だった。 |
御釜から刈田岳への道には木の柱が立ち並んでいるのだけれどそこはスノーシューの強みだ、登山道を外れ縦横無断にアチコチと寄り道しながら刈田岳へ向かって歩いて行く。 |
刈田岳山頂からの南蔵王。山頂付近はまだまだ樹氷がしっかり残っていた。いつかは歩いてみたい! 今回の写真はとにかく僕の出番が多いのが反省点、正直うるさい! |
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僕の前後を数人のハイカーが歩いているのだけれどスキーやカンジキ、スノーシューの人ばっかりだな!と思っていたら、長靴の男性が居てジャンパーにジーンズと軽装だ。ライザスキー場から登って来たらしいけれど説教するどころか、こっちのスノーシューが大げさに思えてしまってちょっと恥ずかしい。 |
刈田岳山頂から御釜と熊野岳を振り返る。 見ての通り、どこを歩いてもOKな山だった。 撮影時、周りに人がいてこっちを見ているので恥ずかしかった。 |
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刈田岳山頂の鳥居は上にだけ雪が積もっていてこっけいなほど頭デッカチになっていた。 |
左:山頂の刈田嶺神社。今にも屋根から雪が落ちてきそうでハラハラ。良い子のみんなはこんなことしないように。ちゃんと歯みがけよ! 右:レストハウスもしっかり雪に埋もれています。ここも雪が落ちてきたら危険なので間違ってもそばまで寄らない事! |
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山頂には数人の登山者がいた。皆気ままに山頂を歩き回っている。 |
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今回のコースで唯一心配だったのが刈田岳からライザスキー場への道だ。地蔵山から刈田岳までは数年前の秋に歩いているので山の感じは分かっているつもりだけれどライザスキー場までは歩いた事が無い。 誰か歩く人は居るのだろうか?トレースはあるのだろうか?と心配していたがそんな心配は要らなかった、歩いている人の姿はチラホラとあったのでホッと一安心したのだった。 |
時計は2時を回った。惜しいけれど今回のミニ縦走もこれで終わりだ。 |
とにかく広くて真っ直ぐにスキー場へ降りて行く道。南蔵王の樹氷帯が白銀に輝いていた。 |
山頂を後にした下山道はただの時間の消化になってしまう事が多い。寡黙に歩く事が多い。 |
これで終ったと思ったらおーまちがい! 吾妻山 へ続く |
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